解剖記録89番目 カシラ
伏黒「どうだろうといってもだな……本当にどうする?」
すると隣の路地から肩幅が広い人が出てきた。
伏黒「……なんですか、下田のカシラ」
この人……カシラなんだ……カシラって何だろう。
下田「おい……伏黒」
伏黒「どうしましたか、下田のカシラ」
下田「その女、どうしたんだ?」
伏黒「狙ってるんですか?下田のカシラ、残念なことに、もうこの嬢ちゃんは俺のお嫁さんなんだ」
下田「……いいなぁ!?!?」
そして去っていった。
伏黒「嵐みたいな人ですな」
カスミ「さっきの人は……」
伏黒「下田のカシラ、組の序列で言うと、NO.2ってところだな」
カスミ「ややこしいですね」
伏黒「仕方ないだろう、こうでもしないと抗争が止まらないんだ」
極道って、難しいんだね。
カスミ「……それはそうとして……なにか吹っ切れてる人いないのかな……」
伏黒「吹っ切れてる人ね……四月一日の兄貴だったらだけど」
カスミ「一周回って考えたんだけど生きてるのって、ほとんど裏世界の人たちじゃない?」
伏黒「考えてみれば、そうだな……だったら殺し屋も、ひっそり生きてるかもな」
カスミ「そいつらを手懐ければ……」
伏黒「やめとけ、行ったら殺されるのがオチだ、触らない方がいいだろう」
カスミ「でも行きたいな」
伏黒「命の保証はできないけどね……最悪、傷だらけで逃げ帰るってのがある」
カスミ「どれだけ狂暴なの……?」
伏黒「猫ほど」
なんだ、猫だったらかわいいじゃないか。
伏黒「いま楽そうだと思っただろう、そうじゃ全然服従させられないぞ」
カスミ「しゅっぱつー!」
伏黒「話を聞けぇい!!!」
そして私は殺し屋がいそうなところで叫んでみた。
カスミ「殺し屋さぁぁん!!!いるなら出てきてくださぁぁい!!!」
その声はすごい響き、誰かが飛びついてきた。
????「……?」
カスミ「殺し屋さん……?」
すると、押し倒されて、おなかをふみふみされた。
カスミ「ちょ……くすぐったい……」
伏黒「ここにいた……お前か……まったく、すごいもの呼び出しちまったな」
????「……連れ?」
カスミ「そうだけど……」
????「ラーメンの匂い……いい人」
カスミ「そんなラーメンの匂いするの!?」
伏黒「ああ、ほんの微かだが」
そして私から降りた、その子はナイフを持ってこうつぶやいた。
????「つれてって」
カスミ「……急に言われたんだけど」
伏黒「一旦、連れて行ってからだな……拒否したら殺されるぞ」
????「殺しはしない、けれどラーメンは食べたい」
ラーメンが好きなのか……
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