身を潜めるスキラム
スキラム公爵は、山道を進んでいた。
この山には金の採掘場がある為、道も比較的整備されていた。
「そろそろ横道に入った方が良さそうだな。」
スキラム公爵は整備された道から、古い街道を使って進む事にした。
一方、ハンプトン辺境伯はスキラム邸の中を捜索していた。
スキラム公爵は結局屋敷から出て来ず、ハンプトン辺境伯が中に入った時は、使用人しかいなかった。
しかし、ハンプトン辺境伯は慌てる事なく部下に指示を出し自分は兵士と共に屋敷内を見て周った。
地下へと続く階段を降りた先にある、更に下に降りる階段の先にあった秘密の部屋を発見したハンプトン辺境伯は、祭壇の物を証拠品として全て持ち帰る事にした。
1つの部屋に集めた使用人の事情聴取も、ハンプトン辺境伯が戻った時には既に終わっていた。
「さて、屋敷内の証拠も揃えたし書斎の書類も全て押収したし…そろそろ本人の登場だな。」
ハンプトン辺境伯は、スキラム公爵邸のリビングで優雅に座り待つ事にした。
スキラム公爵が進む古い街道は、今は使われていないので草が生えたり石が転がっていたりと非常に進みにくい状態だった。
順調に進んでいた馬の歩みもここで止まってしまった。
「この役立たずが!」
スキラム公爵は、馬を手荒に引っ張り進む。
日が暮れる前に山を降りなければ、この山の中で野宿する事になる。
貴族のスキラムには無理な話だった。
「来い!何としてもライカ様の元に行かなければ!」
しばらく馬を引っ張りながら進むと、整備された街道が見える場所があった。
スキラム公爵は、少しでもいい道を選んで馬を走らせようと考えた。
林の中を進んで街道にもうすぐ出るという所で、遠くから沢山の足音が聞こえて来る。
とっさに林の中に身を潜めたスキラム公爵。
馬を岩の影に縛り、自分は少し離れた場所へ身を隠した。
「こちらにはいませんでした!」
「では、古い街道の方も探せ!林の中もしっかり見るんだぞ!」
木の影から見ると、それはハンプトン辺境伯の軍隊だった。
「くそっ。」
何とか切り抜けて、ペナン村に向かわねばならないスキラムは先に進みたい気持ちを抑えてしばらくその場で身を潜める事にした。




