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私達、冒険者として生活します!  作者: あきら・たなか
第2章;町の危機に立ちあがる冒険者
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作戦開始前3

 オジュールは翼陽の団の団長として作戦開始前に挨拶(あいさつ)に行っていた、そこで今回の王様小鬼討伐作戦の指揮官である王国騎士団団長の『ザボル=バイル・フェン・リュ―スタス』と言う名前の貴族に会って話をして、その際、「君達は今回、何もしなくていいから」と言う内と、「作戦に口出しをするな!」と、言う内容の“熱烈な激励(げきれい)”を頂いたらしい。

 そのまま何も意見も聞かず出ていく時に「カネの亡者共が!」と“お褒めの言葉”を(もら)った事をジョー達に説明してくれた。

「――、そして俺は今、その事を忘れない用にここで復唱していたわけだ」

 と、おどけた顔のまま、ジョー達に不貞腐(ふてくさ)れている理由を説明してくれた。


「そいつは、随分(ずいぶん)と“アレ”な奴だな……」

 ジョーはオジュールの説明を聞いて、それしか言えなかった。

 ザボルと言うヤツは随分と自尊(じそん)(しん)が高く、我儘(わがまま)な奴だとわかるには十分な内容だった。

 それを聞いたジョーは色々と考え込む。

「オジュール、そいつは若い奴なのか? 強そうな奴か?」

「いや……、初陣の貴族の坊ちゃんって感じだな、横に壮年(そうねん)の騎士のジイさんがいたけど多分お付きの奴だ」

「そうか……」

 ジョーは悩んでいる表情をしたまま腕を組んで考えている。

 オジュールは乾いた笑いをしながら、机にある水を飲みだした。

 ヒュールは暇そうにしている。


「ねぇ、ジョー、聞きたいんだけど、何でさっき『作戦の場所が』とか言っていたの?」

 突然横から、サイリアは悩んでいるジョーに()く。

「…ン! サイリアわかんないのか? ……そういえば、戦場は初めてだっけ?」

「……そうだけど、こんな大規模作戦初めてだから……」

「……そうだったな、説明してやるよ、オジュール、地図借りるぞ」

 ジョーそう言うと、オジュールは「どうぞ、どうぞ」と言って許可してくれた。

 ジョーはそのまま机の上にある地図を取り出してサイリアに見せた。

「いいか、サイリア、草原は一見普通の戦場だが……ここよりも迎撃しやすい所があるんだ」

 ジョーがそう言うと今指している地図の上から下に移動する。

「ここが、渓谷のように道幅が狭いから最適だけど……」

「草原じゃいけないの?」

 サイリアはジョーに訊いた。

「別にいいが俺達に何も有利に働かないだろ、見晴らしがいいだけだし、そう考えると……」

「あいつら、騎兵なんだよ」

 と、ヒュールが話に割り込んできた。

「やっぱりそうか……馬の鳴き声がしていたからな……そうだとは思っていたが……」

 ジョーはやっぱりか…、と言う顔をした。

「やっぱり、そっちの方が有利なの?」

 サイリアはあまり分かっていない感じだった。

「ああ、草原では騎兵が有利なんだ、当然だな、機動力もいいから、だから王国軍はこの場所を迎撃場所に選んだんだよ、冒険者に手柄を取られたくないからな」

 ジョーはサイリアにそう説明いた。

 冒険者は馬を移動用に使っている者が多いが、戦闘用の騎馬をもっている者は少ない。


「そういうことだ、俺達はお役御免(ごめん)だな。ハッハッハッ!」

 オジュールは揶揄(やゆ)するように笑った。

「まぁまぁ、団長、今回は仕事が楽だと思えばいいだろ」

 ヒュールがオジュールを(なぐさ)める。

「それに、普通はさ、ジョーの言う通りの場所で迎撃するもんだ、こっちの方が安全で、何より大人数の迎撃に向いてるからな」

「そうなのヒュール?」

「ああ、道幅が狭いと一気には攻めてこないだろ、それに防御もしやすいし、何より攻める方向も一方向だと楽だからな」

 ヒュールは地図を見ながら、サイリアに説明した。

 サイリアも頷きながら、「そうなんだ~」と感心する。


「だけど、不安要素が大きすぎるな、我儘(わがまま)で若い騎士団長、大勢の小鬼(ゴブリン)達と王様小鬼(ゴブリンキング)、何より自分達だけでやろうとする国王軍だろ……、ヒュール、この作戦の勝算はどの位だ?」


 ジョーがヒュールにそう聞くと、ヒュールは首をひねり、顔を(ゆが)ませて答える。

「……50対50だな……」

 その答えは、勝率が50“も”あるのか“しか”ないのか中途半端な回答だった。

 普通の騎士団団長だったら、冒険者と腹に一物(いちもつ)はあっても、露骨(ろこつ)には扱わずにしておくべきだと考える。

 さらに、防衛しやすい有利な所で戦うはずだと思っていた。

 通常だったら、勝てる作戦なのに、指揮官が馬鹿すぎで負ける可能性があると、ヒュールの言い方は示していた。

「そいつは随分な“過大(かだい)評価(ひょうか)”だな」

 ジョーがそう言うとオジュールは「ガッハッハッ!」と、豪快(ごうかい)に笑った。


「団長、笑い事じゃないだろ、いくら小鬼の集団が相手でも、こっちは全部合わせて400人程度だぜ、油断したらえらい事だろ」

 と、ヒュールが呆れる様に言う。

 

 ヒュールの言葉に状況を察したサイリアが青ざめた表情をして、ジョーを見ている。

 どうしよう!! と、ジョーでも分かる顔を見せてきた。

 ジョーは溜息を吐いて、表情を直すとオジュールを見つめる。

「オジュール、最悪の場合、指揮をしてくれよ」

「おいおい、ジョー……なんだよ、藪から棒に」

 オジュールは手をヒラヒラさせてやる気が無い。

「オジュール、頼むよ、冒険者に『最悪を想定して行動しろ』と『馬鹿にはついていくな』って金言があったろ、さすがにこの話を聞いてその団長についていけないだろ、あくまで、失敗しそうな時だけでいいから」


 ジョーはオジュールを真剣に見ながら頼み込む、それが生存確率を上げると思ったからだ。

 冒険者の中で言われている、『最悪を想定して行動しろ』とは、その通りの意味だが、『馬鹿にはついていくな』の方には続きがあった、正確には『馬鹿にはついていくな、もう一度言う、馬鹿にはつくな』であった。

 2回同じ事を言っているのは、それだけ冒険者の中で重要といえる事だった。

 要は“馬鹿な者につくと自分が死ぬぞ”と言う事だった。


「団長、ジョーの意見に賛成、この中で一番ギルドランクが高いのは翼陽の団だからな」

 ヒュールが何食わぬ顔で手を上げ意見を言った。

 ジョーと翼陽の団の頭脳のヒュールにも言われたオジュールは苦い顔をしていた、失敗した時の立て直しは思いのほか大変だからだ。


「……しょうがない、…考えておくよ」

 と、オジュールは渋々同意する。


 ――話が終わって来る頃に突然簡易テントの入り口が開く。

「おーい、ここにオジュールがいると聞いたんだが」

 冒険者パーティの“双璧(グレートウォール)”のガルンとガインが立っていた。

 そして、そのまま相談しだす、ジョーが今はなしていた内容と同じ事を、結局どこの冒険者も王国軍の情報を仕入れてみたら、同じ結論にたどり着く、『オジュールに指揮官をやってもらおう』と、冒険者全員が思っていた。


 ――これで、オジュール=カッパーノは裏で秘密裏に指揮官に任命された。


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