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巻き込まれ宇宙人の異世界解釈 ~エリート軍人、異世界で神々の力を手に入れる?~  作者: こどもじ
七人の子編

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統治者の仕事

 魔性の森に帰ってからもダンに休む暇はなかった。


 全世界で幽魔(アスラ)が暴れ回ってくれたおかげで、その後始末に奔走する羽目になったからだ。


 別に何の義理もないダンがすべての人々を助ける必要もなかったのだが、さりとて自分にその力があるのに見捨てるのも寝覚めが悪い。


 損な役回りと思いつつも、面倒を見ざるを得なかったのだ。


 これを狙ったのなら、確かに幽冥の主(アスラ・ロード)たちの嫌がらせは功を奏したと言えるだろう。


水の館(エアブズ)の方はどうだ? 状況は落ち着いたか?」


『お魚さんたち、頑張って倒してくれた。もう問題ない。何人か死んじゃったけど……』


 エアからも心が痛む報告が上がってくる。


 海精(アプカルル)の内何名かが犠牲になったようだ。


「それも仕方があるまい……。かなりの規模の侵攻だったようだからな。怪我人は治療してやっているんだな?」


『それは、大丈夫。傷付いた人は皆、今はピンピンしてる、よ……』


 その報告を受けてダンはひとまず胸を撫で下ろしたあと、エアに「引き続き警戒を頼む」と答えて通信を切る。


 ふう、とようやく一息ついて、ダンは椅子の背もたれに身体を預けた。


「まったく、伊達や酔狂で指導者などになるものではないな。ろくに自由に歩き回る時間もないぞ……」


 ダンはうんざりしたようにため息交じりに言う。


 既にこの遭難した星の三割近くがゾディアック、またはイシュベールの名の下に統治され、そこらの皇帝すら遥かにしのぐほどの勢力を誇るダンだが、やっていることはただの使い走りと大差がない。


 これで我こそが王の中の王と民衆を顎で使ってふんぞり返れる性格の者なら楽が出来たのだろうが、生憎ダンはそこまで開き直れるたちでもない。


 さりとて自身を主と慕う者たちを捨ておくことも出来ず、ダンは割に合わない仕事に従事する羽目になっていた。


「そういえば……イーラや他の者たちの様子も見に行かねばならんなぁ」


 ダンはそう言ってカップのコーヒーを啜ったあと、今後の予定に思考を巡らせた。



 * * *



 「おお、南大陸(アウストラリス)へ!? それは良いですなあ! 我もご一緒しても?」


 敵国の皇子であるにも関わらず、すっかり学校に馴染んで子供たちに囲まれているランドルフが言う。


 一応客人の身分である彼には、事前に話を通しておこうと考えたが、どうやらダンに着いてきたがっているようであった。


「ええ、もちろん構いませんよ。何か南大陸に用事でも?」


「いや、これと言ったものはないのですが、元々我も南大陸に亡命するつもりだったので、どんな国か興味があったのですよ。美味い料理に美味い酒! 褐色の美しい女性と一夜を楽しむ、そんな生活を楽しむつもりでありましたが、どうやら水泡に帰してしまったので、雰囲気だけでもと」


「ははは! なるほど、酒や料理は分かりませんが……確かに褐色の女性は居ますよ。ただ、私が行くのは主に人間の住む領域ではありませんが」


「なんですと? それはどういう事です?」


 ランドルフの質問に、ダンはこう応えた。


「私が向かうのは黒妖(ダークエルフ)族の領域ですよ。南大陸(アウストラリス)で私が保護している領域には主に彼らが住んでいます」


「だっ、ダークエルフですとぉ!? 妖精(エルフ)族と同じ、姿を現さないことで有名な幻の種族ではありませぬか!」


 ダンの言葉に、ランドルフは声を荒げる。


「そうなんですか? 彼ら……いや彼女たちは普通に砂漠で暮らしてましたよ。もっとも、人が立ち入れぬような秘境だったので、なかなか人目に付くこともなかったようですが」


「いや、人目に付かぬどころではありませんぞ! ここ百年くらいは目撃情報すらなかったはずです! まさかまだ存在していたとは……是非とも我も同道させてくだされ!」


「まあ構いませんが……一応戦後の視察が目的なので、あまり羽目を外しすぎないようお願いしますよ?」


「もちろんです!」


 ランドルフは目を輝かせながら頷く。


「フレキ先生とエリシャ殿も、私が留守の間引き続き学校のことをよろしくお願いしますね」


「は、はい、首領様!」


「もちろんでございます。孫のミトも故郷に帰れたことを大層喜んでおりますわい。まったく……まさか攫われた孫と再開できるとは、首領様には感謝してもしきれません」


 相変わらずダンの前だと緊張で固くなるフレキを他所に、エリシャは以前よりも柔らかくなった表情で言う。


 自分の直系の子孫が生き残っていたことに、心の澱が取れたのだろう。


 今は完全な優しい目をした老婆と化していた。


「たまたまですよ。私も、これでラースに少しだけ償うことが出来ました。あとは彼の墓をしっかり作ってやるだけです」


「あのバカ息子には過分にございますよ。首領様は何もお気になさらず、ただ我らにお命じ下されば良いのです」


「そういう訳にもいきません」


 エリシャの言葉に、ダンは苦笑しながら答える。


 どうもダンは未だに神として傅かれることを当たり前とは受け取れない。


 結局のところダンの根っこは軍人であり、民衆を従えるより奉仕するほうが性に合っていた。


「とりあえずあちらで私は街の復旧なども指揮せねばなりませんから、しばらく戻れません。その間、子どもたちのことをよろしくお願いします」


「わ、分かりました!」


「もちろんでございます。首領様のお手を煩わせたりはしません」


 そう答える二人に頷き返したあと、ダンは改めて視察の日程を計画するのであった。




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