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【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました  作者:   *  ゆるゆ


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言ってはいけない




 あばばばしたキーアは、ぴょこんと跳びあがる。


「ルゥイ殿下が、伯父上と仰ったので! ルゥイ殿下のおじさまと言えば、この大陸に名だたる大魔法使い、フィリさまでいらっしゃると思いました!」


 かんぺきな返しだ!


 胸を張るキーアの前に、魔界が開いた。



「…………今、何て言った…………?」


 グオォオァアァオオ──!


 おどろおどろしい闇が噴きあがっています、フィリさま──!


 カタカタするキーアに、地獄の底から響く声が降る。



「………………今度、僕のこと『おじさま』と言ったら、言い終わらないうちに、首が飛ぶからね…………?」


 本気だ。

 1ミリの嘘もない、全力の本気だ……!



「た、大変な失言を、誠に、誠に申し訳ございませんでした──!」


 全力で謝りました。



「伯父上を伯父上と呼んでいいのは、うちの家族だけだから、よくよく注意してね」


 ルゥイがぽふぽふ頭をなでてくれる。


「よくよくよくよく気をつけます──!」


 直角に頭をさげました!



「いやだなあ、殺しちゃうところだったよ」


 微笑むフィリの目が、全く笑っていない。


 ものすごい本気ですね、わかりました……!



 時空を超える永遠の少年に決して言ってはいけない言葉『おじさん』


『おじさま』でも、だめでした!

 ごめんなさい!





「ハゥザが究極奥義とか使うから、何かあったのかと思って来たんだけど。これはまた、すんごい闇だね」


 フィリの目がネィトをなでて、キーアにも向けられた。


「あの、俺はおまけなんですけど、ネィトの伴侶(予定)なので、闇魔法について勉強したいなって」


「きーちゃん♡」


 うるうるの瞳で見あげてくれるネィトのちいさな頭をなでなでしたら、フィリの目が凍りついた。


「独身の僕の目の前で伴侶(予定)といちゃつくとか、殺されたいの……?」


 いやいやいや、隠しキャラで攻略対象なんですから、恋人とか伴侶とかいたら、主人公が略奪愛になっちゃって、ゲームがちょっと変わってきちゃいますから!


 おひとりさま、最高!


 じゃなくて、フィリさま、禁忌がたくさんあるみたいです……!


 こわい!



「ご、ごごごごめんなさい!」


 あわあわ謝りました。


「人前で、いちゃつくものじゃないよ。傷つく人だっているんだからね!」


『爆発しろ!』ですね、わかります!

 それはもう、よーっく!

 微塵もモテたことのない紀太と前のキーアの記憶で、ニューキーアはこくこく頷いて、丁寧に頭をさげた。


「配慮に欠けるふるまい、申し訳ございませんでした」


 ちょっとすねたみたいなネィトも、一緒にぺこりと頭をさげてくれた。


「ごめんなさい」


 ふんと鼻を鳴らしつつ、フィリは鷹揚に頷いた。


「以後よく気をつけるように」


 世界最大の禁忌『おじさん』をブチ抜き、『伴侶(予定)と、いちゃいちゃする』火種を爆発させたキーアを許してくださるフィリが、やさしい。


「まあ、ちょっと、だいぶ? ものすごく? むかっとしたけど、久しぶりに闇魔法を教えられる子がいて、僕はとってもうれしいよ! 一緒に時空を超えようね!」


 ものすごくむかっとさせて、ごめんなさーいー!

 しおしおしょげるキーアの隣で


「はい、フィリさま!」


 ネィトが、めちゃくちゃやる気です。



「上級魔法っていうのは、基礎魔法にぴよんとしてるくらいのもので、魔法陣がちょっと複雑になって、魔力がたくさん持っていかれるっていう、それだけなんだよ。だから基礎魔法ができたら、すぐできるよ」


 そんなことないと思います……!


 こわくて言えない。



「伯父上、僕たちは自主練ですか」


 ルゥイの目が遠い。


「一緒にがんばりましょうね♡ ルゥイ殿下♡」


 ぴっとりルゥイにくっついているマェラは、とってもうれしそうだ。



「ハゥザが教えるとか、無理だもんね」


「フィリに言われたくない」


「失礼な」


 ハゥザ学園長とフィリ先生の唇のとがり具合が、そっくりです。



「じゃあ基本の魔法陣と詠唱を僕が教えてあげるよ。残念ながら僕には光魔法は使えないけど、魔法理論にかけてはロデア大公国の権威だからね」


 えへんと、ちいさな胸を張るフィリ先生に、キーアは心から拍手した。



「なんだ、きみ、わかってるじゃないか!」


 闇の瞳が、きらきらしてる!



 …………難度高いはずの隠しキャラなフィリ先生が、ちょろいです…………?









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