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第40階 終わりと始まり(最終話)

「そっち、サーペントが行った!」

「はい!」

サーペントの体を弓が貫く。


 俺達"蒼き閃光"は新たな仲間を迎えた。

 ——アマネさん。

 

 リュウリーンの森のダンジョンにも罪人が割り当てられ、アマネさんは無事に復活した。


「久しぶりに体を動かすって良いわね。」

「アマネさんの弓、とても正確なので助かります。」


「ユイちゃんの魔法には敵わないわ。」

「一時は3人になっちゃって、どうしたものかと思ったけど、一転して戦力増強だな!」


「本当、ダイキってば……泣きそうになってたもんね!」

「いやいや、エイレンだってドヨーンとしてたじゃないか。」


「もう!意地悪ね!まぁ、カズヤもユイも戻ってきて良かったわ!」

 ダンジョン内で5人、笑い合った。


「ところで……アマネさんって、あの頭がイターイのをどうやって克服したの?」

「あぁ……随分、長く管理者してたからね、何度も何度も痛い思いをしてたら、慣れちゃったのよ。」 

「俺なら……無理だな。耐えられない。」

 

「管理者トーク、意味が分からないから、分かるように言ってくれ!」

「本当、まぁ……こうやって笑い合えるようになっただけで良いと思うけどね。」

 ダンジョンの管理者……今、思い返すと、まるで夢物語だったかのようだ。


 ——共に笑い合う仲間となったアマネさん。

 もう、森の町リュウリーンには戻らないと言う。

 知り合いも……もう、おばあちゃんになっているだろうから、という理由。

 アマネさんだけ時が止まっていた。

 そう考えると、とても悲しい事。


「おい、何、ちんたらやってんだ!?降りないなら、先に行かせろ!」

 背後からの聞き覚えのある声に、振り返る。


「なんだ……カケルか。」

「何だとは、何だ!?」


「次、ペナルティがかかると捕まるんじゃなかったでしたっけ……カケルさん。」

 ユイがカケルの顔を覗き込みながら言った。


「お、おぅ……」

 カケルはバツが悪そうに道を空けた。


 ダンジョンの管理者という罰は、かなり効果があったらしく、王都での犯罪者が減ったという話だ。

 王都軍の訓練係となったシイラスさんからの手紙にあった。


「じゃぁ、先に行くわな。」


「いってらっしゃーい!」

「どうぞー。」

 "赤い稲妻"の魔法師、レザリーと盾役のガイアが手を振った。

 この2人は何故、ずっとカケルの下で働いているのだろうか……


「まぁ、お前も……死んでなくて良かったな。」


「お、カケル……心を入れ替えたのか?」

「うるさい……早く行け、邪魔だ!」


「ははは、まぁ……ありがとな。」

 カケルに手を振って、下層へと降りた。


 ◇◇◇◇◇


 今夜……俺にはやるべき事があった。

 いや、昨夜もやろうとしたが……出来なかった。


「今夜こそは……」


 俺は、ユイの部屋の前に立つ。


 コンコン……


 ドアをノックすると、中からユイの声が聞こえた。


「あの……話があるんだ。」

「何ですか?こんな夜に。」


「ごめん、迷惑だった……よね。」

「いえ、まぁ、大丈夫ですけど……あ、でも、部屋が散らかっているので、テラスでも良いですか?」


「あぁ、勿論だ……」


「——で、何ですか?」

「えっと……星が綺麗だね。」


「そうですか?あまり、出ていないようですが……」

「あぁ……まぁ、普通か。」

 

薄い羽織を着たユイは、まるで星のように輝いていた。

 

 ——伝えないと。

 また、会えなくなる日が来るかも知れない。


「ユイ……」

「何?」

 

「俺……ユイの事が好きなんだ!」


 まっすぐに俺の顔を見るユイの顔は少し赤らんだ。

 おそらく……俺の顔も真っ赤だ。

 涼しい筈なのに、体が熱い。


「えっと……私のどこが良いのですか?」

 ユイは真剣な表情となり質問をする。


「とても頑張り屋で。

 みんなに優しくて。

 物事に誠実で。

 頼りになって。

 そんなところ……全部だ!」

 声が高くなってしまった事が分かる。

 ユイの良いところ……いつも思っていたから、すぐに答える事が出来た。


「それ……私がカズヤくんに思っている事なんですけど。」


「え?俺?」

「うん……頑張り屋で、優しくって、誠実で、頼りになる……カズヤくんじゃん。」


「そうなのか?」

「うん、私……管理者になっていた時、考えていたの。

 あぁ、ここって、カズヤくんが居た場所なんだなって。」

 ユイはテラスの手すりに両手を置きながら言う。


「あの……精神世界か……」

「あの時、すれ違ったじゃない?」


「そうだな……すれ違いだったな。」

「私、すんごい寂しかったの……」


「ごめんな……」

「で、気がついたの……私には、カズヤくんが必要なんだって事に。」

 そう言うと、ユイは振り返った。


「——え?」

「私も、カズヤくんの事が好き。こんな私だけど……つき合ってください。」


「あ、あぁ……ありがとう。」

 俺はゆっくりとユイに近づき……抱きしめた。



「ちょっ、押すなよ。」

「あ、ダメです。」

「お、ちょっ!」

 バターーーン!!!



「えっと……3人して何を?」

「皆さん……」


「もう、アマネさんが押すから!」

「違いますって、ダイキさんが押したのです!」

「もう……いいところだったのに!」

 コケながら、言い争う3人。


「もしかして……見てました?」

「聞いてました?」


「「「えっと……全部♫」」」


「コラー!!」

「もう!怒りますよ!」


「まぁ、いいじゃないか。」

「ですよねー。」

「せーのっ!」


「「「おめでとう!!」」」

 3人からの祝福の言葉に、俺とユイは目を合わせ微笑みあった。


 ——もう失わない。

 2人で、そして5人で。

 俺達の冒険は、まだ始まったばかりだ。


 ◇◇◇ 終わり ◇◇◇


 どうもユイです。

 寂しいですが……このお話はこれでおしまいです。

 ここまで読んでくださって、とても嬉しいです。

 良かったら、☆評価、感想をお願いしますね。

 それでは……また、いつの日か……

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