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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第4章; 王国狂騒編
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冒険者メシ

 その後、ドレイクの解体をするオジュール達。

 解体といっても不要な胃袋や内臓を取り出し、血抜きを行って心臓近くの魔石を取り出した後でドレイクの死骸を翼陽の団が持っている“浮遊する(フロートボード)”で持ち上げていく。

 ドレイクの身体はかなりの重さと面積があるので浮遊する(フロートボード)10枚も必要になっていた。

 それをあらかじめ用意していた運搬車に乗せて細い鋼縄でドレイクの死骸を縛っていく。

 最後に《保存》の魔術をかけて完了となった。


 そして、そのまま運搬車は翼陽の団のD,Cランクの団員によって(ふもと)の村まで運ばれていく。

 その間にジョー達を含む他の者達は戦場の清掃と罠の再設置だ。

 血が飛び散り、ドレイクの火炎の渦によって燃え広がった草原の後片付けをしていく。草を刈り、食い散らかされた肉を処理していった。


 全てを終える頃になると、夕方を近くになっていた。


「よし! みんなメシの準備だ。今日は豪華だぜ!」

 オジュールは嬉しそうに宣言する。

 彼にとって早2日目でドレイク1匹目を討伐出来ると思ってもいなかった。

 幸先のいいスタートの御祝儀という所だろう。


 歓声が上がり―――そのまま夕飯の準備に入っていった。


***

 

 林の中に用意された寝床近くに集まり調理が開始されている。

 土魔術で用意された焜炉(こんろ)に大きな鉄鍋が置かれた、その中に“フラ鹿”のあばら骨付きの生肉が底につめられ、その上に乾燥した大麦が入れられ、塩と香辛料で味を調え、水を入れ薪の火で温めていく。

 落とし蓋をしてグツグツと煮立つまで。


 女性陣達は“保存箱(プリペードボックス)”から野菜を取り出し水で良く洗いサラダにしている。お喋りをしながら楽しそうに調理をしていた。

 ヒュールを中心に何名かが木炭を用意して、大きな金網で加工して味をつけている“フラ鹿の肉”、“イノブタギュウ”の肉が焼いていた、いい匂いが辺りに充満して極上の香りを醸していた。


 さらに他の場所では余った肉と野菜、それと山菜ときのこでスープを作っている組もあった。

 各々が動き、そして食事を作り手伝い、そうして野外で食べるには豪華な冒険者メシが完成されていく。


***

 

 夜になり食事の準備も整ってオジュールの音頭を皮切りに宴が開催された。

 座る場所は土魔術で盛り上げ固めた場所に布を敷き、各自自由に座っている。


「あっ、美味い……」

 ジョーは素直な感想を口にした。

 大麦とフラ鹿と肉のオカユのような食べ物だと思っていたが予想外にプチプチとした食感と、くさみが無く、美味さが染み出た肉の味にシンプルな味付けが相まってガツンと脳内に『美味い』という単語が飛び出てきた。


「本当だ……」

 サイリアもサラダとスープを食べた後にジョーが食べているモノと同じ物を食べていた。


「今度作ろうか……?」

 サイリアは隣にいるジョーに尋ねた。

「あぁ、そうしようか……」

 ジョーはそういうと、用意された麦酒を片手に飲む。

「わかった、今度頑張るね……」

 サイリアも麦酒を飲みながらゆっくりと食事をとっていた。


 ――麦酒はここでは“水”と同等の扱いだ。

 冒険者の間でも野外での食事は大抵が麦酒になる。それは安全からの配慮だった。

 長期間保存した水は腐る。――それは冒険者の間では常識である。

 それで熟成しても腐らない麦酒が好まれるのだ。

 しかし、魔術で水分は確保できるので――冒険者の間で大義名分のイイワケだった。


 仕事が終わったら酒くらい飲むのが冒険者の常識なのだろう。


 オジュールを始め、周りの者達も麦酒を片手に食事を進めている。


「肉も美味いな! 臭くない」

 ジョーは他の皿に用意された焼き肉を食べていたが予想外の美味しさに目を見開いた。


「ちゃんとした下処理がしてあるのね。香草と香辛料を混ぜて臭みを取っているのかな?」

 サイリアも食べながら分析を進めていた。


 そうして宴が進んでいくと――次第にだらしない雰囲気になっていく。

 

 ラリーは翼陽の団のエフレスカを始め、双璧のミレーダやリーンをナンパしていた。

 オジュールを始め、ヒュールも酒に酔い何人かと焚火の廻りで踊っている。

 ミック、グレー、ガルン、ガイン、ジュローは集まって酒盛りをしている。


 完全に混沌とした雰囲気を眺めながらジョーとサイリアはシッカリと翼陽の団持ちも食事を楽しんでいた。


 そして――ジョーの近くに置かれた樽に蛇腹刀が入れられていた。

 中にはドレイクの血が入れられ。他にも色々入っていた。

 通常で考えればそのような武器を血に突っ込むと錆びる事は常識だが、スネークは生命宿る武器の為に大丈夫なのだろう。


【美味い、美味い、美味い、美味い……――――――――】

 ずっとそのような小声が樽から聞こえ見事のドレイクの残飯を処理してくスネークだった。

 そして闇夜の空にドレイクの叫び声が聞こえていた。


***


 食事も終え片付けも協力していく一同。


「大丈夫、持つよ……」

 そう優しくエフレスカ重そうに持っていた鉄鍋を受け取るジョー。

「アッ、すいません」

 そういってお礼をいうエフレスカ。


 実に優しい光景だが、これにはマリーの占い結果が絡んでいる事などジョーとサイリア以外知らない事だった。


 ラリーが「俺も手伝うから!」と大声で主張して割り込んでいたが、ジョーとラリーでは目的は違う。

 ジョーは紳士になる為。(女子に優しく呪いを解く)

 ラリーはその後狼になる為。(女子に優しくその後いただく)

「おい、ジョー、エフレスカちゃんを狙っているのか?」

「ラリー、……俺はお前のように生きたいよ」

「なんだよ。いい感じで手伝って仲良くなりたい感じじゃなかったのか?」

「あぁ、俺の目的は違う、王都にいる間は女性に優しくしなきゃならない。呪いを解く為にな……」

「深刻そうだな……。まぁ、女性に優しくするのは良いことだ。ベッドの上でも優しければ優しいほど良いからな。グフフフ……」


 ラリーのゲスな笑いをジョーは見ていた。

(話しが噛み合ってないな……)

 ジョーは心で失望しながらラリーと一緒に片付けを手伝う。


 こうして後片付けを終えた冒険者達は食事をした場所にまた戻り、オジュールとヒュールを中心に集まっていた。


「さて、今日の反省会でもするか」

 ヒュールの発言から、この日のドレイク討伐反省会が始まる。




ダンジョン飯という漫画を意識した今回の話。

冒険者の食わねば生きていけいないという日常回だと思ってください。

余談ですが、『麦酒』は昔から安全な飲料水と言う事で親しまれてきたみたいです。

樽の中に用意した水はいつか腐るのも本当の話です。

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