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第四十話『コンサート』

 

「なんか大変な事になってるねぇ……」


「そりゃまぁ……、なんか知らんがあのエアって女、バイオリンの演奏辞めるんだろ?俺は知らんがミルがメチャクチャ悲しんでんだよなぁ」


「確かファンだったはずだし……。そりゃね……。今はそっとしておいてあげよう?」


「だな」


 海賊らを何とかし、ようやく何とか部屋で普通に過ごしていたナラ一行だが、その翌日いきなりエアが引退を発表した。特に何とも思っていないナラとギンはともかく、結構バイオリンの演奏が好きだったミルは部屋に引きこもっていた。


「おーい、ご飯に行こうよー」


「……二人で行って」


「こりゃ重症だな……。仕方ねぇ、俺らだけで行くか」


「だね」


 二人がレストランに行くと、そこではエアとナイブの二人が一緒に食事をしていた。その顔には、以前までの疲れや緊張感は無く、かなり楽しそうに過ごしていた。


「やぁエア。ナイブ」


「あ、ナラ!おはよう?」


「もう昼だぞ。それよりよぉ、マジで引退すんのか?俺全然知らねぇけどよ、一人の判断でそんなの決めていいのか?」


「まぁ結構荒れるでしょうね~。どうでもいいけど!それに私一人だけじゃないのよ?ナイブと一緒に決めたの!」


「そう言う事だ。あぁ、口調に関しちゃこっちが素だ」


 どうやら、自分が生きるべき場所を見つけたらしい。かなり生き生きとしている。ナイブも、それなりにどこか張り詰めすぎていた糸が、緩んだような表情をしていた。


「あ、そうだ!今日ちょっと私の部屋に来てちょうだい?」


「なんでですか?」


「聞かせたい歌があるの!」


 と言う訳で、その日の夜にエアの部屋に向かう三人。まだガックリしているミルを叩き起こし、無理やり部屋まで連れて行く。


「……」


「そろそろ期限直せって」


「……怒ってない」


 ここで怒ってるよね?と言うとまた面倒な事になるので、何も言わないまま部屋の中に。部屋の中では既に、エアとナイブの二人が準備を終えていた。


「あの後、考えてみたんだ……。あたし達のやりたい事って何なのかって」


「それで気が付いたんだ。私ね、歌を歌いたいんだ!世界中に広がる程、凄い歌を!」


「で、あたしはそれを支えたい。……だからよ、一から始める事にする」


「だから聞いて?私たちの最後で最初のコンサート!」


 三人はエアの部屋で、エアの歌を聞いた。エアとナイブの二人で初めて作った、懐かしき思い出の歌。三人は歌に聞き惚れ、ミルの目からは気付けば涙が出ていた。ナラとギンも、なんだか心を動かされるような気分になった。


 そして歌を聞き終えた後、三人はエアとナイブの二人に拍手を送るのであった。


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