第六十三話『シスターとナラ』
「コレが悪霊です」
ベチャと地面に投げつけられるユリレズ。依頼者の人は何なんだ?と疑問を口に出す。
「……悪霊って掴めるんですか?」
「クマは掴めるぞ!ただコイツ、凄いグネグネしてて気持ち悪いんだぞ……」
なぜかは分からないが、クマは悪霊を掴めるとの事だったので、ボコボコにしてこうしてゴミのように投げつけたのだ。依頼者の人は、正直こんなのがいる家にいたくないとの事だったので、家を売ってしまうとの事。まぁ別にそれは構わないのだが、それならばとナラが声を上げる。
「じゃあその家僕らに売ってもらえませんか?」
「え?」
「その……、今いるところがまぁ何と言うか……、アレなんで……。新しい住処が欲しかったんですよね」
「あ、確かにそうだな。それにいつまでも人の家にいちゃ悪いしな」
と言う訳で、格安で家を手に入れたナラ達。骸に事情を説明し、家を離れると言う事を告げる。そして家を出た後、街から少し離れた場所にある家を本拠地にする事を決める。軽く掃除を済ませ、一息を付く。
「……ここなら街から遠くないし、家も広いしで結構良いんじゃない?」
「ん。家具は私たちで買ってくる」
「クマも一緒に済む!」
「いやまぁ、その辺はシスターに聞かないとだから」
「むー……」
クマも一緒に住もうとしているが、流石に何も言わずにここに来るのは不味いだろうと、ナラは一度シスターに一緒に住んで大丈夫か聞きに行く事にした。
「お久しぶりですシスターさん」
「あっ、ナラさんですか!クマが一緒に何処かに行くと言ってしばらく帰ってこなかったので……、心配していたんですよ!」
「ごめんなのだシスター……」
今日も元気そうに孤児院は騒がしい。相変わらずシスターはクマの事を心配している様子であった。そんな二人のわちゃわちゃを見ながら、とりあえず話を切り出すナラ。
「それで話なんですけど……。ウチでこの子を住ませてもいいですか?」
「はぁ……。どうしますかクマ」
「クマはナラと一緒に住みたい!」
あくまでクマの判断に任せると言った様子のシスター。そのクマが一緒に行きたいと言うのだから、止める理由が無い。それに、ナラの事は信用できる人であると判断している様子。……まぁ、幼女なのに大人びてるなぁとは思ったが。
「……じゃあ、ナラさんと一緒に暮らすのよ?」
「うん!今までありがとうだぞシスター!」
そんな訳で、シスターと別れを告げ、早速クマとナラは一緒に家に帰っていく。シスターは、少しだけ寂しそうにその背中を見ていた。




