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クリムト家の朝

ユリアは明け方目を覚ますとトーマスに抱きしめられながら寝ていた。


「トーマス様?」


トーマスが帰った事に気がつかない程、ぐっすりと寝ていたらしい。

ユリアは外がまだ薄暗いのを見て、またトーマスの腕の中に潜り込んだ。

すっーと息を吸い込むとトーマスの匂いがした。

ユリアはホッとして目を瞑り、また眠りについた。



久しぶりにトーマスはユリアと朝食を共にしていた。


「トーマス様、昨夜はお帰りの時に寝てしまっていてごめんなさい。」


「いや、いいんだ。夜中だったしね。」


「私、トーマス様が帰ったのを全く気がつかなかったんです。」


「最近はユリアも毎日忙しいんだ。仕方ないさ。体調は大丈夫か?無理はするなよ。」


「ありがとうございます。」


ユリアはにっこりと微笑んだ。


「それはそうと、カフェのオープンは明後日か。」


「そうなんです!いよいよです。」


「今日は、ミュゼットさんとカフェの飾り付けに行ってきます。」


「ああ、いよいよなんだな。」



その時、執事頭のローマンがダイニングに入って来た。


「失礼いたします。」


「どうした?」


「はい、ミュゼット嬢がお越しでございます。」


「え?ミュゼットさん?こんなに早くにお一人で?」


「いえ、それが…お一人ではなく…」


ローマンは何やら言いにくそうにしている。


「なんだ、どうしたんだ。」


トーマスがその先を聞くとローマンは小さく答えた。


「その、ハンター様とご一緒でございます。」


その言葉に、トーマスとユリアは顔を見合わせた。



その頃、クリムト家のリビングではハンターが居にくそうにしていた。


「ミュゼット様、やはり僕は来なかった方が…」


しかし、ミュゼットはあっけらかんとしていた。


「でも、どうせハンター様とトーマス様は王宮に行かれるのでしょう?私も今日はユリア様とお約束がありましたし。」


「そ、それはそうですが…」


ハンターがモジモジしていると、そこにユリアが入って来た。


「ミュゼットさん!ハンターさん!おはようございます。」


「ユリアさん!おはようございます!少し早すぎたかしら?ごめんなさい。」


「いえ!大丈夫です!ハンターさん、おはようございます。」


「あ、はい。おはようございます。」


「トーマス様は今着替えをされていますので、もう少しお待ちくださいね。」


「は、はい。」


ユリアはミュゼットの顔を見て、これはどういう状況なのか?と言う表情をした。


ミュゼットはにっこりしながら話した。


「昨晩、トーマス様のお使いで我が家にハンター様がいらしたんですの。夜も遅いので、そのまま泊まっていただいたんですわ。」


「まぁ!そうだったんですか。」


「一緒に朝食を取って色々お話も出来て楽しかったですわ!ねぇ、ハンター様。」


「あ、はい。そうですね。」


ハンターの顔は真っ赤だった。


ユリアは顔を真っ赤にする人を見ると、何故か懐かしくなる。

以前、トーマスと出会ったばかりの頃

お互いに真っ赤になりながら会話をした事を思い出す。

他人事には思えないのであった。


「またエディが無理に泊まれと言ったんだろう。」


そう言いながら、トーマスがリビングに入ってきた。


「!!副総長殿!おはようございます!」


先ほどとは打って変わって、ピシッと立ち上がり礼をするハンター。

その様子をミュゼットはキラキラした瞳で見つめていた。


「ハンター、昨日はご苦労だったな。ミュゼットもおはよう。」


ミュゼットはすっと立ち上がり一礼した。


「トーマス様、おはようございます。」


「さて、我々は行くとするか。」


「では、お見送りを」


ユリアとミュゼットは、王宮に向かうトーマスとハンターを見送った。


いつものトーマスの朝の儀式、ユリアとのハグも行われた。

2人の姿が見えなくなるとミュゼットはため息混じりに言った。


「いいなぁ…ユリアさんはトーマス様にこんなに愛されて。」


「えっ!突然何を言うんですか。」


ミュゼットはユリアの腕を掴んで言った。


「まだカフェに行くまで時間がありますわよね?ちょっと私のお話聞いてくださる?」


そう言いながら、ミュゼットはユリアをグイグイとお屋敷の中に引っ張って行った。



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