第五話『~風呂』
「はぁ~……」
ナラは、ついさっきまで深刻な表情をしていたが、風呂に入るとすぐにへにゃりと笑う。何やら色々考えてはみたが、自分一人ではどうしようもないと確信したのだ。どうせ無理なら今の世界を堪能しようと、とりあえずリラックスする事にした。
「……にしても……」
それはいいのだが、なぜか皆美女ばかりである。老いている者が一人もいない。こういう場所にはいて当たり前の存在が、何故か一人もいない。一体どういうことなのかと思っていると、ミルが説明してくれる。
「……あぁ。この世界は、年を取ると大きくなって行って、成長しきると逆に小さくなるの」
「え?」
「だから、あそこにいる小さい牛っ子がいるでしょ?アレ実はおばあちゃん。皆美しいまま死んでいくの」
どうやら、この世界には見た目の老いと言う概念が存在しないらしい。皆美女のまま、美しいままなのだと言う。ちなみにミルもナラも、見た目だけでなく中身も幼女だ。
「ま、お風呂の時くらい悩まなくていいよ~……」
「……そうだね」
深刻に悩むのは自分らしくない。そう判断したナラは、せっかくなので露天風呂に行ってみることにした。なかなかいい温泉だと思う反面、ある事に気になっていた。それは、アレ問題である。まぁ先ほど言った通り、生えている奴と生えていない奴がいるのだが、性別で分けられていない以上、普通にいるのだ。……モロに見えている奴が。
「うわぁ……」
元々人間だったころの相棒がへにゃへにゃに見える程、大きくドデカいモノばかり。なぜかは分からないが、目が離せないナラ。しかしそんなにまじまじ見ていると、当然勘違いする奴も出てくる。
「おいお前」
「へっ?」
「……俺のコイツが欲しいのかよ?」
そう言うと、ボロンとアレを取り出すハイエナの獣人お姉さん。圧倒されるほどの大きさに、喋ることもままならない。だが、その間にミルが割って入る。アレを叩き折りながら。
「あ゛っ゛!!!!!」
「……私の。手出し無用」
痛みでのたうち回るハイエナを蹴り飛ばし、ナラの手を引いて風呂から上がるミル。その顔には、反省しているような表情が見えた。
「……ごめん。こんなところに連れてきちゃって」
「う、ううん!全然大丈夫だよ!」
大丈夫だと言うナラだが、何故かこの時、ミルの顔が凄く格好よく見えた。思わず、メスの部分が顔を出しかねない程に。自然と呼吸が早くなり、顔が赤くなっていく。ミルはそれを見て、額と額を付ける。
「大丈夫?」
「み゜っ゜」
それが限界だった。プシューと言う音を立て、そのまま床に倒れてしまうナラ。何とか運び出したミルであったが、宿にまで戻ってベッドに寝かせるのは疲れたのか、そのまま一緒のベッドで眠ってしまうのであった。