第37話 攻勢限界点
「アレクシア、お前何時まで照れてるんだ? 早く来いよ、で、何食べる?」
「照れておらぬわ。ベタベタくっ付きおって。服が皺になるわ」
「もう離れたから良いだろ。お前は純情過ぎるんだよ。と言うかお前が先にベタベタくっ付いて来たんだろ。寂しがり屋かお前は?」
「誰が寂しがり屋じゃ。まぁエエわい、さて、何を食べようかの」
切り替えが早い奴だよ。いや、食欲に支配されているだけかな?
それよりもだ、いや~ この雰囲気、実に良い。
何やかんやで祭りのこの雰囲気と言うか、空気感は本当に良いねー。人が多いがそれすらも良く感じるよ。来るまでは乗り気じゃ無かったけど、この雰囲気と空気感に触れると来て良かったって思えるもんな。我ながら実に現金な人間だと思うよ。
「何にしようかの。食べたい物が多過ぎて迷ってしまう。おっ! 冷やしキュウリがあるではないか。アレにしようかの」
冷やしキュウリ~? これまた年寄り臭い物を。うーん、冷やしキュウリの屋台、混んでるね。年寄りが多いから需要が結構あるのかな?
「なぁなぁ悠莉、アレ食べたい」
「ん、分かった」
いきなりキュウリか。まぁ良いや、前菜だと思おう。おっ! あっちにホルモン焼きの屋台があるな。後で食べるか。
「美味しそうじゃなぁ。さてさてお味は……。 うむ、エエな、味が染みておる。キュウリ自体も良い味じゃ」
アレクシアの奴め、でっかい口を開けて……。何だろう、何か今日は食い方がエロいなコイツ。
これは俺の心が汚れているからそう見えるのだろうか?
「あーっ! 汁が垂れたではないか」
「・・・」
うんエロいね。やはり俺の心が汚れていると認めなければならないんだろうか?
「なぁなぁ悠莉、汁拭いて~」
「・・・」
言い方までエロく感じるんですが。
今日はスキンシップが激しかったからか、やはりエロく感じてしまうな。コイツに他意は無いんだろうけど。
「なぁ、聞いておるか? 汁を拭いてくれ」
「お前なぁ自分で拭けよ、子供か?」
「だってだって、両手が塞がっておるんじゃもん。自分では拭けぬ」
「チッ……。仕方ない奴だな。バッグを開けるぞ。ん? なぁ、ティッシュが見当たらないんだけど、まさかまた持ってくるのを忘れた?」
「えっ? アレ? 入って無かったか?」
「入って無いよ。もう! ちよっと待ってろ、ショルダーバッグから出すから」
毎度毎度忘れやがって。何で俺はコイツの世話をしなきゃならない? 俺はお前のお母さんじゃ無いんだぞ。ん?
「なぁアレクシア、何でお前は目を閉じてる? それに何故お前は顔を微妙に上向きにしてるんだ?」
「目? あー何でじゃろうな? 顔は汁が垂れそうじゃから? なぁ、それより早く拭いてくれ。服に掛かるではないか」
そうですね、今にもお汁が垂れそうですね。
汁が垂れたら多分、そのエルダースライムさんに掛かっちゃうんでしょうね。だって凄い出っ張りですもんね。
「おい、なんか口紅まで拭いておらぬか?」
「拭いて無いわい。お前なぁ、人にやらせといて何て口の聞き方だ? ホラ、拭けたぞ」
「何か顎の下にも垂れておらぬか? 首筋に垂れておる気がするんじゃが」
面倒臭い奴だなぁ、あれ? コレ何か顎クイみたいになってないか? 何だろう、周りの皆が謎の期待をしてる気がするんだけど?
おばあさん、アナタは何故にボク達を見てワクワクしてらっしゃるんですか? お顔に出ていますよ。あの二人キスしそうって顔をしてらっしゃいますよね? しませんよ。
「なぁ綺麗になった?」
「うん、これで大丈夫と思う」
しかしデカイな。何がとは敢えて言わないが、本当にデカイ。ポンコツのくせして生意気なスライムをテイムしてるよな。正にエルダースライムだよ。
「おーすまぬすまぬ、助かった。ん? おい! お前また妾の胸を……。ガン見ではないか。これは言い逃れが出来ぬぞ」
「何言ってんだよ、胸に汁が垂れていないか見てやってたのに。お前は恩知らずだな、胸が垂れてしまえ」
「お前嫌な事を言うのう……。一応言っておくが妾は胸が垂れる事は無いと思うぞ。種族……、人種的にそれはあり得ぬ。多分大丈夫じゃ」
それって単にお前の願望じゃないのか? 魔族でも年を取ったら垂れている奴も居たぞ。
それとも魔力で垂れない様に出来る秘法でもあるのかな? もしそんな物があるなら正に秘法だよ。
「本当に仕方ない奴じゃのう。妾の胸をいやらしく見おってからに。妾その内お前にシャレにならぬ事をされそうで、危機感を感じるんじゃが」
「そんな事しないよ。お前は俺を何だと思ってるんだよ? それより次は何を食べるんだ?」
多少は見ても触ったりしないわい。そんな事をしたら絶対ややこしい事になる。うん、間違いない。
「誤魔化しおったわ。まぁエエわい、次はそうじゃの……。おっ! あれはカルメ焼きではないか、アレにしよう」
「カルメ焼き? 甘い物を……。昼飯ってよりおやつタイムみたいだな、別にいいけど」
「エエではないか。ん? なぁ、あれってカルメ焼きでは無くカルメラ焼きと書いてあるが別物か?」
「ん? あー、カルメラってのは関西の言い方だよ。カルメ焼きもカルメラ焼きも一緒の物だよ」
珍しいな。カルメラか、関西の職人が焼いてるのかな。見た所おじいさんが焼いてるみたいだが、手つきが素晴らしいな。期待出来そうではあるが、美味かったら帰りにお土産に買って帰ろう。
「あー、関西の言い方か。そう言えば前にネットで見た事あるのう」
お前が見たのは、自称日本一不幸な少女がホルモンを焼くアニメだろ。何度も何度も再放送されてるあのアニメの知識だと思うが。まぁ良いだろう、美味かったらそんな事は些細な問題だ。
「買ってくるから待っておいてくれ。知らない人について行くなよ」
「アホかぁ。妾を何だと思っておる? はよう買ってきてくれ」
いちいち突っ込まないぞ。何故ならもう何度も言ってる事だからな。
それよりもナンパとかアイツされ無いよな? ついて行かないと思うが、しつこい奴ならアレクシアの奴キレて何をするか分からないからな。気をつけておこう。
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「アレクシア、買って来たぞ」
「おー、ご苦労ご苦労」
何だろう、凄く上から目線に感じるんだけど?
背が高くなって身体も大きくなったからかな?
それにしても……。
「しかしデカイなぁ」
「そうじゃな。食べごたえがありそうじゃ」
「うん……。どうやって膨らまさせたんだろ? パンパンだよな」
「そうじゃな。ん? パンパン?」
「うん、詰まってるよな。もしかしてコレには夢が詰まってるのかな?」
「ん~? 夢? なぁ悠莉よ、カルメ焼きは詰まっておる物もあるとネットには書いてあったが、基本的にはサクサク、バリバリとした食感じゃよな? 中はスカスカな物であると思っておったが、コレは違うのかの? カチカチに固められた物なのか?」
「あー、買って来たコレは中身が詰まって無いと思う。バリバリサクサクした食感だと思う」
「おい……。お前また……。妾のどこを見て発言しておる? なーんか話が噛み合わぬと思ったら。のう悠莉よ、男のチラ見は女のガン見と言うが、はなからガン見の場合は何と言うのかのう?」
「ん? 只のガン見じゃないのか?」
「おい、お前はもしかして今自分が何をしておるか分かっておらぬのか?」
何を言ってるんだコイツ? 何してるも何も、カルメ焼き食ってるだろ? いきなり何を言い出すんだろう。
「こやつ気付いておらぬ……。おい悠莉よ、今お前妾の胸をガン見しておるぞ。まさかアレにまた色々と操作されておるのか?」
ヤベっ。無意識にガン見してたか。不味いぞ、何とか誤魔化さなくては。
「はぁ~? 見てないし。お前のカルメ焼きの方が大きいなぁって思って、カルメ焼きを見てただけだし」
「お前のう……。普段食べ物の大きさに余り気になぞせぬではないか。のう、そうじゃよな? 食べ物の大きさを気にするなぞお前は妾か?」
「・・・」
どうしよう、これは流石に突っ込むべきなんだろうか? いやまぁ確かに無意識とは言え、コイツのエルダースライムさんを見てたよ。
でもだからと言って今のコイツの発言は、お前が言うなと突っ込む事に関しては、それは許されると思うんだ。
何がお前は妾かだよ? 絶対今のは突っ込み待ちだろ? どうしよう、凄く突っ込みたい。だけど突っ込んだら負けな気もする。
だけどコイツの胸をつい見ていた事に関して、その件を誤魔化せそうな気もする。迷うな……。
「お前のう、今日何度も言ったが見過ぎじゃぞ。あまりにも見すぎで冗談にも出来ぬわ。それともやはり、アレ操られておるのか?」
すいません神に操られておりません。精神も弄られてもいないし、完全に僕の意思です。
でも言い訳させて貰えれば、無意識なんです。無意識でちょっと、ほんの少~しだけ、本当に少~~~しだけ見てしまってるだけなんです。
「聞いておるか? チラ見ならまだ分からんでもないが、お前ガン見しておるからな。しかも物欲しそうな目で見て来おってからに……」
「・・・」
いやいや、物欲しそうな目って……。流石にそれは言い過ぎだろ~。言い過ぎだよね?
しかし不味いな……。完全に不審者を見る様な目付きで俺の事を見て来てるぞ。
「・・・」
「どうした? だんまりか悠莉よ? 何か言う事は無いのか? んん?」
ここで、何かってだけ言ったらどうなるだろう? うん、アレクシアさんも流石にキレちゃうよね。そうだね、余計な軽口は生命の危機に瀕する事になる。ここは空気を読んでそんな下らない事は控えよう。
だがどうする? このままでは俺はコイツにとって怪しい人になってしまう。このままではガン見野郎と言う不名誉な二つ名を魔王様より賜る事になるだろう。
この場を誤魔化す方法は実はあったりする。だけど違う意味で不味い状況になるかも知れないが、どうする?
「おいコラ。お前のう、黙っておっても分からぬぞ。何か言ったらどうじゃ? 言い訳位は聞いてやっても良いぞ。黙ったまま妾の顔を見て居ても何も解決せぬぞ。ホレ言うてみい?」
「・・・」
何だろう、この勝ち誇った顔がムカつくな……。
こんのポンコツめ、ここぞとばかりに責め立て、優越感に浸るつもりだな。
普段俺に小言を言われて居るから、仕返しのつもりか? 俺にやいやい言われてる事の意趣返しか? そうなのか?
「ホレホレどうした悠莉よ。言い訳してみよ。妾の胸をいやらしくガン見していた件について言い訳してみよ。妾はお前の言い訳を聞いてやるぞ、んん?」
「・・・」
こんのおっぱい魔王め。不審者を見る目付きから、獲物をいたぶるネコみたいな目付きになったぞ。ニヤニヤとムカつく目付きと顔だよ。
どうしよう、確かにほんの少しばかり見ていた俺が悪いのかも知れないけど、だからと言ってこのポンコツの態度もどうなんだ?
つい目が行っちゃう事ってあるだろ? 無意識に視線が行っちゃう事もあるじゃないか。だって男の子なんだもん。
ましてやそんなでっかいモノがあったらほんの少しばかり、目が行くのも仕方ないだろ?
大体だな、そのエルダースライムを直に触った訳でも無いじゃないか。服の上からすら触った訳でも無いぞ。
ちょっとだけ、本当にほんのちょっぴり見ちゃってただけじゃないですか。しかも無意識でな。
「だんまりで済ますつもりか? ホレ、妾は言い訳を聞いてやると言っておろう? まさか聞こえぬとでも言うつもりか? それとも言葉を忘れてしまったのかの? ホレホレどうした? んん? あーそうか、言い訳したくても出来ぬのじゃな。なるほどなるほど。言い訳のしようが無い程、明らかな罪であるからのう。あれだけガン見しておったら、言い訳すら出来ぬか。そうじゃのう」
「・・・」
ム、カ、つ、く。コイツここぞとばかりに……。
「どうしたそんな顔をして? 妾は寛容にも、言い訳させてやると言っておるのじゃぞ。んん? 妾の顔を見ているだけでは話が進まぬぞ。それともあれかの? 妾の顔をじっと見つめるフリをしつつ、また妾の胸を盗み見ておるのか悠莉よ?」
「・・・」
こんのクソ金髪おっぱいポンコツ女めが。何がとは敢えて言わないが、本当に揉みしだいてやろうか?
「おいおい悠莉よ、また妾の胸を見ておるな? チラ見なら可愛いもんじゃが、ガン見となると可愛げが全く無いのう。お前は本当にいやらしい目をしておるのう、んん? 性根がいやらしいからそれが目にも表れておるのか? そうなのか悠莉?」
「・・・」
このクソザコ赤目おっぱいだけ女が……。マジで乳揉みしだいてくれようか? ムカつく顔をして抜かしやがってからに。
お前の今の顔を鏡で見て見ろ。貴様の人間性がその面に表れてるぞ。そんなお前言われたくはない。
もういい。あまりやりたくは無いが、本当に色々と問題のある方法だけど、でもやる。
この無駄乳女に目にもの見せてやるよ。バカめ! 俺を本気にさせたな。逆襲開始だ。
「悠莉よ、妾が魅力的な女であるからと、妾をいやらしく見つめて来るのは分かるが、じゃからと言って胸をいやらしく見て来るのはどうかと思うぞ。妾も罪な女じゃなぁ……。あまりにも美しく、魅力的である故の弊害じゃ。妾の美貌に見蕩れるのは分かるが、妾の胸に魅いられたりするのは感心出来ぬなぁ」
自画自賛か? 精々今の内に悦に浸っていれば良いさ。さて、そのバカ面が出来るのも今ので最後だ。俺の覚悟を見よアレクシア。
「そうだな、俺はお前の胸じゃ無く、お前のその美しい顔に見惚れていたんだ」
「へ?」
何がへ、だ。間抜けた顔になってるぞ。
間抜けさに拍車がかかってるなアレクシア。だがまだだ、これは始まりに過ぎない。
「聞こえなかったのかアレクシア? 俺が見ていたのはお前の胸では無く、お前のその顔を、美しい瞳を見ていたんだ」
「ふぁい?」
バカが、この程度でテンパってるのか? 思ってた事と違う事が起きて混乱してんのかな?
アレクシアよ、戦いに想定外が起きるのは、ある意味想定内の事だぞ。
そう、これはもう戦いだ。ならば俺も全力を持って戦おうじゃないか。出し惜しみ無しでな。
「仕方ないだろ、お前のその美しい顔から目を離せないんだ。美しさは罪だなアレクシア」
「えっえっえっ?」
良し! 混乱してるな。追撃だ。
「アレクシア……」
「えっ、ちょちょ、お前何をしておるのだ?」
「何って……、お前の頬に触れて、お前の温もりを感じてるんじゃないか」
チッ……。コイツ頬っぺたあっついなぁ。生温さを通り越して熱いんだよ。体温高過ぎだ、そんなヒラヒラしたのを着てるからそうなる。何でこのクソ暑いのにゴスロリなんか着てるんだ? アホだろコイツ。
「いやお前、えっ? な、何で妾の頬に手を? やっ、お前今、今指で妾の頬を撫でた?」
撫でたね。左手親指で撫でたよ。
クソ、コイツの化粧が指に付いたんじゃないか?
「アレクシア、綺麗だな」
「ふぇっ」
この程度で……。本当にコイツってこれ系に免疫の無い奴だよな。ちんくりんであろうと、元の姿の今も中身は変わっていないんだな。
「やんっ……。お前頬を撫でるなよ。み、見つめるなよ……。ちょっとぉ、手を動かすなよぉ。あっ、お前今、妾の唇を撫でたじゃろ? 何しておるのぉ?」
「口の端にカルメ焼きの欠片が付いてたから、だから払い落としたんだよ。お前は本当に可愛らしいな、子供みたいだぞアレクシア」
このボケが。口の端に食い物のカスをつけるなや。お前はガキか? この位自分で気付いて拭う位はしろ。何で俺がやってやらなきゃいけない? きったねーな……。
「やっ……。見ないでくれ……」
俺だって見たくないよ。ついでに言うとしたくもない。そして大事な事だからもう一回言うが見たくもないけど、お前に効率良く反撃する為にやってるんだよ。
「ちょっとぉ、また手を、手を上げた。頬に手を這わすなよぉ」
「だってそうしないと、アレクシアの美しい顔が見られないじゃないか。お前の目を見たいんだ。ほら」
我ながら気持ち悪いセリフだな、ゲー吐きそうだよ。これは俺自身にもダメージを食らう自爆攻撃になるね。だけど止めない、何故ならこれが一番コイツにある意味ダメージを与える事が出来るから。
「ちょっとぉ、妾の顔を見ないでくれと言うておろう。なぁ聞いておるか?」
ここで聞こえんなぁ、ってネタに走ったらどうなるんだろう?
「おい悠莉、妾の顔を見つめるなよ……」
ならお前の無駄乳なら見ても良いのか? おっと、視線が下に行きかけた。気を付けなきゃ。
危ない危ない。そんな事をしたら台無しになってしまう、うん、この努力が無駄になってしまう。
「俺は、お前のその顔だけ見たい。見せてくれアレクシア」
「バカぁ」
誰がバカだこのアホ! と言うか言葉の裏の意味に気付けよバカタレめが。
俺はお前の顔を見てるのであって、その無駄乳は見ていないってアピールしてるんだよ。
本当にコイツってコレ系に弱いよなぁ。コイツの弱点だよ。と言うかチョロい? どうもコイツは雰囲気に流されやすい節があるね。 大丈夫か? 将来チャラ男に騙されたりしないよな?
それにしてもコイツって本当に攻めには強いけど、守りに弱い。さっきも自分からしてる分には平気だったけど、ちょーっと自分がされたらコレか? 何だろう、アレクシアってちょっとだけ嗜虐心を刺激する奴だな。しかし……。
綺麗な顔してるよなアレクシアって。このままその唇に吸い込まれそうになる。このまましちゃっても良いのかな? そうだな、してもい……。いやいや、ダメだろ。あっぶねー。今見知らぬおばあさんが『あらぁ、素敵~。絵になるわぁ。このままキスしちゃいそうねえ』って言わなかったら、俺も雰囲気に流されかねなかった。危なくしちゃうとこだったよ。いかんいかん。気を付けねば。ん? コイツ……。
お前は何で目を瞑ってる? 瞳を閉じるな。何をお前は雰囲気に流されてる? プルプル震えながら目を閉じるな。お前本当にしちゃうぞ。
「アレクシア、腹へったな! あの屋台のジャンボフランクってチーズ入りで、しかもベーコンで巻いてるみたいだぞ。アレ食いに行こう」
「えっ? あっああ、そうじゃな。ん? アレ? うん、ジャンボフランクな。チーズ入りでベーコンで巻いてあるのか。うむ、お、美味しそうじゃな」
危なかった。仕方ないから今日はこの位にしておいてやろう。痛み分け、と言ったところか。




