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第六十六話『ゆるふわ家生活』

 

「……」


「あっナラが倒れてる!大丈夫かナラ!?」


「やっぱりダメだったか……」


 クマとナラの二人が遊び始めて五分。ナラは倒れていた。想定した通りである。と言う訳でさっさとナラを回収し、遊び相手をコノオに押し付ける。ミルは論外だし、自分は疲れているので多分無理。なのでコノオである。


「次はお前だなー!何する?!」


「え、いや……。ちょっと……」


「とりあえず一緒に行くのだー!」


 首根っこを掴んで、そのまま走り去っていくクマ。あいつに任せておけば大丈夫だろうと、それぞれ部屋に戻っていく。ナラは再び寝ようとするが、とりあえず日課の筋トレを開始。


「ふぬぅ~!」


 五キロのダンベルを五回持ち上げて終わり。それ以上やると確定で筋肉痛になるのだ。


「ふぅ……」


 相変わらずの弱々しさ。筋力は無いが反射神経はある。今日もまた、扉に入ってはマネキンにボコられる。リスポ位置が変わったのか、自室のベッドの上に落ちてくる。


「全然ダメだぁ……」


 またもや負けていた。何度負けただろうか、回数すらも覚えていない。だが一つ最近理解してきたことがある。記憶の相違だ。


「……しかし、アレっていつの僕なんだろ?僕の体に傷とか無いはずなんだけど……」


 ナラクだった時代の記憶は確かにある。その時に受けた傷は一つも無い事だけは覚えている。だがあのマネキンには、無数の傷が存在していた。その相違が、ナラが一歩踏み出す事が出来ない状況を作っていた。


「……おい骸」


「呼んだ!?」


「呼んだよ。……一つ聞きたいんだけどさ、アレって僕を再現した物……なんだよね?」


「俺ちゃんが知ってる訳無いじゃん。あの部屋は、入った奴の心の写し鏡なのよん。何が映ったか……、聞かせて?」


「……」


 ナラは骸に、色々説明をする。あの中にいたのは確かに自分であるが、自分でないような気がすると。自分であるなら問題は無いのだが、もし仮にほかの何かなら……、と考えると、手が止まってしまう。


「アレは本当に、僕の写し鏡なの?」


「ふぅん……。ナラっちってさ、どうやってこっちに来たの?」


「……えっと……確か、誰かに変な魔法を使われて……」


「ほぉ。それって異世界転生魔法的な奴?」


「そう、そんな感じの奴」


 ここまで聞いて、骸は今現在どういう状況なのかと言うのを察する。今このナラと言う少女の中には、魂が二つ存在している。恐らく、ベースにした物が違う。


「んまぁ……。お前のナラクと、別世界のお前……そう。()()()()()()()ナラクの魂が混じっちまってんだお前は。……でどうする?」


「……どう、って……?」


「殺すか?受け入れるか?ってとこよ」


「……僕は……」


 そう言って、答えを出す前に骸はどこかに帰っていく。何がしたかったんだと思いながら、ベッドに入って寝ることに決めるナラなのであった。


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