3章第6話:『同居?』
学校が終わり、帰りのホームルームが始まる。いつも通りに源先生が連絡事項を伝える。
「最近話題だからお前らも知ってるかも知らないがここら辺で連続殺人が起きている。しかも犯人はまだ見つかってないらしい」
源先生が最近の事件について触れる。その事件は源先生が言うまでもないほどに生徒達の間で話題になっているものだ。昼休みではその事件についての話でもちきりだった。
普通の事件ではそんなに話題になるのは不自然だ。では何故か?それは事件が普通ではないからだ。
一つ目は過去や現在で犯罪歴のある者のみが狙われていること。二つ目はその事件の犯人の痕跡が全く残っていないこと。本来なら指紋や足跡などの痕跡が全く残されていない。三つ目は今現在で6人殺されているがその全員が大きな切り傷を負っていた。そんな傷をつけるには大きな力が必要だ。なのに痕跡が全くないのは不自然ということだ。
その犯罪歴のある者だけを狙うことやまるで魔法のような殺人方法でうちの生徒の興味を惹いていた。あるものはその事件を不気味がり、またあるものは神の裁きだと神聖視するものまでいた。
「怖いねー、襲われちゃったらどうしよっ」
「犯罪歴のあるやつしか狙わないんだから一ノ瀬は大丈夫だろ」
「たしかに!」
一ノ瀬がなるほど!といった感じで手のひらに拳をポンとやった。
「じゃあ今日はこれで終わり、解散!」
先生の言葉で周りの同級生が続々と教室を出る準備をする。一ノ瀬も肩掛けバッグに宿題を入れて帰りの準備をする。
「そーいえばA君とK君は部活はやってるの?」
「いや、どっちも帰宅部。ま、任務でやる暇ないしな」
「普通にブラックだよな」
「たしかに、じゃあ部活は諦めるか〜」
そこまで残念がらずに一ノ瀬は受け入れた。
「なんかそこまで気にしてなさそうだな」
「まあね!元からA君と同じ部活に入るつもりで聞いたから。A君が入ってないなら別にいいかなー」
「……そう」
半ば呆れながらAは納得した。
「じゃあ帰るか、Kはこれから任務だろ?」
「ああ、集団P関連だな。最近はそればっかりなんだよ」
「まあ頑張れ、じゃ」
Kがおう!と元気に返事をして先に帰る。そしてAと一ノ瀬が教室に残される。
「じゃ、私達も帰ろっか!」
「そうだな、てか一ノ瀬は家どこなんだ?」
「えっーとねー、……宮国消防署前駅から二駅のところらしいよ」
一ノ瀬がダークナイツから支給された黒い端末をいじって調べる。おそらく一ノ瀬は親がいないからダークナイツが家を用意しているのだろう。
「もしかして湖筒駅か?それなら俺と同じだけど」
「え!?ほんと?私も湖筒駅だよ、これって運命?」
「運命て大袈裟な、でも驚いた。ダークナイツ側が仕組んだか?」
「まあまあなんでもいいじゃん!帰り道一緒なんだし早く帰ろっ!」
Aと帰り道が一緒とわかって上機嫌となった一ノ瀬に腕を引かれて教室を出る。一ノ瀬のAの腕を引く力は尋常ではないほどに強くAが絶叫する。
「痛い痛い痛い!取れる、腕取れる!」
そんなAに気づかずに一ノ瀬は教室に残っている先生に挨拶して帰る。
「じゃ先生さよなら!」
「おう、さよなら。Aの腕引きちぎらないように気をつけろよー」
「………?はーい」
わざわざ源先生が注意したが一ノ瀬は気づかずにAを連れて帰る。一ノ瀬がそのことに気がついたのは学校を出て信号にあたったときだ。
「あれ?なんでA君そんなにつかれてるの?」
「お前の!せい!だよ!」
「え?私なんかした?」
「もういいわ、馬鹿力天然」
A達は信号を渡り駅に向かう。
「ていうかまさか一ノ瀬がダークナイツだったなんてな」
「それはこっちのセリフだよっ、それにA君がすっごい変人って言われてる第2騎士団の総班長で二重でびっくりだよ〜」
「ダークナイツなんて変なやつしかいないだろ、まともなの石狩さんぐらいだよ」
「石狩さんってあの諜報班の総班長の?やっぱり総班長同士だから顔見知りなんだ」
「まあな」
「やっぱりA君はすごいね、ダークナイツに入ってA君に誇れるようになった気になったけど私より偉くてびっくり」
一ノ瀬は少し残念のような、でも嬉しいような感情になる。
「一ノ瀬はどこの所属なんだ?」
「私は戦略班の第一部隊の隊長だよ」
「え?まじか、そんな偉かったのか」
Aは矢部が科学技術班の総班長だったときと同じような驚くを与えられる。
「まあね、7年やってますから。歴だけでいえばA君より上だよ?」
「そんな前からなのか」
まさかのダークナイツの先輩であった。そうこうしていると駅についた。改札を通って駅のホームから電車に乗る。2駅しか使わないためすぐに最寄り駅に到着する。
「こっからどっちだ?」
「こっち!」
一ノ瀬の手が向ける方面はAの家の方面と同じだった。
「俺もだ、すごい偶然だな」
最初はただの偶然だと思っていた。しかし
「どっち?」
「こっち!」
「どっち?」
「こっち!」
この会話を別れ道の度にやったが毎回同じ方向に指を指す。
「まじで道合ってる?」
「間違えないはずだよ」
「まさか隣の家とかないよな?」
「だったら毎日起こしに行ってあげよっか?」
「自分で起きれる」
そんな会話をしているとAの家へたどり着いた。
「俺の家にはもうついたけど一ノ瀬は家どこだ?」
「…………え?いやいや、え?ほんとに?」
一ノ瀬が端末の画面とAの家を交互に見つめる。その顔は驚きと困惑で満ちていた。
「どうした、何かあったか?」
「…………ここ」
「ん?何が」
「えっと、落ち着いて聞いてほしいんだけどね?……ダークナイツから送られた住所がA君の家」
「・・・はあああああああああああ!?」
Aは自分の家の前で自身の驚きをそのまま声に出して表現した。




