第三十七話『たとえ相手がだれであっても』
「キリねぇなこりゃ」
「だね。でもそろそろ打ち止め」
ギンとミルの二人は、海賊船に乗り込み海賊を殲滅していた。そりゃもう勝てる訳が無いのだが、本陣が既に船に乗っていると言う事は二人共知っていた。しかし以前であったあの化け物が仮に乗っているのではないかと思うと、先手を取らずにはいられなかった。
「で!どうするこれから」
「船に戻るよ。……あいつがいないと良いけど」
二人が船に戻る事を選択したのと同時刻、ナラはレストランにて敵と出会っていた。どうやらあの海賊船の船長らしき人物である。種族は人間であるが、明らかにそうではなさそうな腕をしていた。
「キメラ?」
「そうだねぇ。あたしの腕は改造済みでねぇ!お前もあたしの体の一部にしてやるよぉ!」
どうやら他者から奪った部位を、自らの部位にしているらしい。だがしかし、ナラは既にとびっきりの役を作って侵入してきた。その一撃さえぶち込んでしまえば、もう一撃必殺って感じである。何の因果か、その役の名前はあの時使った物と同じ。
「『完全な五枚』」
ロイヤルストレートフラッシュである。クッソ弱そうなナラを見て、簡単に倒せると思ったからか、なんの策もなく突っ込んで来た相手は、そのまま完全な五枚を食らい切り伏せられる。真っ二つだ。
「……くぅ……」
ただ、腕へのダメージは深刻だった。恐らく十分くらい腕が使い物にならないくらいに、悲鳴を上げていた。だがしかし、ここにいる相手はさっきの奴だけ、それならばとこの技を選択したのだ。
「だ、大丈夫ですか?!」
「私達は大丈夫!それよりもう一人強いのがいる!気を付けて!」
口でキングを掴み、それで縄を切っていく。一人切ったら後はそいつに任せ、腕を休めつつ状況を確認する。骸曰く、厄介なのが二人いると言っていた。ならばもう一人どこかに変な奴がいるのだろう。そう判断し、使い物にならない腕を忌々しく見つめるナラ。
一方その頃、骸はそのもう一人と戦っていた。場所は黒ダイヤが展示されている、美術館エリアの中央。
「まぁここに来てると思ったよぉ~?名前は?」
「俺は『カギュラ』。スゥ様から命じられてなぁ、ここに乗っている黒ダイヤを取りに来た」
「もしかして~金稼ぎ?みみっちいのぉ!」
「バカを言え!そんなくだらない目的で我々が動くと思うな!」
カギュラと言う男らしき人物は、顔にマスクを付けていた。ただのマスクではない。いわゆるガスマスクって感じの奴である。
「しかし面倒だ……!このまま全部滅茶苦茶にしてやる!」
そう言うと、カギュラはガスマスクから猛毒の霧を噴射し、美術館エリアを汚染していく。




