寝不足のトーマス
インフルエンザから少しだけ復活しました。
いやぁ、本当にインフルエンザって辛い!
皆さん、お気をつけくださいませ。
「ユリアさんは、私の娘かもしれない」
ハンプトンのその言葉に、言葉が出ないトーマス。
瞬きを数回して動きが止まってしまった。
「トーマス君…大丈夫かね。」
ハンプトンは動かないトーマスを見て心配になった。
しばらく黙ったままのトーマスだったが、大きな深呼吸と共に我に返ったようだった。
「良かった。トーマス君、聞こえてるかい?」
「あ、はい。」
「衝撃的な事だっただろう、すまんね。」
ハンプトンは、目をゆっくり閉じて言った。
「これだけ言ってしまってからなんだが、今の事は胸にしまっておいてくれないか。私はユリアさんにこの事を言うつもりはないんだ。」
「ユリアにはずっと黙っているつもりなんですか?」
「ああ。」
「ハンプトン様…」
「今更、父親だと名乗り出た所でユリアさんが困惑するに決まっているしね。それよりも、今のように近くでユリアさんの事を見守って行ける方がいい。」
ハンプトンはグラスに残ったウィスキーを一気に飲み干した。
「もし、私に一大事でもあったら…トーマス君から伝えてくれ。」
「ハンプトン様…」
ハンプトンは本気とも冗談とも取れるような言い方で、席を立つ。
「それじゃあ、おやすみ。」
1人バルコニーに残されたトーマスは、しばらく固まったままだった。
しばらくして、ふと夜空を見上げて呟いた。
「とんでもない事を聞いてしまったな…ユリアに隠し通せるだろうか…」
昔から嘘が下手なトーマスだった。
自分でもその事はわかっていたので、幾分心配ではあったが、時が来ればハンプトンも自分から切り出すだろうと思い深く考えすぎないように決めた。
朝、トーマスはあまり眠れなかった事もあり
少し体調が優れなかった。
「トーマス様、大丈夫ですか?」
ユリアは体調が優れないトーマスの手を握り、白の力で診察していた。
「ああ、ちょっと寝不足なだけだ。今日は休んでいるよ。」
「では、このお水に少しだけ白の力を込めておきますから、飲んでくださいね。」
トーマス自身も、昨晩の事もありハンプトンと顔を合わせるのも気が引ける為、部屋で休んでいる事にした。
ユリアが下に降りていくと、執事のジョセフが待っていた。
「ユリア様、トーマス様のお加減はいかがでございますか?」
「ええ、少し身体が重いので今日は一日休んでいるそうです。」
「さようですか。後ほど、わたくしがお部屋にお食事を運んでもよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます、助かります。」
「では、消化の良いものを作らせますので。失礼いたします。」
今日は、ハミルの八百屋にショウガやその他の野菜の事について最終打ち合わせがある為、ユリアは出かけなければならなかった。
トーマスの事は心配ではあったが、信頼できるジョセフに任せる事にした。




