解剖記録72番目 記憶の断片
ハートのA「……おいしいわね……これ、ずっと食べてたんでしょ?」
カスミ「……たぶん」
そうだ……これで私の胸とか体とか、作られてたんだ。
カスミ「…食べる?」
ハートのA「なんでだよ!?性的の意味か食欲的な意味か分からないんだけど!?」
カスミ「だって、これを食べて育ってきたんですよ?だったらこの体もそのラーメンじゃ…」
ハートのA「……どういう発想したらそうなるんだよ……」
カスミ「え?あなたもその発想あるのじゃ…」
ハートのA「そんなの……したことないよ…」
カスミ「まぁ……あなたの過去なんか、私も知らないし……そもそもその前の記憶がないんだけど」
ハートのA「…あんたが言うなよ」
そして、私はその居住区を歩き回った。
カスミ「いろいろな人がいる……」
周りを見渡して、思ったことがある。窓がない。
カスミ「……自分の部屋にも窓がなかったな……」
????「あれ、カスミだ」
カスミ「……誰だっけ……ごめん、思い出せないんだ」
…工具を持ってるけど………工具…
カスミ「……上谷…?」
????「違う……アミだ」
カスミ「そっか…人違いだったか……ごめん、アミちゃん」
アミ「ちゃん……まぁいいけど……どうしたんだ?」
カスミ「記憶がないんだ…」
アミ「…どういうこと何だろう……あいつにはあったか?」
カスミ「…あいつって…?」
アミ「ハートのA」
カスミ「会いましたけど……」
アミ「…あいつ、すごい働いてて、過労死してしまうのかなと思ってるんだよね」
過労死……忙しいんだ…
ハートのA「こら、変な事吹き込まないの」
アミ「おっと、聞かれてたか」
ハートのA「……まぁ、記憶が戻るまでここにいさせる気だ」
アミ「そうか……今伏黒さんたちに会わせても、誰?ってなるかも…って話ですよね?」
カスミ「伏黒…誰?」
アミ「まさにこういうことだね」
ハートのA「そうだな……」
私はその場を離れ、少し薄暗い部屋に招かれるように導かれた。
カスミ「暗い……」
懐中電灯は……
????「誰かいるの?」
カスミ「失礼しましたぁ!!!」
????「にげるなよー」
そして回り込まれた、その姿は、羽の生えた少女だった。
羽の生えた少女「どうにかしたのかー?」
カスミ「いえ…その…」
羽の生えた少女「……まぁまぁ、椅子に座ろうよ」
私は椅子に座らされた。
羽の生えた少女「これをこうして……」
すると、私の足首と手首が鉄のようなものに巻かれた。
羽の生えた少女「久しぶりに知らない人間が…」
すると、部屋の電気が着いた。
ハートのA「……何やってるんだ……ノア」
ノア「何って…知らない人間だもん!」
すると、あきれた声でこう言った。
ハートのA「…一応言っておくけど……客人だ」
ノア「はーい」
すると、巻かれていた拘束具を外していった。
カスミ「おっと……」
ノア「…」
ハートのA「ほら、ごめんなさいは?」
ノア「……ごめん…なさい」
カスミ「いいけど……」
ハートのA「…ごめんね、この子、吸血鬼だから…」
カスミ「本当にいたんだ…吸血鬼は…」
ノア「むふーほめたたえよ」
ハートのA「お前、そういうキャラだったか?」
こういう無邪気な子…居た気がするな……誰だっけ……
ハートのA「……でも、なんでこの部屋に入ったんだろうか…」
カスミ「確かに……」
ハートのA「無意識ってことか……じゃ、私はどこかに行っておくよ」
そしてハートのAさんはどこかに行った。
ノア「……」
ノアだっけ…その子は私の事をじっとみていた。
カスミ「どうしたの?」
ノア「いや…昔のあの人に似てるなって…」
カスミ「……昔の人って?」
ノア「…ハートのA、昔は雨宮って言ってね、好奇心があなた並み…かそれ以上だったんだ」
カスミ「…さらっと本名出てるけど」
ノア「いいの、背中乗せて」
カスミ「いいけど…」
背中に乗せたのはいいけど……なんで乳を揉んでくるのやら。
カスミ「ちょっと…なんで」
ノア「いいじゃんか」
……どんどん思い出していってるような気がする……
ノア「頭…いい匂い」
カスミ「そう…?」
ノア「まるで……人が数日間風呂入ってない匂い…」
吸血鬼だからなのか、人間の匂いがいい匂いに代わるのだろうか。
ノア「食いたい…」
カスミ「……腕なら…」
ノア「いいの?」
カスミ「いいぞ…?」
ノア「じゃ…いただきまひゅ」
急に生まれる母性であった。
カスミ「……一生こうしておきたい……」
そして、私の中に記憶が巡り巡る。
「…きたよ…大和組の災害…」「…皮膚もろくなってるのね…それに、骨も…簡単に断ち切れるわね…」「おるあぁ!!!愚連隊ども!!!殴り込じゃ!!!」「いや…今は勤務中だから…」「むぎゅ」「言っているだろう…コンティニューできる世界で生きてたって…」
カスミ「うぐぅっ!」
ノア「あれ…どうしちゃったの!?!?」
カスミ「イギッ…ガアァ!!」
ノア「どうしよっ…どうしよっ!?!?」
アミ「どうした!」
ノア「お姉ちゃんが!」
アミ「少し待ってろ……おいちょっとこっちにこい!」
ハートのA「カスミ!どうした!?」
カスミ「ハァ…ハァ…ハァ…」
ハートのA「……いったんベッドに!」
アミ「わかったよ!」
そして私はベッドに連れていかれた、あの言葉、あの感覚、いつかけられたのだろう……
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