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匿名Aはロリコンである  作者: 匿名A
第三章『ダークナイツ学園ラブコメ』
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3章第3話:『フィオーレ』

  授業が終わり、10分の休み時間に入る。AはKと一ノ瀬を連れて同級生から質問攻めをくらう前に人のいない踊り場に連れて行った。

 よくわからないが一ノ瀬はずっと挙動不審でソワソワしていた。


「ここなら大丈夫そうだな、で一ノ瀬」


「ぴゃい!?な、なんですか」


「なんでそんな驚いてんの?まあいいや、話なんだけど」


「うん、わかってる。わかってるんだけど心の準備がまだ……」


 一ノ瀬はもじもじしながら照れている。


(なんかこいつずっと情緒不安定だな、さっきは喜んでたり怒ってたのに。忙しいやつだな)


「心の準備って言われても今すぐ確かめたいから」


「えっ?そりゃぁ、まあそうだと思うけど。それに私の気持ちはわかってるでしょ?」


「なんかお前ら話を勘違いしてないか?」


 さっきから噛み合っていない会話にKが突っ込む。突然話しかけたKに一ノ瀬がびっくりする。


「あれ、K君いた?」


「地味にひどいな、最初からいたけど。それでAと一ノ瀬のそれぞれの思ってる話が違う感じがするんだけど」


「なんか俺も話噛み合わないと思ってたんだよな、じゃあせーので何の話かいうか?」


「え〜、まあいいけど。じゃあいくよ!せ〜のっ」


「頭の花について」 「付き合うことについて」


 Aと一ノ瀬が同時に声を発する。しかしその内容はどちらも違っていた。


「まて、今一ノ瀬はなんて言った?」


「え、Aが私と付き合いたいって話じゃないの?」


「何がどうなったらそうなるんだよ」


 しかしなぜあんなに一ノ瀬が照れていたのかわかった。なんて勘違いだ。


「Aが結婚は照れちゃうから最初は付き合ってからちょっとずつ愛を育んでいくんじゃ」


「なんか勘違いしてるみたいだから言っとくけど俺は一ノ瀬と付き合う気も結婚する気もないぞ?」


 その言葉に一ノ瀬は衝撃をうける。


「え!?Aは私のこと好きじゃないの?」


「いや、別に嫌いじゃないし友達としては好きだけど付き合う気とかはないよ?」


「…………そ、そうなの?ちょ、ちょっと待ってて」


 一ノ瀬が急いで階段を上がる。


「Aが私のこと好きじゃないならさっきまでのアタックすごい恥ずかしいんだけど!?ダーリンなんて言っちゃったし、ああー!恥ずかしい、恥ずかしい!これからどうAと接すればいいの!?う〜、誰か私を殺してぇ〜〜っ!」


 一ノ瀬がさっきまでの自身の行動を客観的に見て悶絶する。その声は本人は小声のつもりで言っているが声量が抑えられていなかった。

 そのため階段の下にいたAとKに丸聞こえだった。そして階段から一ノ瀬が降りてくる、赤はいまだに真っ赤だ。


「ご、ごめん。ちょっと取り乱しました…」


「あ、ああ」


(全部聞こえてたことをいうのは可哀想だから触れないでおこう)


 AとKはどちらもそう思った。


「で、Aの話は?」


 Aとうまく目を合わせられていない一ノ瀬がAに問いかける。


「ああ、そうだよ。一ノ瀬の頭の花についてだよ」


「この花がどうしたの?」


「それ、普通の花じゃなくないか?今思い出したが神の気配と同じものを感じる」


 Aは以前に精神空間でルリと会った時のルリの気配と一ノ瀬の花の気配が同じことに気がついた。すると


『やっぱり契約者にはバレちゃうか〜、残念残念』


 突然一ノ瀬の頭の花が喋り出した。


「あっ!フィオ、勝手に喋らないでって言ったじゃん!」


『ごめん、ごめん。でもバレちゃったしよくない?』


「そういうことじゃないよ、約束は守ってよね!」


 学校の踊り場で美少女が花に説教をするという世にも奇妙なことが起こっている。


「花が、喋ってる……?いや、神なのか」


『そうだよー、僕は花の神のフィオーレ。訳あって今は百華と契約して行動を共にしているんだ、ていうかもうバレたんだしこの姿でいいよね』


 一ノ瀬からフィオーレが離れて花が空中で長い耳が垂れた犬のような姿に変わった。毛並みは白くてふわふわそうで空中に直立している。


「おお〜、なんか犬みたいな見た目に変わったな」


『ふふーん、すごいでしょ』


 フィオーレが空中で自慢げにして胸を張る。


「こんなとこ姿見せていいのか?」


 無警戒なフィオーレにKが指摘する。しかし一ノ瀬が問題ないという。


「大丈夫だよ、普通の人には見えないようにしてるから」


「へー、すごいな」


「そういえばよくフィオが神様ってわかったね」


 一ノ瀬が手のひらにフィオーレを乗せてわしゃわしゃと毛並みを触りながらなぜ神だとわかったのか聞く。


「いや、一ノ瀬が起こってた時に花の色が白から赤に変わってたから不思議に思って」


「え、そうなの?……フィーオ?変なことはしないでっていったよね、私」


 一ノ瀬がフィオーレを険しい目で見つめる。完全に怒っている。


『いやー、ごめんごめん。つい暇で、てへぺろ』


「てへぺろじゃないよ、ちゃんとしてよね!ほんとに!」


 今度は学校で美少女が犬のような謎の生物に説教をするというこれまた奇妙な光景が繰り広げられている。


『まあまあそんなに怒らないでよ〜、さっきの百華の叫びがA達に聞こえてたことを教えないであげるからさ、あっ』


 フィオーレの失言でさっきの一ノ瀬の叫びが聞こえてたことをばらす。その言葉に一ノ瀬が数秒固まる。そして泣きそうな顔でAとKに問いかける。


「……………フィオの言ったことほんと?」


「……」


 思わずAとKのどちらも黙って一ノ瀬から目を逸らす。しかしそれはもう答えを言っているのと同じことだった。


「〜〜〜っ!」


 一ノ瀬が声にならない絶叫をする。一ノ瀬の顔は瞳の色と同じぐらいに赤くなり頭を抑えて悶絶している。そして一ノ瀬にバラした張本人は


『てへぺろ』


 あざとく舌を出してウインクしていた。



 

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