FRAGMENT
LACK FRAGMENT
小雪の舞う公園には、掃かれずに溜まり続ける落ち葉の山がある。彼女は今日もそこに身を埋め、傘を持つ彼は今日もそれを見ている。
ふと、彼は立ちならぶ裸木へと目を向ける。そこに何かを求めるように。
パシャッ。
不意にシャッターの音がして、彼は彼女を見遣る。落ち葉の中、レンズを向ける彼女の憂いた目が彼をとらえる。
――いきなり撮るなよ。
――だって……。
彼女は目を逸らし、落ち葉を無意味に見詰める。彼女の周りを、雪が湿らせる。
――いなくなっちゃ、嫌だからね。
彼女が呟く。
WITHER FRAGMENT
彼女は手を伸ばす。首を傾げながら彼はその手を取る。
彼女は、彼を引っ張る。
彼は、彼女に引っ張られる。
落ち葉が雪と舞い、二人を覆う。しかめっ面の彼と、楽しげな彼女の横顔を、枯れ葉がそっと覆う。彼の手を離れた傘が、舞って落ちる。
――なんだよ。
――なんとなく。
――落ち葉、濡れて冷たいじゃないか。
――そうだね。
二人とも表情を変えずに言葉を交わす。
――でも、君の手が温かいから寒くない。
彼女は握った手を頬に添え、すこしのあいだそっと目を閉じる。彼は繋がる手を見詰め、笑い顔を見せる。それを見て、彼女は言う。
――おかえり。やっと、笑ったね。
――ただいま。やっと、笑えたよ。
二人の小さな笑い声が、公園に響く。
二人の周りを、氷の欠片が降り注いだ。




