第四十話:『伏線』
一夏太の殺人から三日後、匿名Kを含む6人の諜報班構成員はダークナイツからの任務で私立宮國高校に赴いていた。
すでに殺人事件が校内で起きたことで学校は休校。
死体は朝に教室の掃除に来ていた清掃員がロッカーから発見した。
死体は原型をとどめておらず、制服に入っていた生徒証で身元を確認した。
Kたちは警察と共に学校へ入り、契約者の痕跡を探していた。
そこで匿名Kは宮國高校の教員へ話を聞いていた。
「すんません、ちょっといいですか?」
「はい、なんですか?」
「ここの学校に日立一夏太って生徒がいますよね、その生徒の安否ってわかりますか?」
「ああ、彼なら無事ですよ」
「あ、そうですか。ありがとうございます」
(Aの幼馴染が無事でよかったー、死んでたよとか報告するの死ぬほど気まずいからな)
「後、今回殺された3人の生徒ってどんな人ですかね?」
「あー、問題児でしたね。特に杉田君は親がうちの学校に多大な寄付をしているから扱いにも困っていてね、恥ずかしながらいじめも見てみぬふりで」
(闇深っ)
「なるほど…、ありがとうございます。ちなみにその杉田がいじめてた生徒って誰ですか?」
「ああ、さっきの一夏太君ですよ。」
(まじかよ、なんか気まずっ)
「そうすか、ありがとうございます」
Kはその後一通り学校を調べ、死体が入っていたロッカーに来た。
「んー、やっぱおかしいな。」
「何がすか?」
Kの疑念に同じ諜報班の後輩が尋ねる。
「いや、ロッカーに死体があったけどロッカーの中以外に血痕がないんだよ。」
「そりゃロッカーで殺したんじゃなくて別の所で殺した死体をロッカーに詰めただけだからでは?」
「いや、それでも多少なりどっかで血とか滴り落ちるくね?……やっぱ契約者絡みかな」
「あー、確かにそうっすね。で、契約者ってなんすか?」
「なんでもない、独り言」
ダークナイツでは神との契約者がいるが、混乱を防ぐために下級の構成員には契約や神について知らされていない。
「あ!Kさん、ロッカーの上に血痕らしきものがあります!」
「お、まじか。どんな感じだ?」
「ん〜っと、えー、Hi^2?って書いてあります」
「なんだそれ」
Hiに二乗を表す記号が書かれてた血のメッセージがロッカーの上部に書かれてあった。
「犯人からのメッセージか?」
Kが残されたメッセージの意図を考えていると後ろから声が聞こえた。
「すみまーせん、忘れ物しちゃったんですけど取りに行けますかね?」
「んー、まあ外の自分のロッカーだけならいいよ」
どうやら女子生徒が忘れ物を取りに来たらしい。
「すいません、俺もいいっすか?」
また忘れ物を取りに来たであろう男子生徒が入ってきた。
何気なく女子生徒がロッカーから忘れ物をとる様子を眺めているとその後ろで先ほどの男子生徒が怪しい挙動をしていた。
ロッカーから荷物を探している女子生徒の首にゆっくりと手を伸ばし、
「何しようとしてる?そこのお前」
男子生徒の手が女子生徒の首にかかる前にKが静止をかける。
男子生徒は女子生徒の首の近くからパッと手を遠ざけ、
「あっちゃー、ばれちったか。失敗失敗」
「バレないと思ったのか?そんな大胆にやって」
「まあ、雑魚の視線とか正直どうでもいいからな」
犯行が見つかってもなお男子生徒は飄々とした態度を崩さなかった。
(こいつが生徒殺人の契約者か?)
一夏太が女子生徒の体を手で押さえる。
「あ、あんた!一夏太じゃない!何するのよ!?」
「は?一夏太!?」
思わずKが驚く。
「いや、何するも何もお前が俺にやった痛みを味わってもらうだけだよ」
「君!何をしている!」
すると後ろから仲間の諜報班や警察がやってきた。
「お前が杉田達を殺した犯人か?」
Kが一夏太に問う。
「ああ、あのクズ共?それなら俺が殺しといたけど」
(まじかよ…、まさかAの幼馴染が犯人だったなんて)
「君!何が目的かわからないがすぐにその子を離せ!」
「いやっ!離してよっ!なんでこんなことするの!」
(おそらく一夏太は契約者だ。警察がいればたぶんただの無駄死になる、下がらせるか)
Kが警察官を後退させるように指示する。
「ん?俺の姿見られちゃったら逃げられると困るんだよね、……しょうがない」
逃げようとする警察官に向かって一夏太が能力を発動する。
「【伏線】」
「能力か!?…………ん?何も起きていない?」
警察官が一夏太の発言に止まっている間に能力を使用されたが警察官は何ともなかった。
「不発か……?」
そうKが思った瞬間、
「ビシャッ…………ボトッ!」
「ビシャッ…………ボトッ!」
「ビシャッ…………ボトッ!」
後ろへ後退しようとした警察官が一斉に破裂し、廊下が血に染まった。




