到着
王都を出発して3日目の夕方。
ユリアとトーマスは、いよいよハンプトンの領地に入った。
ハンプトンの領地は、辺境の地にある。
昔からこの土地は、他の国との国境がある為とても重要な場所だった。
国境は山を境にしてあり、街は海に面している為、大きな港もあった。
「トーマス様!見てください!海ですよ!海!」
ユリアは馬車の窓に顔を近づけてはしゃいでいた。
「ユリアは海を見るのは初めてなのかい?」
「はい!初めてです!」
ユリアは、今にも窓から出て行きそうな勢いで窓の外を食い入るように見ながら答えた。
「それじゃあ、滞在中に1度海に行こう。」
「はい!楽しみです。」
しばらくして、馬車は街の中心部まで来ていた。
沢山の人が行き交う街中を通り過ぎて、馬車は丘の上にあるハンプトンの屋敷を目指した。
ハンプトンの屋敷がある丘は、街が一望できる場所にありとても見晴らしがいい。
日が暮れかけた街には、ちらほらと灯りがともり始めていて上から見るとキラキラとしていた。
「ユリア、そろそろ到着するよ。」
「あ、はい。」
ユリアは身支度を整えて到着を待つ。
すると馬車が止まり、扉が開けられた。
「やぁ!待っていたよ!いらっしゃい!」
待ち構えていたかのように、ハンプトンが手を上げて歓迎していた。
先にトーマスが降り、トーマスに支えられてユリアも馬車から降りる。
「ハンプトン辺境伯様、この度はご招待ありがとうございます。」
「トーマス君!よく来てくれたね!」
隣でユリアがお辞儀をした。
「ユリアさんも!いらっしゃい!」
「ハンプトン様、ありがとうございます。お世話になります。」
「さぁさぁ!立ち話はこれくらいにして、中に入ろう!長旅で疲れただろう?」
ハンプトンに案内されて来客用のリビングでお茶をご馳走になるユリアとトーマス。
「本当によく来てくれたね!嬉しいよ。」
ユリアは紅茶を飲みながらニッコリ微笑んだ。
「ハンプトン様のお屋敷は、とても素敵ですね!」
「この屋敷はもう150年くらいの物なんだよ。飾り付けも代々他国の装飾品を色々飾っていてね。違う国みたいだろう?」
「はい!何だかワクワクします!」
ユリアは手を振ってはしゃいだ。
「はははははは!ユリアさんはやっぱり可愛いね!」
「あ、も、申し訳ありません。つい、はしゃいでしまって。」
そんなユリアを見てトーマスが言った。
「今回の旅でユリアは公爵家の人間として恥ずかしくないように振る舞うと断言しておりました…が。僕はあまり期待していません。」
「あ!トーマス様!ひどい!」
「ほら、だから無理だって言ったろ?そのままでいいんだよ。」
そんな2人のやりとりを見ながらハンプトンがケラクラと笑っている。
「ここにいる間は、いつもと一緒で大丈夫だよ。自分の家のように気楽に過ごしてくれれば。」
ユリアは頭を下げて言った。
「ありがとうございます。」
その時、リビングに執事が入って来た。
その初老の執事はトーマスとユリアに礼をした。
「クリムトご夫妻様、お荷物はお部屋の方に全て運び終えてございます。」
「どうもありがとうございます。」
「トーマス君、これは執事のジョセフだ。何かあればジョセフに言ってくれ。」
「はい、分かりました。」
ハンプトンは手を叩き立ち上がった。
「馬車の移動で疲れただろうから、夕食まで部屋で休んだらどうだい?ユリアさんも疲れただろう?」
「ありがとうございます。ユリア、そうさせてもらおう。」
トーマスとユリアはハンプトンに礼を言って
屋敷の2階にある客室へ向かった。




