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ユリアの復活

トーマス達が真っ暗な階段を慎重に降りる少し前、地下のユリア達は、また大広間に呼ばれていた。


「ユリアさん、少し顔色が良くなったわね。」


ミュゼットはこんな時でもユリアの体調を気づかってくれた。

ユリアは小さく頷いて微笑んだ。

ちょうどその時、部屋の奥からライカが現れた。


「ご機嫌よう」


ユリアとミュゼットは、ここに拐われて来てから一度も乱暴な目にあったりしていない。

このライカと共に食事をしたり、お茶をしたりとまるで友人の家に遊びに来ているかのようだった。


「あの…」


ミュゼットがライカに話しかけた。


「何かしら」


「あの…一つお尋ねしても?」


「どうぞ」


ライカは優雅に紅茶を飲みながら答えた。


「私たちはどうしてここに連れてこられたのでしょう。」


生け贄になると思っていた割には、待遇が良すぎるのがユリアも気になっていた。


「ふふふ」


ライカは静かに笑った。


「決まっているじゃないの、ここに来た理由は生け贄よ。知らなかった訳ではないでしょう?」


やっぱり…とユリアもミュゼットも心の中で思った。


「生け贄と言っても、すぐではないわ。まだその必要がないのよ。」


「必要?」


ユリアは思わず口に出してしまった。


ライカはユリアをじっと見つめた。


「あなた…」


ユリアはライカの大きくて黒い瞳に見つめられて、身体に力が入る。


「あなた…昨日より魔力が強くなっているわね。」


「「え?」」


ユリアとミュゼットはお互いに目を合わせた。


ユリアは焦った。

今ここで自分の魔力が回復したとしても、このライカという守り神に勝てるかは分からない。

ましてや完全に魔力が回復するとも分からないのだ。


「……」


ユリアはシラを切り通すつもりで黙っていた。


「あなた、いい魔法使いになるかもしれないわ。あなたの主人のこのお嬢さんが生け贄になった後は、私の側で仕えなさいな。」


随分と驚く事をサラッと言ってくれるものだとユリアは思っていた。


そのユリアの心の中を見通してるのか、ライカは笑みを浮かべた。



その時、ユリアの耳に何かが聞こえた。


ユリアはライカに気づかれないように音のする方に意識を向けた。


トーマス様!


ユリアには分かった。

トーマスがすぐ側まで来ている事が分かったのである。

自分の魔力が少し戻ってきている証拠だった。


ユリアはすぐライカの方を見た。

ライカはまだトーマス達に気付いていないようだ。


どうにかして、この部屋から出てトーマス達と合流しなくては!とここを出る理由を探した。


するとライカがおもむろにに立ち上がった。


「少し確かめたい事があるわ」


そう言うと同時に、ユリアに向かって稲妻を投げつけて来た。


「ユリアさん!危ない!」


ユリアの魔力が失われているのを知っているミュゼットは、思わずユリアに叫んだ。


ユリアはあまりに突然の事で、魔力が失われていることも忘れて身構えた。

すると、ユリアの手から白く柔らかい光が出て

その稲妻を包み込んで消滅させたのだった。


ユリアはとっさの事で発した魔法が使えた事に驚いていた。


「戻ってる…」


ユリアの身体の中の魔力がみるみる戻ってくるのを感じた。

しかし、またいつ魔力が失われるか分からないので

ミュゼットを連れてここからすぐに逃げなければとミュゼットの手を掴んだ。


「ミュゼットさん!早く!」


ミュゼットの手を取りドアに向かった2人。

しかし、目の前のドアがスッと消えてしまったのだ。


「え?」


嫌な予感がして、ユリアが振り返る。


そこには先程までとな違う形相でこちらを睨んでいるライカの姿があった。


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