第五十話『新たな街、新たな居場所』
「しかし……本当に大きい街だね!」
「ん。じゃあご飯食べよ」
ナラとミルは、朝食を食べに下の階へ向かう。ギンは既に街で仕事を始めており、コノオはタマに会いに行くと言ってどこかへ行ってしまった。それはいいのだが、何故か骸がいる。……しかも朝食を作ってる。無駄に旨そうな飯を。
「よっおはよう!飯食え飯」
「はー……。なんでいるの?」
「ん?いやこの家俺ちゃんの持ち家だったし」
「……まぁ、こいつの世話になる事になる。ウザいがまぁ……、役に立つ」
そう言えばこの町に来た時から、家を手にしたと言ってはいた。多分タマの所有物だろうとは思っていたのだが、まさかの骸の方。
「さてと……。で、お前らなんか用事ある?」
「まぁ……。無いけど」
「じゃぁ俺について来い!もたもたしてるんじゃないぞ!」
「黙れ」
「ほおぉ!?」
骸がぶっ飛ばされた後、確かにやることは無いので着いて行く二人。しばらく着いて行くと、なぜか路地裏に連れていかれる。
「まぁこの辺で良いかなぁッとね」
そして、骸は鍵を服の裾から取り出す。そしておもむろに路地裏の壁の一部に鍵を突き刺すと、その場所にいきなり扉が現れる。その扉を雑に空けると、二人に入るよう命じる。
「さ、入れ」
「うーん……。一応入るかな……」
「……。私も」
扉の中に入ると、そこには合わせて二十を超える扉の数々が存在していた。二人を連れて部屋の中央に向かうと、早速二人にこの部屋の詳細を説明する。
「この部屋は俺ちゃんが昔に作った修行用の部屋の数々……。まぁ大半は元々の所有者の物だが」
「……これって何なの?」
「部屋の中には様々な仕掛けが施されていてだな……。例えば俺ちゃんの真後ろにある部屋。ここは空気の量が通常の十分の一程度になっている。あまりに低酸素だが、そのおかげか俺ちゃんの心肺機能はバリバリに鍛え上げられた」
「……十分の一って死なない?」
「まぁ入る前に説明してやるから、好きに入って好きに修行すればいい。良いな?」
「はぁ……。説明はしてくれます?」
「いやぁ?ミルのお嬢ちゃんはともかく、お前なら分かるよ。前に立てばね」
なんか訳の分からない事を言っているが、とりあえず扉を調べてみる。そして計五つ目の扉の前で、言いようのない感覚に襲われる。いわば、劇毒の入った最高級のフルコースと言う感じだろうか。入らずにはいられないが、入ったら最後。
「……ここは……」
「おう入れ!」
迷っているナラのケツを蹴り飛ばし、ドアの中に無理やり入れる。そんな彼女が入った場所には、タダ一体のマネキンが置かれているだけの部屋であった。




