第四話『漁港にて~』
「へー……色々な人がいるね」
港町に降り立った二人は、とりあえず今日止まる宿を探していた。しばらくすると開いている宿があったので、そこに泊まる事にした。だが一つ問題があった。
「すみません、ベッドが一つしかありませんでした……」
「問題ない」
それは、シングルルームであると言う事。だがミルは勝手に問題が無いと言い放つ。フロントからやって来た女を追い払い、そして鍵を閉めた後、これからどうするかと話し合いの時間。
「さてと……。それでこれからは?」
「まず、隣の島……。一番大きい島に行く」
「なるほど」
「そこに師匠がいる。師匠に会って、結婚式場を確保する」
「うんうん……。うん?」
「結婚する」
何を言っているんだ?と言う表情になるナラ。
「え?」
「子供なら問題ない。師匠は生やせる」
「ちょ、ちょっと待って!?なんでそんな事になってるの!?と言うか、僕そんなに何かした!?」
「……好きになるのに理由がいるの?」
「いやそう言う話じゃないと言うか……。あぁどういうこと!?」
このミルと言う猫幼女、なんとナラに一目惚れしたのだ。だから結婚しようと言い出した。これには流石に猛反発するナラ。
「そ、そう言うのはまだ早いと思うんだ!そ、それに女の子同士で結婚なんて……」
「……?女の子以外にいるの?」
「え?いや普通男女が……」
「……?」
と、ここで奇妙な事が起きる。男と言う単語をミルが聞いた瞬間、何を言っているのか分からないと言った様子で、首を傾げたのだ。この時点で、何か嫌な予感はしていたが、もし間違えていたら……と思うと確認せざるを得なかった。
「ねぇ、女の子って……二種類いる?」
「うん」
ここでナラは確信する。この世界には、もう男と言う存在は一人もいないのだと。全てが、『ついてない女性』か、『付いている女性』のどちらかに分類されているのだと言う。
「そ、そんな事……」
「変な事聞くね。常識なのに。まぁいいや。お風呂行こ」
一体どうなっているんだ?と思ったナラだが、連れていかれた先の風呂で完全に理解してしまう。
「二人ね」
「はいよ。じゃあゆっくりしなさいね」
男湯も女湯もない。風呂場にあるべき物が無い。完全に、男と言う存在はこの世に存在しなくなったのだ。
「……」
「大丈夫?顔青いよ?」
「だ、大丈夫……」
そして一番問題なのは、その事実を知っているのが彼一人だけだと言う事でもある。ミルに背中と尻尾を洗われながら、これからどうしようかと考えるナラなのであった。




