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かけたかけら  作者: 一筆
4/4

FRAGMENT

 LACK FRAGMENT


 小雪の舞う公園には、掃かれずに溜まり続ける落ち葉の山がある。彼女は今日もそこに身を埋め、傘を持つ彼は今日もそれを見ている。

 ふと、彼は立ちならぶ裸木へと目を向ける。そこに何かを求めるように。


 パシャッ。


 不意にシャッターの音がして、彼は彼女を見遣る。落ち葉の中、レンズを向ける彼女の憂いた目が彼をとらえる。

 ――いきなり撮るなよ。

 ――だって……。

 彼女は目を逸らし、落ち葉を無意味に見詰める。彼女の周りを、雪が湿らせる。

 ――いなくなっちゃ、嫌だからね。

 彼女が呟く。



 WITHER FRAGMENT


 彼女は手を伸ばす。首を傾げながら彼はその手を取る。

 彼女は、彼を引っ張る。

 彼は、彼女に引っ張られる。

 落ち葉が雪と舞い、二人を覆う。しかめっ面の彼と、楽しげな彼女の横顔を、枯れ葉がそっと覆う。彼の手を離れた傘が、舞って落ちる。

 ――なんだよ。

 ――なんとなく。

 ――落ち葉、濡れて冷たいじゃないか。

 ――そうだね。

 二人とも表情を変えずに言葉を交わす。

 ――でも、君の手が温かいから寒くない。

 彼女は握った手を頬に添え、すこしのあいだそっと目を閉じる。彼は繋がる手を見詰め、笑い顔を見せる。それを見て、彼女は言う。

 ――おかえり。やっと、笑ったね。

 ――ただいま。やっと、笑えたよ。

 二人の小さな笑い声が、公園に響く。


 二人の周りを、氷の欠片が降り注いだ。

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