2章第5話:『曝け出す本性』
「成神、善……?」
「そう、それが私の名前だ。覚えておいてくれ」
「なんなんだよ、お前は!俺にこんなっ、こんな力を与えて!俺は拒否したはずだ!いつ……!」
そこで一夏太は気づいた。
初めて成神に会った時に別れ際に肩に手を置かれたことを。
「あの時に俺に力を……!」
「ああ、そうさ。素晴らしい力だろう?君を馬鹿にしていた奴らをこんな鮮やかな血に染めるなんて!ゾクゾクしてしまうねぇ」
辺りのぐちゃぐちゃになった死体を見て成神が興奮する。
「頭がおかしいのか…?うぷっ、こんな光景を見て素晴らしいなんて」
再度直視したことで吐き気が蘇る。
「そうかい?本当に?」
「は?何がだよ」
「君は本当にこの力を使って後悔しているのかい?さっきも言ったはずさ、これは君が望んだ結果だと」
「俺が望んだ?何を言っているんだ!こんなこと、望んだわけっ!」
「本当に?私は君の願いを叶える力を与えたのだよ?」
成神が一夏太に問いかける。
「こんなこと望んだわけ!」
「違うね、君がノートを破られたくなかったから彼を殺した。」
「違う!」
「彼女が逃げようとしたから彼女を殺した。逃げられたくなかったから」
「…違う…!」
「彼らが邪魔だったから破裂して死ねばいいと心の底から思っていた」
「……………ちがう」
成神が一夏太に近づき、耳元で問う。
「君が心から思っていたことだ。仕方がない、彼らは君を虐めていたんだから」
「だとしても、殺すなんて……!」
「いや、君は間違っていない。力ある者が己のために力を使うことはなんら不自然なことではないんだよ」
「でも………!」
「何故我慢するんだい?君は君の思い通りにできる力がある、周りを気にしないで生きる力がある」
「あ、ああ、あああ!」
一夏太の頭によくない考えばかり浮かぶ。
(そうだ、なんで我慢しないといけない?あんなクズ共死んで当然だろ、それに俺には力がある!)
「君は強い。だから弱い者が作ったルールなんかに従う必要はない」
「そうだ、俺は強い!強いんだ、あんなクズ共をぐちゃぐちゃにできるほど!」
「その通りだ!日立一夏太!素晴らしい、君のような人間は大好きだ!」
一夏太の変わりように成神が嬉しそうに興奮する。
「まずはこれを隠さないと……」
一夏太が死体を隠そうと考える。
「ああ、それなら私がやっておこう。君は存分に暴れたまえ」
「いいのか?それになんでこんなことをする」
「問題なくその力を使いたければ私のことは詮索しないことをお勧めするよ、お互い気持ちよくいこう」
「それもそうだな」
その日から日立一夏太は自身を馬鹿にした相手への復讐を始めた。




