王宮へ向かう
ペナン村の教会から出た火は教会を全て燃え尽くした。
王宮騎士団にとって火災を鎮火させる事も出来たが、ユリアが消さないで欲しいとトーマスに言ったのだった。
「だって、ライカさんを静かに眠らせてあげたいんです。」
火が途中で消されてしまえば、地下から白骨と化した2人が見つかるだろう。
ユリアは訳ありの2人をそっとしておきたいとの事だった。
とは言え、火災の後を調べない訳にも行かないので
ここは事情を知っているエディとハンターが残り上手くやる事になった。
ユリアはまだ魔力に波があるものの、だいぶ元気なようだったがトーマスはユリアが心配で仕方ない。
教会の地下から横抱きで出てきて以来、ユリアの側を離れない。
「トーマス様、残らなくてよかったのですか?」
「ああ、エディとハンターが居れば大丈夫だ。」
トーマスはユリアの手を握る。
「ひとときも離れたくないんだ。」
「……!!ト、トーマス様」
「ユリアは俺が居なくても平気なのか?」
「い、いやそう言う訳ではなくて…だって…その」
ユリアとトーマスの目の前には、ミュゼットが座ってこちらをじっと見ていた。
「お気遣いなく。」
ミュゼットはユリアにニッコリ微笑むと、トーマスには無表情の顔を見せた。
「トーマス様!ハンター様をペナン村に置いてくるなんて…私の恋を応援してくださってるの?それとも邪魔しているんですの?」
トーマスはユリアの手に軽くキスをしながら言った。
「これくらいでダメになるようなら、最初からやめとけ。」
「……!!そんな訳ないですわ!ハンター様と私はそんな事では心が離れたりしません。」
「そうだろう?ならいいじゃないか。ハンターも後で必ず会いに行くと言ってた訳だし。」
「え、ええ。まぁ、そうですわね。」
トーマスはそれだけ言うと、またユリアの手を握りしめた。
「ユリア、体調は大丈夫なのか?」
「はい、今は大丈夫です。帰ったらコートおばあちゃんに薬草を煎じてもらいます。」
「無理するなよ。」
「はい。」
「王都に帰ったら、おそらく俺は忙しくなる。今頃ハンプトン辺境伯殿が王都に到着するだろうから。」
「ハンプトン辺境伯様が?」
「詳しいことは、色々分かってから話す。あの守り神の女の正体も分かるだろから。ミュゼットもその時は一緒にな。」
ライカの心の中にある悲しみや憎しみを感じてから、とても気になっていたユリア。
もう居なくなってしまったけれど、少しでも理解してあげたいと思っていた。
「今日はこのまま走るから2人とも少し休むといい。」
トーマスは馬車を降りて、馬に乗り換えた。
ミュゼットは疲れたのかすぐに寝てしまった。
一方、ユリアはしばらく外を見ていた。
「帰ったら、色んな事が変わりそうだわ…1つずつ整理しなきゃ…」
そう言って、ユリアも横になった。




