第三話『女の子の体は面倒です』
「うぅ……」
風に揺られるお漏らしパンツを見て、嘆くナラ。男の体と女の体は、想像以上に違うのだ。こうなっても仕方がない。だが、やはり何故女の子になってしまったのかは理解が出来ない。
「なんでこんなことに……」
そう悲観していると、洗濯を終えたミルがやってくる。
「抱かせろ」
「え?……ひゃぁんっ!?」
いきなりそう言うと、尻尾にいきなり抱き着きながら、もふもふと尻尾を撫でまわしていく。若干無表情っぽいミルだが、尻尾に抱き着くと笑顔になり、更にモフモフを加速させていく。
「このもふもふは……!今まで味わった事の無いもふもふ……!!」
「や、やめひぃんっ!?」
だが、ナラにとっては性感帯の一つ。もふもふされる度にどんどん気持ちよくなっていく。ミルはそのままモフモフしまくるが、その内何やらアンモニア臭い事に気が付く。よく見れば、ナラの足には黄色い水たまりが。
「……」
「うぅ……ひぐっ……」
ナラとミルは、二枚目の干されているパンツを見ながら、話し合う事にした。
「なんで僕の尻尾をもふもふしたの!?」
「私、もふもふ好き。もふもふある。もふもふする」
「片言やめて!」
「でも性感帯なの知らなかった。ごめん」
素直に謝るミルだが、流石にそれでは許されないだろう。罰として、ミルも尻尾をもふもふされることになった。
「……あんまり痛くしないで」
「い、いや僕もわかんないんだよ加減が……えいっ!」
「ぴぃっ!?」
ナラが勢いよく尻尾を握りしめると、ミルは少し腰を浮かせた後、力なく尻尾を垂れ下げる。その後、彼女の足には黄色い水が垂れているのを発見してしまう。
「……え」
「……うぅ……」
三枚目のパンツを見ながら、これからどうするかを話し合う二人。
「そ、それでこれからどうしようか」
「……まず、この塔を出る。正直ここはいる意味が無い。で、街に行く」
との事である。荷物はどうするのかと聞くと、ミルは魔法を使って全部異空間の中に放り込んでしまった。後で取り出せるらしいが、流石に雑じゃないか?と気になるナラ。
「だ、大丈夫な奴……?」
「大丈夫。壊れない。……はず」
そんな事を言いながら、二人は街に飛ぶ。これもまた魔法である。だが、ナラはその魔法にある疑問を覚えていた。それは、ナラが使える魔法とは全く違う詠唱を使っている、と言う事。もっとも今は使えないので、どうでもいい事ではあるが。
「着いたよ」
「おぉ……」
二人が飛んだ先は、この大陸唯一の港町、そして一番大きな町である『ハマベ漁港』であった。