↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/52

41

 商店街といっても、端から端まで100m足らずの中、店が並んでいるだけの所で、それも半分以上がシャッターを下ろしてしまっている。量販店やディスカウントストアの台頭によって衰退した、地方商店街の典型的な姿だ。

 裏通りだから、人通りが少ないだろうと恐れていた曽山と石原だったが、表通りでも、この有様だ。裏通りに入ると、人通りが、まったく途絶えてしまった。

 喫茶店『アドラメレク』は、すぐに見つけることができた。ゴロツキ共が集まる西部劇の酒場のようなものを想像していたが、ただの小さな喫茶店だった。

 白地の看板に真っ黒な字で『アドラメレク』と、昔のマンガのタイトルのような、太い、尖った字体で書いてある。外壁はモルタル塗で真っ白。そこに嵌っている窓枠と、入口の分厚いドアは真っ黒で、まるで、チェス盤のような色合いをしていた。窓から見える店の中は暗く、果たして春人がいるのかどうか、中に入らなければ確認することはできない。

「おい、やめとこうぜ」。石原が曽山を引き留めて言った。「ここに入ったら、二度と出て来れんぞ。だいたい、これは佳織さんと、その家族の問題やろ?オイたちが、そこまでしてやる義理は無いって」

 その通り。俺と、俺の家族の問題だ。お前たちに、そこまでしてもらう義理はない。

 だが曽山は、

「子供一人に説教するだけの話だ。そんなに怖がることもないだろう」

「一人やない!こういう所はな、悪党の巣みたいなもんや。言うとやろ?一人見たら、十人はいると思え」

「殺虫剤の、CMの文句じゃなかったか?確か、ゴキブリの…」

「同じようなもんばい!監禁されて、リンチを受けて、建設現場に埋められっとぞ!」

 曽山は、しかめっ面して、頭をバリバリと掻いた。

「俺は行く。嫌なら、残れ。無理に来いとは言わん」

 言いながら、喫茶店のドアに手をかけた。

「知らんぞ!どんな目に合っても!俺は行かんからな!本当に、行かんからな!」

 石原が喚いている声を尻に、曽山はドアを開いた。ベルがガランと音を立てた。

「クッソ!バカ!バカバカバカバカバカ!」。石原は、激しく地団駄を踏んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。