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銀の怪盗は真夜中に覚醒する  作者: 黒瀬 蓮
初めてのミッション

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22/65

11月8日、朝の再会

昨日の夜じゃなく……

11月8日の朝を強くイメージする。


頼む……

上手くいってくれ……


視界が歪む。

足元の感覚が薄れていく。


……ルバー


「シルバーってば!」

呆れ顔でログチーが叫んでいる。


誰もいない屋上。

日差しが目に入って眩しい。


日差しを隠すようにスマホを

ポケットから出し、時間を確認する。


11月8日8時20分。


「……戻ってる!」

思わず、立ち上がるが、マントに

引っかかっり前に倒れる。


「……いたたた」


「シルバー、かっこ悪っ」

ログチーが冷ややかに言ってくる。


「うるせー!!」


「……とりあえず今日着てた服に変えてくれ」


「……これじゃあ目立って仕方ない」


「仕方ないなぁ」

ブツブツ言いながらログチーは紫音の服装を変える。


黒い帽子

黒縁眼鏡

白パーカーに、黒いアウター

黒いパンツに銀のチェーンがついている。


「……チェーンはいらねーんだけど」


「……もう、文句ばっかり言わないでよ!」

ほっぺたを膨らましながら怒っている。


小さくため息をつきながら呟く。


「……はぁ、ま、いっか」


屋上からエレベーターで12階に降りる。


時刻は8時25分。


会社のドアが見えるところに隠れて、中川を待つ。


何人かが、通り過ぎて行くが

中川は見当たらない……


「……まさか、飛び降りてないよな」


ふと視線を上げると、目の前を中川が通り過ぎた。


いた!


慌てて、追いかける。


「中川さん!!」


中川が振り返る。


「……キミは……?」


「……えーっと、その……」


「中川さんに渡したい物があって……」


急にしどろもどろになる。


中川が優しく微笑む。


「……よくわからんが、中で話そうか……」


(……もしかして不審者と思われてる?)


(中に入ったら捕まる……とか?)


「……何をしてる?入ってくれ」


中川が言う。


虎穴に入らずんばなんとやら……だ。

覚悟を決め、頷く。


中川の後ろを少し警戒しながらついて行く。

当たり前な事だけど、正面ドアから入る。


同じオフィスなのに、夜とはうって変わって

朝は全く違うオフィスに見えた。


中川の後をついていく間に、何人かの社員に

ジロジロと見られる。


(まさに背水の陣だな……)


中川が奥の部屋に入る。

紫音はその後をついて行く。


社長室と書かれている部屋。

中にに入ると、中川が秘書と思われる女性に

合図をする。


「ちょっと席を外してくれ……」


「……かしこまりました」


秘書の女性はこちらをチラッとみてから、

部屋を出ていく。


「……まあ、座りなさい」


中川に促され、部屋の真ん中にあるソファーに座る。


「……で、渡したい物とは……?」


「あ、えーっと……」


(ポケットを探る……)


アレ……?


(両方のポケットを同時に探る……)


ない!


USBがない!


なんでだ?


たしかにポケットに入れた……

まさか……

屋上で、転んだ時に落とした……のか?


いやいや……そんなハズはない。

屋上には何も落ちてなかった……


フル回転で記憶を辿る。


……あ!


着替えた時か!


ログチーに向かって小さく呟く。


「ログチー、俺のズボンのUSBどこにやった?」


「んー?どこにもやってないよ?中身そのままだし」


慌てる紫音を見て

中川が不思議そうに尋ねる。


「どうした?気分でも悪いのか?」


「……いや、そうじゃなくて」


思わず立ち上がる。


「…………っ」


「……ごめん、中川さん」


「……俺、大事なもの失くしたみたいだ……」


「……取り返すとか、って格好つけてさ……」


「失くしちまったら意味ねぇのに……」


中川が近づいてくる。


紫音の肩をポンと叩く。


「……何だかよくわからないが、まあ元気出せ!」


そう言って、なぜかまんじゅうを手渡してくる。


「……ここのまんじゅうはな、美味いぞ?」

にこやかに笑う。


「……中川さん、大丈夫なのか?」


「……?何のことだ?」


「……あのさ、」


言いかけた時、ドアからノックの音がした。


さっきの秘書が入ってきて、中川に耳打ちする。


「……何?三谷が……?」


(三谷……やっぱり……)


「やっぱり、三谷が情報を……?」

思わず声に出る。


中川がこちらを見て、少し苦笑いしながら言う。


「よくわからないが、三谷が椅子にグルグル巻きに

なってるらしい」


「……は?」


(それは、俺がガムテープで……)


「……何かしようとしてたらしいが……誰かが阻止したみたいだな」


中川が、はははと笑う。


(と、いうことはセーフってことだよな?)


「は、ははは……」


思わず力が抜ける。


「……もしかして、キミがやったのか?」


中川がこちらに視線を向ける。


「……いや、知らない」


中川から視線を逸らす。


「……そうか」


静かに微笑む。


「……もし、もしも俺がやってたら……?」


無意識に中川に尋ねる。


中川がこちらを真っ直ぐに見ながら微笑む。


「……そうなのか?」


「……いや……、違うけど……」


ログチーがポケットの中で呟く。


「ハッキリ言いなよ、もう!」


中川が言う。


「……三谷は俺の家族みたいな奴だ」


「アイツが道を踏み外す前に、誰かが止めてくれたなら、良かったと思う」


(お人好しすぎるな……この人)


「……なあ、少年」


軽くウィンクする。


「……さあ、もう帰りなさい」


「学校があるんじゃないのか?」


「……あ、ああ」


わけのわからないまま、中川と別れた。


紫音の後ろ姿を見ながら、中川がそっと呟く。


「……ありがとう少年」


「……いや、怪盗シルバーか」


タバコに火をつけながら

中川は幸せそうに笑っていた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


「続き気になる!」と思ってもらえたら、ぜひ応援お願いします!

ブックマークやリアクション、評価(★★★★★)を

してもらえたら、嬉しいです。

良ければ、気軽に感想もお願いします✨


◾️おまけのページ

需要があるかわからないけど、主人公に200の質問って

エピソードを番外編で掲載します。

興味のある方は読んで見てくださいね。

赤裸々に書いてるので、苦手な方はスルーはしてください。





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