第二十五話『槍の行方』
「おらキリキリ歩け」
「ま、まぁ程々に……ね?」
試合に勝ったナラは、勝者権限と言う奴を使って、ここにあるであろう槍を入手しに来た。まだ遊んでいるギンはともかく、なぜかナラまでやってきていた。そして宝物庫を開け、中にあるはずの槍を探す二人。
「……あれ?」
「ねぇな。ここには」
だが、槍が無い。よく見ると、壁に小さな穴があけられていた。せいぜい一ミリ程度の小さな穴だが、この世界にはスライムだっているのだ、その点を考えれば、ここから盗まれたであろうことは考えるのも容易い。
「無いんだけど」
「えぇ?!いやそんな訳……。あ……。無いィっ!?」
一番ビックリしていたのはカンロだった。そりゃまぁそうだろう。まさかこんなに厳重に保管してある場所から、盗まれるなど考えてすらいないのだから。ガクリとぶっ倒れ、魂が抜けたような表情をするカンロを見て、二人はどうするか相談する。
「どうしよ……?」
「盗まれた物は仕方がない。それに見つけようが無いし」
「……あ、あるっすよ……見つけよう……」
諦めるかと思っていたところ、カンロが復活してくる。そして意気揚々と、何やらレーダー探知機らしき物を見せつけてくる。
「何それ」
「当然商品にはね!取られてもすぐ探せるようにしてあるんすよ!……ただ、問題はいつ取られたのかって事っす。島の外に逃げられてたらちょっと探せないっすね……」
「へー……。じゃあ探して!」
そう言われ、スイッチを入れるカンロ。しばらくすると、何やら奇妙な場所に槍がある事が分かる。
「……何ここ?」
「近くにピラミッドがあるじゃないっすか。あれっす。……なんでそこにいるかは知らんすけど」
「よしじゃあ来い」
「えっ」
「そうだね……。うん、もし行ってる間に逃げられたらいやだから、一緒についてきてよ!」
「えぇっ」
こうして、カンロは無事ナラ一行の一人に組み込まれる事になった。仕方ないので代理に店を任せ、ピラミッドに行く事を決める。途中ですっからかんになったギンと合流し、いざピラミッドへ。
「で、ピラミッドはどこ?」
「こっから南西っすねぇ。夜は冷えるっすから気を付けた方がいいっすよ」
「じゃあ行こうか!」
二頭のラクダを借り、一行はピラミッドへ向かう。道中食事を終え、遂にやって来たピラミッド。と、ここでキングがまともに喋り始める。
「あぁいるな。この中に……」
「ホント?!」
「んまぁ落ち着け。おいギンとか言う奴」
「あ?俺か」
「お前が行け。俺は一歩もここから動かんぞ」
「えっ」
剣が無ければ弱弱なナラはいく事が出来ず、ミルはナラが行かないところに行く気なし。カンロ?槍を他人に取られるのは嫌だが、わざわざ死に行く気はない。……どうやってもギンが行くしか選択肢が無いのだ。




