格付け
「師匠、なんなんですかこいつら!?」
カティアは野蛮そうなガイヴ、ラッシュ、オルイガを見てジョーに尋ねる。
(どうしようか……説明がめんどくさい)
ジョーは麦酒を飲みながらそう思っている。
「気にするな、カティア、食事を続けよう」
そう言って姿勢を戻した。
「ちょっと、待って下さいよ、ジョーの兄貴、そりゃ冷たいって!」
「そうですよ、25日ぶりの再会ですよ。もっと何かあるでしょ!」
「それに、なんですか、その面子、新しい人と組んだんですか!」
3人組みは見事に言葉を重ね、一斉にジョーに言って来た。
「ちょっとうるさいわよ。師匠と食事中なの、あっち行って!」
カティアが怒りを露わにして、そう言った。そのまま席を立ちあがって近寄っていく。
「お嬢様……」と、メリーダが心配そうに声をカティアの後ろについていった。
しかし、高圧的なカティアの言葉に、まずガイヴが切れる。――
「おい、お嬢ちゃん、なんだ、ジョーの兄貴を“師匠”ってよんだな、コラ!」
「ジョーの兄貴の舎弟分だぞ、誰に断って師匠になってんだ、コラ!」
「おい、あの子、マブイぞ! 名前なんて言うんだろう……」
ガイヴとオルイガが言葉を重ねるが、マッシュ1人だけメリーダをみて変な事を言い出した。
「おい、マッシュ、てめぇぇ、何言ってんだ! ジョーの兄貴とサイリアの姉御の舎弟分の気概はねぇのかよ!」
そういってガイヴが、マッシュの頬を平手で叩いた。
[パー―ン!]――と音がして、マッシュの頬が赤くなっていた。
「す、すまねぇ、リーダー、俺が間違ってた」
「いいんだよ、俺らにはサイリア姐さんがいるだろ」
「お前ら、最高だぜぇェェ」
と、握手をしているガイヴとマッシュ、それに何故か感動しているオルイガだった。
しかし、その様子を見ながら横目に見ながらジョーとサイリアは思っていた――
(なんだよ、何時から俺はお前らの兄貴になったんだ、舎弟なんてとった覚えはないだろ……)
(なに、何時から私、あなた達のものになったのよ。やっぱり距離置いておこう……)
――そう思い気味悪がっていた。
「あんた達、なに変なことやっているの。気持ち悪い」
カティアは3人組みのやり取りを見てハッキリとそう言う。
「なんだとぉ、オイ、ガキ、おめぇジョーの兄貴を師匠って呼びやがったな。どう言う事だコラァ! 俺ら舎弟分に話も無く、そうなる訳ねェだろォ!」
「てめぇ、名前なんて言うんだコラァ!」
「後ろの人も名乗れコラァ!」
3人組はさっきよりも凄んでカティアを昭和風に睨みつける。
「カティアよ、後ろはメリーダ。それに師匠というのは本当よ。 契約書だって交わしたからね」
睨みもモノともせずにカティアは答える。――腕組みして睨み返していた。
「ジョーの兄貴ぃぃぃ! どう言う事ですか! 俺らには武術教えてくれないのに、こんなガキを弟子にとるなんて」
「てめぇ、見ねェ顔だな、ギルドレベルとランクはなんだぁ!」
「俺ら、冒険者やって1年だぞ、コラァ! なめんなよ、コラァ! 後ろの子の好みの男性も教えろ、コラァ!」
テンションが異様になり始める3人組だった、不適切な質問が混ざってくる。
しかし、カティアは平然としていた。
「ギルドレベルは“2”、ランクは“G”よ。あと最後の質問なによ!」
そう言って怒っている、後ろから「お嬢様、危ないですよ、下がって」とメリーダは止めている。
「んだとぉぉ、俺らギルドレベル“9”、ランクは“F”だぞ。ひよっこが無魔言ってんじゃねえぞ、コラァぁぁ!」
「ケツの青い新人じゃねぇか、そんなんでよくジョーの師匠にとりいったな、コラァ!」
「てめぇ、俺らが教えてやるから、住所教えろ、コラァ!」
ますますヒートアップしながら迫ってくる3人組だった。
(おまえら、カティア達とそんなに変わらないだろ、オイ、1年やってそれか……)
ジョーはそんな3人組みを尻目に麦酒を飲んで考えていた。
「師匠も嫌な顔しているから、どっかいきなさいよ」
カティアがそう言うと――。
「コイツは切れちまったゼェェェ! おめぇは1回痛い目みねぇと駄目みたいだなぁ!ガキだから優しくしてやろうと思ったのになぁ」
「俺らとジョーの兄貴の絆をなんだと思ってんだ!」
「ガイヴ、やっちまえ!」
そんなやり取りと席に座りながら黙って見ていたジョーだった。
(なんだよ、絆って、お前らとそんな中でもないだろ……)
そう思いながら、さすがにカティアが殴られるのは不味いと思い。
「オイ、お前ら、カティアは領主の娘だぞ」
その一言を発すると――。
“黒三星”の3人組は呆気にとられた顔でジョーを見て、無言のままカティアを見なおした。
カティアは勝ち誇った顔をしている。
「お、おい、お前の名前はなんて言うんだ、全部言や、コォォラァァ……」
ガイヴが小さい間延びした声でカティアに訊いた。
「カティア・フィル・レブ・ベルンバッハよ、歳は13」
そう小悪魔の笑みを浮かべてガイヴ、ラッシュ、オルイガを見つめるカティアだった。
その言葉を聞いた3人組は雷に打たれたような衝撃顔のまま固まってしまっていた。
3人とも顔は知らないが領主の娘がいる情報は得ている。それに自分達が尊敬する兄貴分であるジョーとサイリアが師匠についている事実、そしてお付きのようなメリーダが発した言葉「お嬢様」、真実味がかなり高くなっていった。
さらにGランク冒険者なのに御高い装備を纏っているカティアがいる。
これは真実にちがいない!――そう直感していた。
「ガイヴ、どうする、ヤバめだぞ」
「ヤバいって、コレがもし真実だったら、これら絞首刑行きかも」
後ろで小声で話そうとしているがテンションが上がっているため、丸聞こえのラッシュとオルイガの声が聞こえていた。
顔に大量の汗をかいているガイヴはカティアを見つめたまま動けないでいた。
「あんた、さっき失礼な言葉言ったわよね“ガキ!”とか“コラ!”とか。どうなるか分かって言ってんの?」
問い詰めるようにガイヴに訊いているカティア。悪い顔で催促するように訊いていた。
それに対し―――ガイヴの答えは――。
「……、方言だ“こーらー”、俺の田舎に伝わる方言だ、こーらー」
「そ、そうだ、ちなみにガキは『可愛い綺麗なお嬢さん』って意味だ、こーらー。本当は良い奴だ、こーらー」
「そうだ、そうですこーらー。オラ達声が大きいからちょっと勘違いされやすいんだ、こーらー。善良な町民です、こーらー」
ガイヴもオルイガもラッシュも必死に弁明していた。
正直苦しい良い訳だが、抜群の連携を見せた3人。
先ほどの勢いは無くなり、汚い笑顔でカティアに媚を売りだす“黒三星”だった。
「ふーん、そうなの……じゃあ、許してあげようかな」
訝しげな表情から笑顔になっていくカティア。
その顔を見た3人組は情けない顔で安心した表情をしていた。
「ただし……」
カティアはそう言って腰鞄から皮袋を取り出すと中から銅貨を取り出した。
そして不思議な顔をしているガイヴに向けて銅貨を差し出すと――。
「マップル果汁買ってきなさい」
カティアはそう命令した。
「「「お任せ下さい、すぐ買ってきます!」」」
そういって、銅貨を受け取り、カウンターに飛んでいく、カイヴ、マッシュ、オルイガだった。
――この瞬間、カティアとチーム“黒三星”の間の格付けは済んだ。
カイヴ、マッシュ、オルイガは昭和型のヤンキーです(死語)
まぁ、深く考えずに読んで下さい。
ガンダムは昭和ですから……




