第三十九話『大事な事は話し合って』
「災難でしたね皆さま!」
「あぁうん。とりあえず海賊共は船に縛り付けてあるから」
「奴らの身元は我々が責任を持って収監させていただきます!」
「じゃ」
海賊船と、一刻も早くここから出たいと言う客を、海上警察の面々が連れて行ったところで、残された奴らは船に残る事を選択。と言うか、ナラ一行はそもそもこの船の行き先に用があるのだ、近くの島に行く余裕もない。
「あっ、ギン!」
「よっ、持って来たぜこいつら」
「物か!」
そんな中、ようやく戻って来たギン達。引きずられるように連れてこられたエアとナイブの二名。獲物を狩った狼か何かか?……そういえば狼だったわこいつ。
「物じゃないんだからやめなさい!離す!」
「だってよぉ、こいつら全然移動しようとしねぇんだよ。んじゃぁ一発殴ってでも連れてくるしかあるまい」
「だからってそんな……殴ったの!?」
「殴るっつってもちょっとチョップした程度だ。まぁちょっと気絶してっけどな」
気絶したエアの手には壊れたバイオリンが。こうなってなお、手放さないとは見上げた根性である。それはそうと、これは何なのか、ナイブを叩き起こして話を聞く。まぁナラのパンチなんか蚊に刺された程度の威力なのだが。
「あっチクッてした!」
「よぉ起きたかよ。……んでよぉ、なんでそのエアってお嬢はバイオリンを手放さないんだ?」
「……分からん。正直、なぜこんなにもこのバイオリンに執着しているのか、サッパリだ」
「なんか無いのか過去の話とか。よっぽどだぞ?明らかに」
「うーん……。あっ!」
何かないのかと聞かれ、ナイブは少し考えた後、何か思い出したようである。
「確かこのバイオリン……。あたしが初めてエアにプレゼントした物だ」
「そうなんだ……。ちなみに幾らなの?」
「そんな高い物じゃない。……精々一万ケラ程度の物だ」
「そんなのでアレだけの演奏を……?」
そう、ナイブはまだ無名どころか、何者でも無かった時代に、結構頑張って稼いだ金で、ようやく購入した物。
「しかしあたしはなんで忘れてたんだ……?」
「ちなみに何年前の話?」
「あー……?大体十年前くらいじゃないか?」
「よし、その辺はエアに聞こうか。……もう起きてるんでしょ」
ミルがエアの方をチラッと見ると、長く見られて、エアも流石にこれ以上は誤魔化せないと思ったのか、ようやく目を開ける。
「……気づいてたんだ」
「流石に分かる」
「全部聞いてたのか……?」
「うん。……思い出したところから、大体」
「そうか……」
「……どうしようね。これも……壊されちゃったし」




