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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第3章; 御嬢様の御弟子入り
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思い出はいつも

「へぇ~、あなた達そういう経緯でジョー師匠の舎弟になったの?」

 

 カティアは近くに座る黒三連のガイヴ、マッシュ、オルイガの話を聞きながら、そう言った。

 ガイヴ達は飲み物の“オツカイ”を終えチャッカリとジョー達が座っている近くの場所に陣取っていた。

 ガイヴ達は自分達が出会った経緯を懐かしむようにカティアに話していた。始めはカティアに命令されて話していたが興が入ったのか次第に感情を込めて話始めていた。

 内容は2年ほど前にガイヴがジョー達に絡みボコかられて舎弟になった話から始まり、そして更生していく不良達の成功話のようになっていった。


「そうです、カティアの姐さん、俺らはそれまで町中の屑(不良)でしたが……、ジョーの兄貴の熱い喝に(しび)れました」

「俺ら半年間挑み続けて負け続けたあの日、最後のあの日、ジョーの兄貴は俺達に言ったんです。『お前ら、根性あるぜ。冒険者になって、俺の舎弟になれよ』、そう熱い言葉を頂きました」

「アレには痺れたなぁ、そのあと兄貴がそう言ってその場を去っていく姿がカッコよくて……」


 ガイヴ達はしみじみと語りだしていた。

 が――(誰だよ! それ! 知らねぇよ! そんな台詞!)――ジョーはそう思って麦酒を飲んでいた。

 だいぶ思い出に憧れが入って改変してしまっているが、カティアを含め話は盛り上がっている。


「そうよね、ジョー師匠は、始めは怖かったけど……なんて言うのかな、師匠は危機になったら守ってくれるし、この前なんて魔物の集団に襲われた時なんて、颯爽と現れて、もう何が何だか分からない内に倒しちゃったもの、その時『カティア、無事か、よかった』って言ってくれたの……」

 カティアは目を輝かしてそう言っていた。ガイヴ達は“ワカル、ワカル”と言う風に頷いている。


(おい、そんな事言った記憶がないぞ!)――ジョーは思う。そして麦酒を飲んだ。


「そうなんっすよ、ジョーの兄貴のお陰で俺達の生活も変わりました。俺達この辺の不良達の元締めだったんですよ。でもね、冒険者になってから、ココロ入れ替えて頑張ったんですよ。この前なんて、オフクロにパーテンの毛皮のコート買って渡したら。泣いて喜んでました。あの時冒険者になって良かったって思いました。うゥゥ……」


 ガイヴは目頭を押さえ上を向いて泣いていた。

「ガイヴ、俺だってそうだよ。母ちゃんにこの前の依頼料で家具かったら、泣きだして、『お前がまともになってくれて嬉しい』って……、なんだろう、俺も涙が……」

 マッシュも目元に手をあてて泣き出した。

「お前ら、最高だゼェェェ、俺も同じだぁ! ジョーの兄貴はここまで見越して俺らを更生させてくれたんだよォォォォ……」

 オルイガはそう言って、熱く、熱く語りだし、机を叩いた。


(なんでだよ、そこまで考えてねえよ! その前に何で俺のお陰になるんだよ! 言った記憶もないし……)――ジョーは無表情のまま酒を飲む。隣にいるサイリアも黙々とサラダと飲み物を飲んでいた。


「良い話ね……」

 カティアはそう言って笑顔で拍手をガイヴ達に送っていた。

 横にいるメリーダも何故が拍手して合わせている。


「そうだ、その時思ったんだ。俺らジョー兄貴とサイリアの姐御について行こうって……、やべぇぜ! これが運命っか! と思ったんだ」

「ガイヴ、俺もだ、ジョーの兄貴にボコボコにされたあと、サイリアの姐御が優しい回復魔術をかけてくれた事を忘れもしねぇよ。あの時、厳しさと暖かさが俺達を包んだんだ!」

「ガイヴ、マッシュ、おめぇら、最高だゼェェェ!」


 そうやって、勝手に盛り上がっていくガイヴ達だった。

 カティアも話を真剣に聴いて、そして称賛(しょうさん)していた。それがガイヴ達を盛り上げてしまっている事にも気が付いていなかった。


 しかし――机を挟んで、もう一方のジョーとサイリアは――。


(そうだな、その後ずっと迷惑だった……)――ジョーは麦酒を飲む。

(あの時、回復魔術なんてやらなければよかった……、失敗しちゃった)――サイリアはサラダを食べながら思っていた。


 暗い顔で聴きたくも無いガイヴ達の話を聞いていた。


 そして――ジョーが立ち上がる。


「兄貴、どうしたんですか!」

 ガイヴがジョーの行動にすぐさま反応する。

「おかわりをもらってくるだけだ」

 そう、ジョーが言うと……。

「「「お任せ下さい、買ってきます」」」とガイヴ達が立ち上がってすぐさまパシリ始めた。


 その時ついでにサイリアが「フレスの実の果汁(ジュ―ス)もお願い」と上手く乗っかって注文していた。


※※※


 ジョー達とガイヴ達はお互いに食事を終え帰ろうとしていた。


「ジョー師匠、サイリア師匠、明日はお暇ですか?」

 カティアが満面の笑みで訊いてくる。

「明日は依頼を受けない日だから大丈夫だけど、それがどうした?」

「そうね、ジョーも私もそういう日になるのか……それがどうしたの?」



「そうですか……では明日私に稽古をつけて下さい。師匠の技を伝授して欲しいんです」

 カティアがそう言うと――メリーダは焦り「お嬢様、明日は冒険者学校に行かないといけませんよ」と注意していた。


「え~、いかないと駄目?」

「駄目です、お嬢様、旦那様がお金を出して下さっているのですよ」

「そうだけど……」

 カティアはチラッとジョーを見る。


「カティア、学校には行きなさい。それでも、昼前には終わるんだろ? それからでもいいから」

ジョーがそう言うと――。

「はい、そうします」

 と元気な声が返ってきた。

「じゃあ、明日は訓練日ね」

 サイリアもそう言って嬉しそうだ。

 まるで家族のような一幕(ひとまく)だった。


 しかし――その時――隣から――。


「兄貴、兄貴ィィィィ! 俺らにも稽古お願いします!」、「やったぜぇぇぇ、兄貴と姐さんと一緒に稽古だなんて」、「やべえっぞ! メリーダさんと一緒だ。やる気出る!」


 ガイヴ、マッシュ、オルイガの3人はそれぞれテンションを上げ、隣の席から話に入ってきた。


 まるで、決定したような口ぶりであった。


(オイ、お前らは帰ってくれ……なんでお前達までついてくる)

 ジョーはそう思い、頭を抑えた。――そして、ジョーは(ひらめ)いた。

 頭の中に雷が駆け巡る程の閃きが出てきた。


「そうだな、稽古として、ガイヴ、マッシュ、オルイガの3人は明日近くのハグレ小鬼の討伐依頼を受けて50匹始末してこい」


 そう命じると――。

「兄貴、待ってくれ」、「それは、無いんじゃないですか?」、「兄貴、俺達の楽園がぁぁぁ」

 そう言って、身体を近づけてきた。


「阿呆だな、お前達、『実戦に勝る成長無し』って言葉があるだろ。お前ら用の特別訓練だ」

 ジョーが渋くそう言うと――ガイヴ達は泣いていた。


「そうか、そう言う事か、さすが、兄貴だぜぇぇ!」

「よし、悲しいけどそう言う事ならしょうがねぇ」

「お前ら、最高だゼェェェ!」

 

 そう言って、高揚しながら身体を仰け反らせ感動していた。


(こいつら、単純で良かった。 本当の阿呆共だか……いいのかこれで?)

 ジョーはその様子を机に肘をついて呆れながら見つめていた。

 


この話で50話目いきました。

読んでくれた皆様ありがとうございます。

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