装備論!!!!!!
ジョーとティムはその後も装備について意見を煮詰めていく。
トムソーヤも交えて議論を交わすが――サイリアを始め、フィフィとカティアは議論をみながら行方を見守り、お茶を飲んでいるだけだった。
――「これは、どうっすか? 板札は腹周りに一周させるッす」
――「それじゃあ、重くならねぇか?」
――「背中の部分の一部は軟鉄を混ぜたらどうじゃ?」
――「いい考えッす。内側に軟鉄の板を等間隔に仕込めばさらに衝撃が吸収されるっす」
――「でもなぁ~、あまりやり過ぎると重くなる」
――「肩はどうする?」
――「籠手を参考にしたいっす」
――「でもなぁ~鎖とか仕込むとか鉄板でつくるとかあると……フィフィは身体が出来ていないからぁ~」
――「肩口だけにすればえぇ」
――「そおっす、魔術士なら近接戦闘を避けるべきっす。それなら“板袖”っす」
――「それもアリか……。でも背中の強化も忘れないでくれ、背中を強打されると動けなくなる」
――「当然っす。胴は基本、2枚胴で考えるっす。脇に皮帯を採用してしっかり固定するっす」
――「喉元はどうする?」
――「1枚物を加工するっす」
――「それなら首回りの布元に小札を仕込めばいい」
などと――どんどん議論を膨らせていった。
最終的にデザインが決まり、フィフィの身体の測定の為にティルと別室に行く間。ジョー達は打合せ部屋に残されていた。
ジョー達は用意されたお茶を自分達で入れて飲んでいた。
トムソーヤは作業場に戻り材料の確認をしに行った。
つまり、残された者達は暇であると言える。
暇であるのでお茶を飲みながら長閑に待っていた。
「師匠~! あのですね……」
「……カティア、何も買わないぞ」
「え~、話しくらい聴いて下さい」
「ダメ、お前には、たっかいドレス送っただろ?」
「え~、それは私服です。冒険者装備は貰っていません」
「欲しがりにはキツイお仕置きをくれてやろう」
「師匠、それは横暴です」
「カティア、ダメよ。それ以上いったらジョーは本気でやるから」
「師匠、暴力はダメ、絶対!」
カティアは手で大きな☓(ばつ)をジョーに見せつける。
「おい、サイリアもカティアも俺が暴力を振るう大人げない人だと言っていないか?」
「でも、結構手を上げるわよ」
「言い方が悪いぞ、お仕置きはするが、無意味な暴力等をふるった覚えは無い」
「ですが、師匠はたまにセクハン気味なので気をつけて下さい」
「………」
――と、会話をしながら長々と時間を潰していた。
***
「ウッッ!!」
ジョーは差し出された紙を見て思わず苦しそうな声を上げた。
その紙にはフィフィの装備代金の見積額が書かれていたからだ。
書かれていた金額――銀貨29枚。
フィフィの足回りと手甲とその他諸々の全員分の諸経費を追加して合計した金額だが、それにしても高いとジョーは感じる。
初心者の冒険者がつける装備の倍以上の値段になっていた。
しかも、トム爺の店に来る前に、生活用品と日用品の買い出しも済ませている、さらにジョー達には、月々の家賃、馬の世話代など冒険者家業を続けていればそれなりに金がかかる。
つまり、抑える所は抑えたいのが現実であった。
「ジョー、言っておくが、それが最安値だ。これ以上は何を言っても無理だ」
トムソーヤはまるでジョーの心の声を全て見透かしたように言う。
隣に居るティルもそれなりに心配そうに、そして申し訳無さそうにしている。
「……わかっているよ。払うから、後日でいいか? 手持ちが無い……」
ジョーは出来るだけ穏やかにいうが、顔は苦しそうであった。まるで陸上に上げられた魚のようである。
瞳に鮮度が無い。
ジョーはそれなりに偉そうな装備論を語ってしまった。初心者の装備の大事さも語り、ティルにそれなりにいい感じに格好をつけた手前、引くに引けなくなったのだ。
「そうっすか! ジョーさん、ありがとう、まいどありっす! 早速作業に取り掛かるっす。基盤は何とかあるっす。6日で仕上げるっす」
ティルは嬉しそうに声を上げた。
「わかった、それでいい、後は注文書にサインだな……」
「よし、ジョーの気が変わらんうちにサインしろ!」
トムソーヤは上機嫌に声を上げる。孫のティルと一緒だ。
それは、なにより見店の売り上げが上がったからに他ならない。
「そうだ、ちょっと待つッす!」
彼女は唐突にそう言うと、急いで立ち上がり、風のように部屋から出ていってしまった。
――そして、数分後。
「これを、進呈するっす。フィフィちゃん、大事に使うっす」
部屋に戻ったティルは杖をもって現れ、すぐにフィフィに近寄り、杖を差し出した。
杖には水晶のような透明な魔水晶玉が取り付けられ、猫の目のような装飾で先端を飾っていた。
「これは……?」
フィフィも突然の事に驚きを隠せない。尻ごみながら杖を受け取る。
「これは、“ネコ眼杖”っす、属性も何も無いっす、練習用に造ったわたしの独自の杖っす。これをフィフィちゃんにあげるっす。 癖の無い杖っすから誰でも扱えるっすよ」
ティルはニコニコして説明した。
「あ、ありがとうございます……」
フィフィはお礼を言うと――ティルは――
「フィフィちゃん、頑張るっす。冒険者として精一杯生き延びるっす」
と励ました。
***
ジョー達はトム爺とティルに見送られ、店を出る。
「装備に困ったら、相談に来るっすぅぅぅぅ!」と大声で見送られ、フィフィもカティアも楽しそうに手を振り返していた。
町中を重い荷物を抱えたジョー達は全ての目的も済んだので帰宅する事にした。
その前に子供といえど淑女であるフィフィとカティアを送る為に商業区画の裏道を歩いていく。
そんな時に―――。
「あ、あの、ジョー師匠、サイリア師匠、ありがとうございます」
フィフィは突然にお礼をいった。ティルに渡された杖をギュッと握りしめて。
突然の事に驚く、ジョーとサイリアだったが――すぐに、表情をかえた。
「いいのよ、フィフィ、ちゃんとした装備をしないと危ないもの」
サイリアは頬笑みながらフィフィに伝えた。
「でも……おカネは、冒険者として生活出来るようになったら返します!!」
フィフィは精一杯そう言う。自分に宣言するように。
彼女の中で貸し借りはそれなりに負担になるという遠慮もあった。
「フィフィ、カネはいいよ。俺はお前の師匠だから……な。でも、1つだけ約束してくれ」
ジョーは振り返り、フィフィを優しく見つめた。
「なんですか、師匠……」
「これから……フィフィは冒険者として生きるけど……死ぬなよ。生き残れ」
そう短く伝え、ジョーはまた前を向き、重たい荷物を背負い直すと歩いていく。
照れくさいのか少し早足になりながら――。
「ハイ、絶対に約束を守ります!」
と、フィフィは返事をした。
そうして、フィフィとカティアは楽しくお喋りをし、サイリアはジョーを冷やかす為に後ろから声をかけ、楽しそうに道を歩いていく。
装備の話はこれで終わりです。
長々と6話もつかってしましました。反省、反省。
しかしながら、やはり装備と言う者は大事だと思います。
持っていない人は危機管理の足りない存在と作者は思います。
『ビキニアーマー』とか夢があります。『危ない水着』も夢があります。
しかし、実用性を外したゲーム内の設定ですから……。
実際に考察すると色々と問題です。冒険者といえど高い山や極圏も含まれます。さらにはアマゾンのような熱帯雨林など、そんな中で状況下で例として水着で移動など……頭のおかしい人に変わってしまいますよね?
なので装備はしっかりとさせたいという作者の親心です。




