幕間⑤~カティアが貰うプレゼント
楽しそうに話しをするカティアとフィフィ。
そこに扉から音がする。
すると――フィフィと同じ赤茶色の髪を束ね。ぽっちゃりとした優しそうなおばさんがティーポットとパンのようなモノを茶皿に置いて部屋に入ってくる。
「お嬢さんがた。ずいぶんと賑やかなことですがお茶にしませんか?」
冗談混じりの言葉と善い笑顔で話しかける、フィフィにどこかしら似ている顔で部屋に入ってきた。
「お母さん! ただいま……」
すこし驚いているがフィフィは椅子から立ち上がり優しそうな笑顔の女性に近づいていく。
「はい、お帰り。お父さんにフィフィが友達を連れてきているって聞いてね。お茶菓子だよ、ほら」
「ありがとう」
「いいよ、ゆっくりしていってね」
フィフィの母親はカティアを見ると優しそうな笑顔のまま挨拶をしていく。
カティアもお辞儀を返すと。そのままフィフィに荷物を渡し部屋から出ていった。
「やさしそうな母親ね?」
「うん。えへへへへッ」
カティアの問いに返事をして、こそばゆい笑いを浮かべるフィフィ。
フィフィは机に紅茶のセットと“スコーン”と蜂蜜とバターが置かれた皿が入ったお盆を置いた。
そうして、お茶の準備をし始める。
「そう言えば、さっき下にお兄さんがいたわね? フィフィちゃんの兄弟は何人いるの?」
「上にお兄ちゃんが2人。わたし末っ子なの?」
「そう、パン屋みたいな工房だったわね。あそこで働いているの?」
「うん、2人とも修行中」
「ふ~ん、そうなんだ……歳も離れていそうだったわね」
「うん、上がいま20歳でその下が18歳になるの、私は最後。……はい、カティアちゃんお茶どうぞ」
フィフィが紅茶を取り出し、カティアの前に置いた。
そうして、お茶による――閑話休題。
「そうなんだ。お兄さん達がお店を継ぐからフィフィは継げないの、それで冒険者になろうとしたのね?」
「そうなの、魔術の才能が少しあって、魔力も高かったから。お父さんがおカネを出して冒険者学校に通わせて貰っているの」
カティアとフィフィはお互いに身の上話とこれまでの人生の経緯を話していた。
楽しい話しから悲しい話しまで、とにかくお喋りを続ける。
そうしていると机の上に箱が少し開いている事にカティアは気がついた。
「これは、なにかな?」
「えっと、わたしのちょっとした趣味みたいなモノかな……」
フィフィは箱を取り出し中身を見せた。
ソコにはア手作りで造られたアクセサリーがあった。宝石類などは一切ないがガラス玉や瑪瑙の石、鉱石の欠片が丸玉のように加工されたモノに穴を開け、革紐を編んで綺麗に腕輪や小物付き紐になっていた。
「わぁ~、綺麗。フィフィちゃんの手作り?」
「うん、そう、まだまだだけど、こんな小物を作る事が好きなの、えへへへへッ……」
フィフィは恥ずかしそうに笑った。
「ううん、上手いよ。へぇ~、こんなのも出来るんだ」
「それは“トンボ玉”っているガラス細工なの。最近町の商人さんが南部から仕入れたんだって」
「ガラスなんだ。綺麗ね」
カティアはその小物につけるアクセサリーをうっとりと眺めた。
「うん……それじゃあ。……あげる」
フィフィがそう言うとカティアは驚く。
「い、いいよ。悪いから。フィフィちゃんが造った大切なモノでしょ」
「うん、でも……『友達の証』として、えへへへッ」
フィフィがそう笑うと――カティアはボーっとしてしまう。
(ハわあはわわわあははッッッッ……)
予想外の出来事。そして嬉しい友達からのプレゼントにカティアはトキメキと通り越してパニックになってしまった。
――真っ赤になるカティア。
「どうしたの? 余計な事だった?」
「……ううん、嬉しい! ありがとう!」
カティアはフィフィに詰め寄って手を掴む。
「うん……カティアちゃんに似合う赤い色だからいいかなって思って」
「ありがとね、フィフィ。フッフフッ!」
カティアは上機嫌で笑顔を見せた。
そのまま――友達としての時間過ぎていき。いつの間にか日が暮れる。夜も近くなり時間経過を忘れて話していると――フィフィのお母さんが「メイドだよ、メイドが家にきたんだ」――と、血相を変えて部屋に知らせに来た。
だれもカティアの事を領主の娘と思わずにさらに驚くフィフィの両親。
そんなこんなの出来事があり。カティアは別れを惜しみつつ屋敷に帰った。
***
夜――カティアの部屋。
大きなベッドと化粧台。収納タンスと書き物机が置かれ、それ相応の地位がある領主の娘の部屋という感じだ。
カティアは机に座って風呂上がりで火照った身体に少し濡れた髪のまま、すこしセクシーな寝巻に身を包み。フィフィがくれたアクセサリーを眺めている。
机の近くには光源があり、美しく光沢があるトンボ玉をまるで宝石をみるような瞳で嬉しそうに見ていた。
光に当て、角度を変え、愛おしそうに眺める。
そして――「ウッフフフフフフフフフフフフフフフフッッ……」と、少し不気味な笑い声を不意にあげた。
***
それからカティアの冒険者学校での生活は変わる。
楽しそうにフィフィとお喋りをして、嬉しそうに授業を受けている。
そして――授業がおわった昼休み。食事を取る為にいつもの中庭にフィフィと昼食をとりに出かけていた。
楽しそうな笑い声と「フィフィちゃん」、「カティアちゃん」という掛け声と一緒に。
そんな2人に黒い影の集団が近づいていく。
「ちょ、ちょっと……いっしょに、昼食をとりません?」
「ええ、一緒にたべましょうよ?」
「すこし、カティアさんとお話したくて、ね、いいでしょ?」
同じ組の女子たち数名がカティア達に話しかけてきた。
戸惑いをみせるカティアだったが、「いいよね? 一緒に食べましょう!」――と、フィフィが軽く了承する。
そうなのだ。実は多くの生徒はカティアと話して見たかったが、みんな潜在的に気後れしてしまってなかなか話しかけられなかったのだ。
カティアも1つの状況が変われば世界が劇的に変わる事を、この時初めて知った。
とりあえず幕間も話は終わりです。
長いような短いような。でもあまり長すぎると本編に支障をきたす恐れがある為に区切ります。
ジョーがいない間のカティアの友達作りという感じの話でした。




