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第三十六話『誰が為に歌うのか?』

 

「客室に全然人がいないね」


「そうだな……。ところでVIPエリアは明らかにいたな、海賊が……」


「とりあえず僕の剣さえ取り戻せば、まだ対応策はある!……で、エアは?」


「エア?後ろにいる……あっいねぇ!?」


 なんだかんだで、最後尾にいたおかげで全くと言っていい程人がいない箇所を進む事が出来た。自室へ剣を取りに来たナラだが、なんとエアがいない。どうやらバイオリンを取りに一人で向かったらしい。それを知ったナイブは、上の階に走り出す。


「俺はエアを探しに行く!お前は……大丈夫なんだな!?」


「うん!剣を取り戻したらすぐに行く!」


 そんな訳で二手に分かれ、海賊をどうにかする事にした二人。ナラの部屋には全然誰も入っている感じが無く、キングもそこに普通に置かれていた。


「キング!」


「うおっ、なんかあったのか!?」


「海賊!ヤバいよ海賊出た!」


「俺らが船に乗ったら海賊でも来る呪いでもかかってんのか?」


 二人がそんなこんなしている間に、上の階ではとんでもないことになっていた。ナイブが雑魚をぶちのめしながらVIPエリアを進んでいると、突如悲鳴が。悲鳴の場所を見てみると、そこにはエアの姿。そしてその近くには、壊されたバイオリンの姿が。


「貴様ぁッ!」


 状況を察したのか、ナイブはエアの前にいる海賊をタックルで吹き飛ばし、そのまま海に突き落とす。そしてエアに近寄ると、大丈夫かと声をかける。


「大丈夫か!?」


「……私の……私のバイオリン……」


「……すまない……。私がいながら……」


「……」


 バイオリンを壊されたからか、心神喪失状態になっているエア。だがそんな事は知った事じゃないと、海賊たちは襲い掛かってくる。そんなに強いって訳じゃないが、多勢に無勢、戦いたくはない。背負って逃げようとするが、エアがバイオリンを掴んで離さない。


「おい!何やってんだエア!」


「私の……」


「死ねぇっ!」


 そうこうしている間に、部屋の前に海賊が集まってきていた。一体どれだけの人数がいるのかは分からないが、少なくともまだ沢山いると言う事は分かる。


「エア!逃げよう!」


「わ、私は……」


「……エア……!」


 ここで、ナイブは厳しい言葉を投げかける。


「エア!バイオリンが壊されたからなんだ!……まだエアにはその声があるだろ!!それくらいあたしが一番よく知ってるんだよ!……今は、生きるぞ!」


 そして、壊れたバイオリンを捨てさせ、エアを抱きしめそのまま逃げだす。既にナラの手によって海賊は蹴散らされており、簡単に逃げることは出来た。


「とりあえず僕はみんなを助けに行く、ナイブは?」


「あたしは……。エアを守る。それがあたしの役目だからな」


「分かった!じゃあまた会いましょう!」


 そして、客室エリアからレストランがある場所にまで向かうと、そこには何やら変な見た目をした奴が存在していたのであった。


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