第六十八話『二人の結末』
「まだまだぁ!」
戦闘が始まってから十分もの時間が過ぎた。ナラは何度か危ない場面こそあったが、未だ無傷。マネキンの方は逆に攻撃を何度も食らってはいるが、全くと言っていい程に全くダメージになっていない様子。流石にナラも疲れが見え始めていた。
「おい大丈夫か?お前今まで十分以上戦った事……」
「無いよ!……でも、僕が殺すって決めたんだ……。途中で負ける事も引くことも出来ない!」
と、一瞬だけナラはガクリと膝を付く。それを見逃す事無く、マネキンが攻撃を仕掛ける。強烈な一撃がナラの体に叩きこまれ、大きくナラの体は吹き飛ばされる。いつもならこれで負けているところだが、今回は違う。
「揃ったぞ……フラッシュが……」
気合だけでまた立ち上がり、次の一撃に全てをかけると言った感じで剣を振るう。マネキンはそれを理解してか知らずか、それを受け止めてやると言った感じで腕を広げる。口から血反吐を吐きながらも、ナラは極めて冷静に剣を投げた。
その瞬間だった。ナラは剣と共に走り出した。投げる速度よりも早く。このフラッシュと言う役は、今までの技と違い、なんと自己強化系の役なのである。合計数字が多ければ多い程強化されると言う物で、今回のは『8,6,11,12,4』の合計41。四十一秒間、ナラは凄まじい力を手にしたと言う事になる。
「最後は拳だ……!」
ナラは肉薄した瞬間、凄まじい速度の連撃を叩きこんでいく。マネキンはもはや見切る事すらできずに、ただ殴られ続けるばかり。そしてマネキンの四肢を破壊したところで、41秒が経過する。キングを回収して、役を作りながら話しかける。
「……僕はもうナラクじゃない。ナラなんだ。……君は?」
「俺はナラクだ。この世界の、ナラクだ」
「……君に対して同情とかが無い訳じゃない。……けど、僕はもう、僕として生きることにしたんだ。だから……殺す」
「それでいい」
弱肉強食がこの世の常だと理解しているナラクは、それでもまだ立ち向かおうとする。マネキンではない、本物の人間の腕と頭を生やし、ナラへ叫ぶ。
「さぁ!決着を付けようか俺!」
「あぁ!最終決戦だよ僕!」
血で剣を生成し、ナラに向けて投げつける。なんとか回避したナラだがすぐさま次の武器が飛んでくる。コレが本当のナラクの力、『血性血管』である。ハッキリ言ってナラクはかなり弱い。だがこの触れた血液を操作すると言う能力のおかげで、魔王相手にも大立ち回りが出来る程に自らを強くしていた。
「今までのマネキンじゃねぇ……お前の写し鏡でもねぇ……!俺がナラクだ!ぶっ殺せるってんならぶっ殺してみろよ!」




