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居候のポンコツ魔王がダメ過ぎる  作者: くりゅ~ぐ


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36/50

第36話 攻守交代


∴ムニュ∵


「おいアレクシア、引っ張んなって」


「お前が遅いからではないか。早く行こう、妾お腹減った」


「ちょっおい」


〝ムニュ〟


「何を食べようかの~」


「お前普段外に出るのを嫌がってるくせ、今日はえらいご機嫌だな」


「事ここに至ればじゃ」


「意味が分からん」


∴ムニュニュ∵


クッ……。このポンコツめが、さっきから激しく当たってるんだよ。気づけよな。

コイツめコレでわざとじゃ無いって、どんだけ食い気に支配されてるんだよ。


〝ムニュ〟


このエルダースライムめが、何て圧力だよ。俺はこのまま敗北するしか無いのか?

俺と腕組んだままだから当たってる。何が当たってるかって語るまでも無い。周りの男共の視線と表情が全てだよ、うん、老いも若きも男共は俺とアレクシアの戦いに夢中さ。


あっ、おじいさんが奥さんらしい老婦人にお尻を思いっきり叩かれてしまいましたね。そりゃあれだけ俺たちの戦いを観戦してたら、そらそうなりますよね。嫉妬されるなんて奥さんに愛されていますね。


それにしても何て人の多さだ、そのせいでコイツは密着して来やがるじゃないか。と言うかコイツ力が強すぎないか? 俺は力をかなり抑えているが、それでも力強くこの俺をグイグイ引っ張って行きやがる。しかも腕を組んで密着したままだぞ。しかし……。


「おいアレクシア、日傘を畳め。人が多過ぎて邪魔になってるぞ」


「確かにそうじゃな。仕方ない、日傘は仕舞うかの。悠莉、ホレ早く行くぞ」


「あっ、アレクシア、何で畳まない? 畳み掛けてやめるなよ。おい、一旦腕を外したのに、お前またわざわざ腕を組まなくても良いだろ。おい聞いてるか? なぁアレクシア」


「うるさいのう……。畳む畳む、後でな。それよりも前に進みたい。お前が歩くの遅いからじゃ。ホレ、早く行くぞ悠莉、とっとと歩くんじゃ」


何が後でだ? どうせやらないくせ。

しかし何故コイツは、一旦離した腕を再度組み直す? 意味が分からん。それにしても……。


くっ、ポンコツのクセしやがってコイツ良い匂いしてやがる。香水とシャンプーとかコンディショナーの香りに、コイツ本来の匂い? 香り? が入り交じり、むっちゃくちゃ良い匂いじゃないか。


「なぁ悠莉」


うおぃ、いきなり振り返るなよな。密着してるから、お前の顔が近いんだぞ。と言うか口づけしそうになったじゃないか。


「どうしたアレクシア」


「お前なーんか今日は良い匂いしておるな?」


「あー……。夏も近くなって、香水の香りが変わったんじゃないか? 付ける量も多少は変えたし、それでじゃないかな?」


と言うか少なくとも今日は、お前の方が良い匂いだよ。しかし……。


密着してるからコイツの赤い目が何時もより近い。

綺麗な目だよな。ロリの時のグリーンアイも良いが、この赤い瞳も良い。うん、言葉には決してしないがな。

理由としては、そんな事を言ったらコイツは絶対に調子にのる。そうなったら俺はイラッとしてしまうからね。だから絶対言わない。


「あー、香水は季節によって香りも変化するからのう。付ける量によっても変わるし、その者が本来持っておる体臭によっては、同じ香水でも香りは違って感じるし、それでか」


そう、香水は付ける人によって微妙に変わる。同じ香水でも人によっては微妙どころか、大きく変わってくるもんだ。

その人の体質に合わない香水をつけると、酷い匂いになったりするから注意が必要でもある。

たまーに居るが、アンタその香水は体質に全く合っていないよって奴も居る。その場合は良い匂いでは無く、不快な香り、只の悪臭になってる奴も居るもんな。


コイツは体質に合ってるからか凄く良い匂いだ。

心地好いんだよな、コイツの香りって。

あーあ、本当に本当に、本当~~~に! コイツはこのまま、今のままの姿でずーっと! いてくれないかなぁ……。

あのちんちくりんの姿の時は許されない事でも、この姿ならまだ多少は許せるんだよなぁ。


でもどうせ又、あのちんちくりんに戻されるんだろうけど。多分間違いなく、あの神はコイツをこの元の姿のままにしておかないよなぁ……。

その方が面白いって理由でそうなるだろうな。


ムニュ~~~。


「どうした悠莉? 何故その様にため息を吐いておるのじゃ? 気のせいか妾を哀れむ様な視線をお前から感じるんじゃが?」


〝ムニュニュニュ〟


コイツ……。


「おいアレクシア、お前近い。もっと離れろ」


「そうかぁ近いか? まぁエエわい、早く行くぞ悠莉。こんな所で立ち止まって居ても時間の無駄じゃ。ホレ行くぞ」


ムッニュ~。


このエルダースライム使いめ。本当にけしからん奴だな。誠にもってけしからん。ああ、けしからんね。


∴ムニュ∵


「だから腕組んで密着したまま引っ張んなって。お前聞けよ、おい」


「分かった分かった。と言うかお前が遅いからじゃぞ悠莉」


∴ニュニュッ∵


ダメだ、コイツに主導権を握られている。

何とか主導権を取り返さないと。だが……。


「おっ、何か甘い匂いが漂って来たのう。これはベビーカステラかの? なぁなぁ悠莉、帰りにベビーカステラをお土産に持って帰りたいんじゃが、買ってくれぬか?」


「別に良いけど……」


楽しそうに笑いやがって。そんな無邪気な笑顔をされたら、何か俺が凄く(よこしま)な人間に思えて来るじゃないか。とは言え……。


〝ムッニュ~~~〟


「本当か? やったぁ~」


まただ、また激しく押し付けてくる。

俺だって男なんだぞ。こんなに密着されて、激烈なる攻撃をされたら色々と問題が出て来るだろ。


くっ……。呑気に鼻歌なんか歌いやがって。

しかも俺と腕を組んだまま前後にブラブラさせるな。何でコイツはご機嫌になったらコレをやる?

そのせいで擦れてるんだよ。感触が凄い事になってるじゃないか。俺の腕はスライムに(うず)まっていってるのか?


∴ムニュッムニュッムニュッムニュッムニュ∵


「おいアレクシア、腕を前後に揺らすな。おい聞いてる? 腕を組んだまま前後に揺らすなって。しかも密着したままやるなって」


「ん? おー、すまぬすまぬ。じゃがまぁ別にエエじゃろ。問題無い」


「問題しかねーよ。お前なぁ楽しいのは分かるが、ちょっと落ち着け。あっ! だから腕を組んだまま前後に揺らすなって。言った側からやるなよ」


「さっきからうるさいのう……。無意識にやってしまうんじゃ。つい、ってやつじゃの。と言うか何が問題なのじゃ?」


だから問題しかないんだよ。主に俺の心とかその他諸々が色々とアレで、色々と世間的にアレなんだよ。

このポンコツめが、何が無意識にだよ? つい? ふざけるな、少しは意識しろ。大体だな、お前もその自分のスライムさんに俺の腕が当たってるのを分かってるよな? 分かってるよね……?


待てよ……。コイツの事だ、まさか分かっていないのか? もしくは気にしていないのか? 楽し過ぎて気にならないパターンか?


「フンフンフーン♪」


「・・・」


あり得るな……。これ、ハッキリ言うべきか?

言っても又やりそうだが、一応言っておくべきだよな。でないと色々アレで、アレがアレになってズギューンとかしたら不味いもんな。


「だからアレクシア、腕組んだまま前後に振るなってば。それ以前の問題で腕を組む必要あるか?」


「悠莉、お前さっきから細かい事で何を騒いでおる? 別に問題無いじゃろ? 何が問題なんじゃ?」


だからお前のそのエルダースライムが大問題なんだよ。それ以外ないだろ? だがそのまま伝えるとコイツは俺を弄る。

そしてニヤニヤとした顔で色々とほざくだろう。うん、間違いないね。

嬉しいのか? とか、ウブじゃのうとか、散々弄るに決まってる。そう、しかも自分の事を棚に上げてだ。一部事実だけに許せないね。あー許せないね。


「お前なぁ、これだけ人が多いんだからこんな事をしたら邪魔になるだろ? だからだよ」


「それもそうか……。確かにのう。一応気を付けよう」


一応かい。どうせ又やるんだろうな。

しかし……。腕は組んだままか。別に良いけど。

うん、どうせ言っても無駄だから言わないよ。

どうせコイツは無意識に俺の腕を取って来るだろうし。戦いを有利に進める為に俺の利き手を取りに来るだろうし。

別に利き手である右手を封印されても、左手でもほぼ利き手である右手と同じ位使う事は出来るし。別にこのままが良いとか思っていないけど、言っても無駄だから言わないだけだし。

別に今のままが良いとか思ってないし。本当だし。


とは言えやられっぱなしってのもちょっと癪ではある。多少は反撃したいところではあるな。


∴ムッニュ~~~ッ∵


「おいアレクシア、何でそんなにくっ付く? 流石に近すぎと言うかくっ付き過ぎじゃないか? お前分かってないの?」


「人が多過ぎるから仕方ないではないか。混み過ぎじゃぞこれ」


「確かに多いな。多分だけど、昼飯をここで取ろうとしてる人が多いんだろうな。昼飯の時間だし、それでだろ」


「ここで取らずとも、表参道側にも飲食店はいっぱいあるのに、何でここでお昼ご飯を食べようとするのかの? 激混みではないか」


「・・・」


これぞ正にお前が言うなの典型例だな。

と言うか俺達も屋台飯を昼飯にしようとしてる訳だが、もしかして君は忘れてるのかな?


〝ムギュ~ッ〟


それはそうとこの女め、益々押し付けて来やがる。大攻勢じゃないか。不味い、このままでは押し負ける。何とかしなくては。

縦深防御、いやダメだ、敵の勢いが強すぎる。この勢いで攻撃されれば防御陣地が突破される。ならば攻勢防御だ。そうしなければ敵の攻勢が防げない。待てよ、もしくは機動防御と言う手もあるな。


ナニがとは言わんが、揉みしだいてしまえば、そして高速で移動しつつ揉みしだいて打撃を与え、ナニとは敢えて言わないが揉みしだいてこの大攻勢を食い止めなければならない。うん、ヤバイね、俺は何てアホな事を考えているんだ? 流石にそれはダメだろ。

いかんな、思考がおバカな方向に向かってしまった。それもこれもコイツが悪い。ああ悪いね。とてつもなくコイツは悪いね。流石だよ、魔王なだけはある。恐るべし魔王だよ。


〝ムニュムニュニュ~〟


「おい悠莉、お前また妾の胸を見ておるな? 流石に見過ぎじゃぞ。人はそれをガン見と言うんじゃぞ」


「見てないし。人前で何て事を言うんだよお前。人はそれを冤罪って言うんだぞ。と言うかお前がくっ付き過ぎなんだよ、本当に離れろ、歩きにくいし邪魔」


「人が多いから仕方ないではないか」


「いや、日傘を畳めよ、日傘を。もう仕舞(しま)ったら良いだけだろ。さっき仕舞うと言ってたくせ、何時まで差してるんだよ」


「えー、日に焼けそうじゃから嫌なんじゃが。それに日傘もオシャレの一部じゃぞ」


「知らんわ。と言うか周りに迷惑になるだろ、良いから仕舞え。それにお前今日くっ付き過ぎ、少し離れろ」


「うるさいのう……。畳めば良いんじゃろ畳めば。それとお前と距離が近いのは、邪魔になるから近寄っただけじゃぞ、妾、周りに気を遣ったのに……。それと妾の胸をジロジロ見るのは控えろよ悠莉。人前で見過ぎじゃぞお前」


「だから見てないし。酷い濡れ衣着せるな、冤罪だ冤罪」


「フッ……。女はの、男のその様な視線には敏感なのじゃ。お前が妾の胸をいやらしく見ておるのはバレバレじゃ。前の姿の時は全く見ておらなかったが、元の姿に戻ってからお前からの視線を感じるんじゃ」


「お前が単に自意識過剰なんじゃないのか? と言うかあんなにくっ付かれて、腕まで組むから視線が行ってるだけだと思うぞ、なぁお前分かってる? お前の胸があたってるんだけど? お前も少しは意識しろよ、そしていい加減日傘を仕舞え邪魔」


「何じゃ~ あたってるじゃと? それはアレか? あててんのよと言って欲しいのかぁ~?」


「コイツ……」


なーにがあててんのよだ? ニヤニヤとムカつく顔して何を抜かしてるんだ? どうしよう、本当に揉みしだいてやろうかコイツ? 何とは言わんが本当に揉みしだいてやろうか。


「ホレホレ、日傘は畳んだぞ。これで文句はあるまい。残念じゃのう悠莉よ、あたらなくなってしまったのう。まぁエエわい、そんな事より何か食べようではないか。妾お腹減った」


コイツ……、このポンコツめが……。

ムカつく顔してニヤニヤと笑いやがって……。

何があたらなくなってしまっただよ? やっぱコイツわざとやってたんじゃないだろうな?


「どうした悠莉よ? 何じゃ? またあてて欲しいのか? ホレ、妾にお願いしてみよ。腕を組んであてて下さいアレクシア様とな。さすれば考えてやっても良いぞ」


「・・・」


どうしよう、凄く……、凄くどつきたい。

本当に揉みしだいてやろうかな。それかブラのホックを外してやろうかコイツめ。


「どうした悠莉よ、ん~~? その顔は不満を表しておるのかぁ? ホレどうした? もう一度腕を組んで()()()やろうか?」


「・・・」


本当にムカつく顔をしてるなコイツ。

ポンコツのくせしやがって生意気なツラだよ。立場と言うものを教育しなければならんな。


「ホレホレ、腕を組んであてて欲しいんじゃろ? 妾に言うてみぬか。あてて下さいとな。言えぬか? 純情じゃのぅ~」


「・・・」


このクソ金髪おっぱいめ……。何が純情だ? お前にだけは言われたくない。言うに事欠いて何て事をほざいているんだ? どっちが純情かハッキリさせてやろうじゃないか。バカめ! 発言には責任を持って貰おうじゃないか。


「どうしたどうした悠莉? 何時も妾をいやらしく見て来ておきながら臆したのか? ん~~? 恥ずかしさで口を利けぬのかぁ? ホレホ……。ひゃい!」


「どうしたアレクシア、こんな人の多い場所でいきなり奇声を発して? なんだぁ、お前は発情期の猫かあ?」


「おま、おま、お前……。な、何をしておる?」


「何の話だ? 主語が抜けててわからん。ちゃんと何をしてるか言えよ」


バカめ。お前は何を顔を真っ赤にしている。端から見たらお前の方がよっぽど純情だと思われるぞ。


「悠莉お前、何故に妾を引き寄せる? こ、こ、こ、腰を引き寄せておる? 何故、何故妾の腰に手を回し引き寄せるんじゃ?」


「はぁ? お前がして欲しいって言ったからだろ? あーそうか。一応言わなきゃいけないんだ。あれくしあサン、うでをくみたいでス。あててほしいデス。だからこうしましタ。いったからイイんですよネ?」


そうかそうか、ちゃんと許可を取らないといけなかったんだな。うん、コイツのリクエスト通りちゃんと言ってあげたんだから、しても良いんだよな。

バカな奴だよ。俺があのままやられっぱなしで終わる訳が無いだろ。と言うかちょーっと腰に手をあてて、引き寄せてくっ付いた位で何を照れてるんだ? 大体だな、さっきまでお前の方が俺に引っ付いてたくせして、自分がされたらソレか?


うん、コイツは攻めには強いが、守りには弱いって事だね。しかしこれ位の事で照れて恥ずかしがるとは、お前は中学生か?

アレクシアよ、せいぜい恥ずかしがって居れば良い。

クックック、これそ正に愉悦。もう少し攻めてみるか?


「どうした、何を照れている? お前は純情か? 顔が赤いぞアレクシア。ん~~~? 何か言ってみろ」


「お前、お前、何をしておる? 自分がしておる事を分かっておるのか?」


「分かってるに決まってるたろ。と言うかお前が言ったんだろ? 俺にくっ付かせてくれと言えって言ったんじゃないか。だから言ったんだよ。さっき俺は言ったぞ」


「確かに言っておったな。じゃが片言で、しかも棒読みでお前は言ったが。何故に棒読みで? 言ったけど、確かにお前は言ったけど、棒読みじゃが言っておったけど。ちょっ! 引き寄せるでない、抱き締める様に引き寄せるでないわ。あっ! 腰を、お腹を揉むな!」


「はぁ? 腰も腹も揉んで無いけど。お前を引き寄せる為に少し力を込めただけだけど」


「こ、こんな事をする必要があるのか?」


「人が多いから仕方ないじゃないか。俺は周りに邪魔にならない様にこうしてるだけであって、他意は無いぞ。只単にお前が穿った見方をし過ぎなんじゃないの? と言うかこの程度の事で何を照れてるんだ? お前は純情か?」


反論出来ないよなあ。お前がさっき俺に言った事をそのまま言ってるだけだ。俺がさっき何度も言って、それでもお前はやったんだ。なら俺が同じ事をやっても問題無いよねアレクシア。


「誰が純情じゃ。妾純情では無いし。別に平気じゃし。ヒャッ!」


まだコイツは強がるか。しかしコイツ、ちょーっと腰から上に手の位置を上げただけで、なに変な声を出している? まさかこのまま自分のエルダースライムを揉まれるとでも思っているのかな? 指一本分、指一本分だけ俺の手が上に上がっただけなのにな。


「フッ……」


「お前は何を笑っておる? 今お前、鼻で笑ったじゃろ? うおい! それ以上、上に手を上げるで無いぞ、そこで止まっておけよ」


「何を警戒してる? まさかさっきまで俺にあててたトコに、俺の手が行くとでも思ってるのか? お前は想像力豊かだよな。それともお前自身がいやらしい女だから、だからそんな考えになってるのかな。まあ良い、ホラ、人が多いし周りに邪魔になるからもっとこっちに来い」


「だ、誰がいやらしい女じゃ、誰が。おい悠莉、フリでは無く本当にそれ以上手の位置を上げるでないぞ。妾別に平気じゃけど、別に恥ずかしがってはいないけど、ソレとコレは別じゃからな。あ、あててやってもエエが、触られたり、も、揉まれたりは全くの別問題じゃからな」


「お前なぁ、何度も言うとフリみたいに聞こえるからな。それと心配しなくても、俺はお前と違ってそんな事はしないよ。キミと一緒にしないでくれたまえ」


「くっ……。やっん! おい悠莉! 近すぎるのではないか?」


「うるさいなぁ。アレクシアお前気にし過ぎだ。さっきからうるさいぞ。と言うか変な声を出すな。まぁ良いや、ホレ、早く行くぞ。何か腹減ってきた、何を食おうかな」


「くっ……。お前が……。くっ……」


お前はくっ、しか言えないのか? このくっ殺アレクシアが。

しかし……。このままでは、この程度では終わらせない。やられた事をもう少しだけやり返してやる。


「んにゃん!」


「お前なぁ、変な声を出すなっって。何だよ、んにゃんって? お前はネコか? と言うか女みたいな声を出すなって」


「アホかぁ、妾は女じゃ。大体じゃな、お前が脇腹辺りを摘まむからではないか。だから変な声が出たんじゃ。なぁ摘まむなよ」


「摘まんだんじゃ無い。手の位置を少し変えただけだろ。お前が過剰に反応してるだけの話だよ。敏感かお前は」


「何が敏感じゃ。お前が、お前の触り方がいやらしいから……」


「お前なぁ、そんな事を抜かしてると、本当にいやらしく触ってやろうか? 大体だな、お前がいやらしい女だから、だからそんな風に穿って物事を考えるんだよ。普通に抱き寄せてるだけだ」


いやまぁ本当はコイツの脇腹を少ーしだけ、ほんの少ーーしだけ指技でくすぐったがな。

だけど本当に少しだけだ。多分コイツが元から感じやすいだけだと思う。多分。


「いやらしい女言うでない。失礼な奴じゃ、それと何度も言うが本当にそれ以上は手の位置を上げるでないぞ。なぁところで悠莉よ、お前何時までこうしてるつもりじゃ?」


「仕方ないだろ、混んでるんだから。お前気にし過ぎだぞ」


「気にもなるわ。くっ! 何故にこんなに混んでおるのじゃ? 混み過ぎじゃぞ」


何でこんなに混んでるだって? そりゃ今日は月次祭だからだよ。ついでに言うとほおずき市もあって、イベントが重なってるからに決まってるだろ。

そんなもんここに来る前から分かってった事じゃないか。月次祭の日だけでも混むから嫌なのに、まさかほおずき市もあるとは……。だから来たくなかったのに。

俺は知らなかったけど、ほおずき市があるのをお前は知ってただろうに何を今更。


それにしても本当に混んでるなぁ。人が多過ぎて歩みが遅い。

ぎゅうぎゅう詰めとまで言わないけど、激混みだよ。まるで年末の市場に買い出しに来てるみたいだ。周りはお年寄りが非常に多いが、元気な年寄りが多いって事か。ん?


何だろう、俺たちを微笑ましそうに見て来るな。これってあのレトロを売りにしたデパートに行った時みたいに、あの時に感じた視線と同じ様な視線を感じるな。


仲が良い? そうですね、端から見たらそう見えるでしょうね。ならば期待に応えなくてはならないな。


「悠莉おい、余り妾を強く引き寄せるでない。近すぎるぞ。これ以上はもう近寄れぬ。それに歩きにくいんじゃが」


「はぁ? さっきお前が腕を組んで来た時よりもまだ余裕があると思うけど。なんだぁ照れてんのか? 純情かお前? ちょっとくっ付かれた位で……、フッ……」


「別に照れておらぬし。ちょっと歩きにくいだけじゃし、今日は少し暑いから熱いだけじゃし」


「確かに今日は少し気温が高いけど、それよりも、人が多いからそれで暑く感じるだけだと思うぞ。アレぇ~、まさか照れてるから身体が熱く感じてるのかな? なぁなぁアレクシア、まさかそうなの?」


「はぁ~? そんな事無いし。別に恥ずかしがっておらんし。ちょっと歩きにくいだけじゃし。少し日差しが強いから暑いだけじゃし。それと強く引き寄せられると服に皺が寄らぬか心配なだけじゃし。それにくっ付けれても別に今更じゃし。平気じゃし」


お前は何回じゃしって言うんだ? アレクシア君、キミは動揺してるのかな? 確かにある意味今更感はあるが、だけど普段からこうしてる訳じゃ無いもんな。

コイツはアレだな。自分からやるのは余り気にならないが、自分がやられたら気になるタイプの奴って事か。

さっき散々弄ってくれたんだ、なら俺もやり返す権利はあるよな。


「うひぃ。ちょっ……」


「だからお前、奇声を発するなって。何だようひぃって?」


「だってだって、今お前の手が上に上がったから。手の位置が上がったから。それに何か指使いがおかしかったぞ。お前今、妾の脇腹をくすぐったじゃろ?」


「手の位置を変えただけだよ。お前はさっきから同じ事を何度も……。気にし過ぎだよ。さぁ行こう行こう」


「んにゃ!」


少し手が動いただけでコレか? 何がんにゃだよ? まぁ良いや、そろそろ境内に入る。いや、屋台が出てる所にって言う方が正しいか?

仕方ない、そろそろ勘弁してやるか。今日はこの位にしておいてやろう。


「・・・」


あらら、アレクシアさん、お顔が真っ赤ですよ。

純情な奴よのお。さて、屋台が見えて来たしそろそろ離れるか。


「くぅ~。くっ付き過ぎじゃ悠莉……」


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