体幹を鍛えよう!
自重筋力トレーニング第3弾。本日のテーマは『体幹』。そもそも体幹ってなんぞや? 体幹に良い筋トレとは? そんな話を紹介します。
さて、今日も今日とて筋肉を鍛えていきましょうか! 本日は『体幹』にあたる部位に狙いを定めた自重筋力トレーニングを紹介するぞ!
まず『体幹』とは何か? という疑問から始めよう。もともと体幹という言葉にハッキリと「ここだ!」といった定義づけはなかったのですが、フィットネスやら健康志向やらが流行り始めて、インナーマッスルなどの用語が浸透し始めた時期に『胴体』をおおまかに表す表現として出てきたもののようです。現代でも『胴体』という定義でよろしいですが、おおよそ『肋骨から腰、骨盤までのおおまかな部分』といった理解で良いでしょう。
筋肉的な分野ですと『体幹筋』というグループがあり、つまりは胴体に付属している筋肉群を表します。これらの筋肉は内蔵を支えたり、身体が倒れないよう踏ん張ったりするバランスに関係したりと、人体にとっては貴重な働きをしてくれる筋肉です。つまり、これを鍛えるということは内蔵を支える力が強くなることであり、そこから連動して腕や足などの筋肉運動に活かせることもあり「こりゃあ鍛えるっきゃないね!」と言えるような筋肉たちだと言えます。
ざっくばらんに言っちゃえば『胸、背中、お腹、腰、ケツ』全てが体幹に属する筋肉なのです。もっと広範囲にすれば、例えば首や肩も体幹のグループに入ることができます。首周りを鍛えると、アメコミの主人公のようなマッスルな首を手に入れることだって可能ですよ!
石井直方氏監修、荒川裕志氏著による『自宅でできる 自重筋力トレーニング』においては、おおむね『首周り・腹筋・背筋』を体幹トレーニングとして扱っているようです。今回はそのなかからひとつずつご紹介しましょう。
首まわりの筋トレとして『ネックフレクション』というものがあります。これは筋トレとしては非常に単純かつシンプルなものとなります。身のままでできるものとして、まず両手の親指をアゴに当ててくだたい。それから首を「うん」とうなずくような軌道で下に曲げます。このとき、親指でその力に抗い、さらに上に押し上げてください。自然に空を見上げるような角度になったら、次は首を下に曲げていきます。うなずいた時の角度まで下に曲げたら、また親指で上に上げていきます。つまりは『親指と首とで押し合い勝負をする』ということですね。
この筋トレは『セルフレジスタンス・ネックフレクション』と言われ、文字通り"自分で反発する"筋トレとなります。首は小さな筋肉なのでそこまで大きな負荷を必要としません。しかし首周りは全身に命令を送る神経の束があり、ここを損傷するのは致命的となってしまうので筋トレをする意義は大きいでしょう。
ほかにもタオルの両端を持って頭にかけ、それを引っ張って首が動かないよう耐えるネックフレクションもありますし、仰向けに寝転がった状態から首だけを上にあげるネックフレクションもあります。要は『首が曲がらないよう耐える、もしくは首を曲げる時に曲げづらいよう反抗する力を加える』ことが首の筋トレになるということです。ただし負荷をかけすぎると内部を損傷してしまいますので、これは自分の首の強さと相談しながら慎重に行ってください。ちなみに首の筋肉は『〇〇筋群』のような表現になり、代表的な首の筋肉は無いようですね。
腹筋と言われると、みなさんは学校でやったあの起き上がる運動を思い出すのでしょうか? あれも素晴らしい腹筋の筋トレになるのですが、起き上がりきった瞬間に腹部が脱力してしまうために最高のトレーニングとは言えません。なので、ここでひとつ『クランチ』を覚えていきましょう。
まずは仰向けになりリラックスしてください。腰は地面にしっかり付けて、それからヒザを上げましょう。足の付根が地面と垂直に、ヒザは90度曲げてください。この状態から『背中を丸めるよう意識』して腹筋運動をします。この時、足はフラフラしないよう気をつけてください。曲げきったらそのまま1~2秒キープします。ふんばって! 耐えきったらゆっくり身体を寝かせますがすぐ腹筋して! また1~2秒キープ! ゆっくり下がって下がりきったらまたアップだ!! 息を吐きながら起き上がるとより刺激が高い運動になるぞ! ――ああ、失礼しました。
ポイントは『背なかを丸めるように腹筋する』ということ。この意識をもつと『腹直筋』をしっかりと刺激することができます。物足りないという方は腰にタオルなどを置いて腰をすこし持ち上げましょう。これは腹直筋のストレッチ効果があり、さらに可動域が広がるためによりよい刺激を与えることができます。もし、足がふらついたりする場合は足を地面についても構いません。しかし足で踏ん張って腹筋をすることはなるべく控えましょう。その分だけ腹筋への刺激が減ります。
腹直筋は、いわば『腹部の表面』に相当します。まあよくある『6つに割れた筋肉』ってヤツですね。確かに見栄えは良くなりますが、腹筋って実は数が多くて奥が深いのですよ。そこでもうひとつ、『腹斜筋』を鍛える『サイドクランチ』をご紹介します。
サイドクランチの基本姿勢は、横になって眠る時と似ています。仰向けの状態から身体をどちらか横に倒しましょう。ヒザを曲げて手は両手の後ろで組んでください。それまでの準備ができたら本番です。身体の横側を真上に上げましょう。つまり、腹斜筋バージョンの腹筋というわけですね。背中を丸めてしまうと腹直筋の運動になってしまうのでご注意ください。
地面から身体の横を持ち上げるという行為、普段の生活でなかなかしないだけに難しいと思います。しかしここはふんばって! キツくてもツラくない! クランチと同じように息を吐いて! 横になった顔が縦になるくらい大きく曲げて! そしてゆっくり下ろすんんだ! 慣れていない運動だけに、これは動きが小さくなりガチだ、すこし大げさなくらいでしっかりと腹斜筋を起こしていこう!
このふたつを実践するだけでも腹筋はみるみる変化していきます。ただし、腹筋はふつうの生活でなかなか利用しない筋肉でもありますので、やった後にすごくジンジンきたりツッてしまう場合もあるでしょう。その時はうつ伏せになって、オットセイのように腕だけを立てる姿勢になれば腹筋が伸ばされストレッチをすることができます。無理をせず、しかし定期的にやれば、かならずアナタのお腹は6つに分かれることでしょう!
背筋の筋トレとして、前回紹介した『バック・エクステンション』があります。まさに背筋筋トレの王道を往く筋トレですが、イスをひとつ用意しただけでさらに可動域を大きくとった筋トレを行うことが可能になります。
イスをひとつ用意し、そこにお腹から乗っかりましょう。硬い状態にお腹をつけると痛いので、クッションやタオルなどを敷いておくようにしましょう。それから手も足も地面につかないよう自分でバランスを調節してください。頭側、足側のどちらに体重が偏ることもない状態が整ったら準備完了です。
まずは身体を丸めてください。そうすることで背筋の可動域をしっかり広げることができます。その状態から背中の筋肉に力が入ることを意識しながら、ゆっくりと身体を一直線の状態へもっていきましょう。まだまだ! えびぞりする気持ちで! 腕を足を上げて! 限界まできたら1~2秒キープ! それからゆっくり下がっていこう。あとはそれをひたすら繰り返すだけだ! ツラくない! キツくない! 頑張るか、もっと頑張るかだ!! これは背筋の中でも『脊柱起立筋』によく効いてくるぞ!
体幹、とくに腹筋が重要だという理由の一つに、そこだけが『骨で守られていない』ということが挙げられます。内蔵のほとんどは腹部にあり、筋肉がダルンダルンだと内蔵まであちこちに動き回ってしまいます。事実として、腹部の筋肉が衰えたことにより内蔵が皮膚の内側まで飛び出してしまうという『鼠径ヘルニア』という病気もあるのだ。日常でも体幹を鍛えることでバランス感覚の強化にも繋がり、外部からの衝撃にも強くなったり、姿勢も良くなったりとメリットだらけではないか! これはもうやるっきゃないね!!
筋力トレーニングには健康に多大なる影響を及ぼしてくれる。そして自重筋力トレーニングは今、この瞬間ですらすぐに行える魔法のような筋トレなのです。言うなれば、コストを払って将来のアドバンテージを約束する切り札のようなもの。その切り札を今使わないなんてモッタイナイと思いませんか?
アナタに与えられた選択肢はふたつです。すなわち頑張るか、超頑張るか……アナタはどちらを選択しますか?
筋トレの話題になるとどうしてもハイになる瞬間がある。わたしだけ?




