第二十一話『無法国へやってきた奴ら』
「……なんか付いちゃったね……。いつの間にか……」
「自動運転だから。じゃあ行こ」
船に揺られる事一日と少し。港町に着いた三人、だが船から降りた瞬間、死体を踏んずけてしまう。
「ぎゃぁ!?」
「あー死体だ」
「おー死体だ」
かなり困惑している様子のナラに対し、ギンとミルの二人は全く動揺していない。死体を見るのが日常茶飯事とでもいうのだろうか。死体を海に投げ捨て、とりあえず宿へ。チェックインした後、ベッドに眠る。
「い、今のって死体……だよね!?」
「そりゃそうだろ。んまぁこれからもっと見ることになるから気ぃ付けろよ」
「ん。ここは無法国。ゴミのように人が死に、こんな風に死体が放置されてる」
「うぅ……」
勇者として戦ってきたナラではあるが、色々あって人間の死体は見た事が無い。気分を悪そうにしているナラを癒す二人。そもそもここから先、もっとロクでも無い奴しか現れないだろうと考えていた。そうなったらもう、殺すしかない……とも。
「そ、それでなんで来たんだっけ?」
「うん。実は師匠に回収して来いって言われた」
「何をだ?」
「……『愛の女王』か。なぁやめない?あいつ回収しても良い事無いと思うぞ?いやマジで。俺はやめとけって言っとくけど」
この先にある国、『スラム・バンク』にはデカいカジノがある。そこの景品の一つに、タマから回収して来いと命令された愛の女王と言う武器があるのだと言う。武器的に言えば槍なのだと言うが、キング曰く性格が悪いとの事。
「あいつは性格が悪い!何をしても性格が悪い!!」
「そ、そんなに……?」
「昔あいつと一緒に旅をしたことがあるんだよ、まぁそん時は確か……勇者?とか言う奴とな!使用率は俺が一番だけどな!ワハハ!」
「……」
このキングと言う武器。話が脱線するクセがある。と言うか何なら、すぐにでも脱線しまくる。なので基本的にはちょっと聞き流しているフシがある。今回の会話もまた脱線し始めたので、無視して今日は休む。
「じゃあお休み……」
眠り散らかすナラ。ほぼ寝ているギン。その中で、唯一起きているミル。
「……言っとくけど、本気で殺すよ?」
そう言った瞬間、明らかにドア前から気配が消える。本気の殺意を浴びせられたからだろうか。そして翌日、一行はスラムに向けて進むことにした。
「まぁこの辺は砂漠地帯なので、ラクダを使います」
借りたラクダを乗りこなし、砂漠地帯を進んでいく。そんな中、後を付ける人物が一人。
「……アレがナラとか言う奴か。じゃ、追うか」
その名は『骸』義手義足に身を固め、砂を泳ぐ狂人であった。




