小さな贈り物2
ティナは胸を張ると、その瞳を輝かせた。
「そう! ティナさん特製、次元の指輪――!
これをミオに!」
「えっ! い、いいの?!」
「うん!」
ティナはにっこり笑った。
「三人でおそろいだよ!」
「三人?」
美緒は手を掲げたシルヴァンを見る。
「あ、シルヴァン、それって……」
「ああ」
シルヴァンは自分の指輪を見せた。
「俺も以前、ティナからもらったんだ。
……そうか。ティナ、最初からそのつもりだったんだな」
「えへへー!」
ティナが照れくさそうに笑う。
シルヴァンは、指輪を眺めながら説明した。
「これはな、ミオ。
魔法空間――次元の狭間に、物を収納できる能力を持つ指輪だ」
「次元の狭間……」
「ああ。
普通は魔法袋っていうものを持ち歩くんだが……」
そこでティナを見る。
「それを指輪に錬成できるのは、学園内でもティナぐらいのものだろう」
美緒の目が、真ん丸になる。
「すごいんだね、ティナって……!」
「でしょー?」
ティナが嬉しそうに笑う。
シルヴァンが続けた。
「それだけじゃない。
なによりすごいのは、その空間には、パートナーの幻獣や魔獣のための場所もあるそうなんだ。
ティナのミスティは、そこにいるんだろ?」
「そう! 快適だって言ってくれてるよ」
「ほぇー……」
美緒は、感心しながら指輪を見つめた。
「ほらほら、ミオ。嵌めてみて?」
「うん」
美緒は二人に倣い、右手の小指にそっと指輪を通した。
驚くほど、するりと指に馴染む。
そして指輪は、ほんのりとした温かさを返してきた。
「……すごい!」
美緒は指輪を見つめ、それから顔を上げた。
「ありがとう、ティナ!」
「どういたしまして」
ティナも満面の笑みを浮かべる。
「あとで、実際に使ってみようね!」
*
食後。
三人は、美緒の部屋へ集まっていた。
ティナが机の上に、昼間の古書店でもらった魔導書を並べる。
「じゃあ、これを空間にしまってみて!」
「う、うん……」
美緒は少し緊張しながら、魔導書を手に取った。
(できる……かな……)
指輪へ意識を向ける。
すると――。
手の中の魔導書が、淡い光に包まれたかと思うと、ふっと消えた。
「えっ?!」
「やった! できたよ、ミオ!」
ティナが嬉しそうに両手を上げる。
「次は顕現だな」
シルヴァンも笑った。
「だね!」
「う、うん……」
美緒はもう一度、指輪にそっと触れた。
(お願い……出てきて!)
次の瞬間。
淡い光が指先からこぼれ、何事もなかったかのように、魔導書が美緒の手の中へ現れた。
「で……できたっ!」
「やった! ミオ、完璧!」
「すごい! 嬉しい!」
美緒は思わずティナに抱きついた。
「本当にありがとう! ティナ!」
「あはは……!」
ティナも笑いながら、美緒の背中に腕を回すと、ぽんぽんと叩いた。
「そんなに喜んでもらえて、嬉しいよ!」
シルヴァンも、そんな二人を見て笑った。
「完璧に使いこなせてるな、ミオ」
「本当? ティナのおかげだね!」
「ふふっ! もっと褒めてくれてもいいんだよ?」
美緒は満面の笑みを浮かべた。
「じゃあ……ティナさん、すごい! 素敵! 最高っ!」
「あははは!」
部屋いっぱいに、三人の笑い声が響いた。
窓の外では、夜の街に魔法の灯りが一つ、また一つと浮かび始めていた。
美緒はその光を眺めながら、今日一日のことを思う。
胸の奥には、いつの間にか、ふんわりとした温かさが灯っていた。
夜は静かに更けていく。
けれど、その部屋には、まだ三人の楽しそうな声が残っていた。




