↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8月短編集  作者: 天雲 律
PR
19/28

天楼千重波、甘美な香り

久しぶりの三連休一日目、溜め込んでいたゲームやプラモや映画や本を消化するため、お供のお菓子やジュースをコンビニで買い出す。


両手に抱えきれない程の袋を下げ、いつもは使わないショートカットが出来る路地を使う。


「ミャーオ」「ニャニャンニャーン」


不思議な柄の二匹の猫が前を横切る、背中に花柄の茶トラ猫と、背中に波打つように5本の線が入っている黒猫。


ありふれた日常の一幕だったかもしれない、けれど今日やるゲームや映画の事を考えてしまう。


猫に導かれ、戦国時代にタイムスリップする物や、映画の一つにはワンコとのハートフルストーリー、プラモデルには機械化したハムスター、本は駅員さんのニャンコのお話だ。


それくらい非日常に憧れていた、何処か知らない場所へ、煩わしい人間関係が無く、新しい刺激に溢れ、誰も俺を知らない場所へ、そんな事を……考えてしまう。


新卒で入社して一ヶ月で、親を亡くしたショックで辞めてしまったり、新しく入った場所は稼ぎはいいが人とのすれ違いが起きたり、嫌な事ばかりでも新しいバイト先は人間関係が良くて──


「まぁ、疲れるわな」


現実逃避するのには素晴らしい状況だ、だからだろう周囲の変化に全く気づかなかった、大勢の足音、人の笑い声、夏なのに暑さを感じ無い気温、肉の食欲誘う香り……俺は知らない場所に立っていた。


目を凝らし周囲を観察する、けれど0.1以下でメガネを掛けていない乱視の入った目は、辺りが暗くなった事以外なんの情報も受け入れられない。


ドンッと音が鳴るように肩をぶつけられても、俺は……地面に尻餅を着いたまま動けなかった。


「大丈夫ですか?さっきから転んだままで」


甘ったるく男の心を乱す声、蠱惑的な甘い花の香り、大部分が肌色の大胆な水色の服を着た女性に、手を差し伸べられる。


先ほどまで考えていた非日常が突然起こった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。