音楽ってなんで"パクリ"がおおいの?
リズム・メロディ・ハーモニー。
この3要素さえあれば『音楽』は作れる。で、音楽ってのは古今東西むかしからずぅっと作られ続けているわけで、12この高さしかない"部品"だとどうしてもこういう問題が起きちゃうんです。
音楽を聴いてると、ふいに「あれ、この音楽どこかで聞いたことあるぞ?」とか「これ、あの音楽と同じじゃん!」なんて感じたことがありませんか?
その感覚、わりと正解かもしれません。世の中にはけっこうな数の『パクリ疑惑』な音楽が存在します。けど勘違いしないでください。それらは基本的に偶然の産物であって、故意でなければ他者の音楽をパクろうとする人はいません。まあ故意かどうかを調べる方法なんて無いけどさ。
まあそういう話はさておき、まえがきで書いたように『音楽』を構成する要素は以下の3つです。
・リズム
一定のスピード間隔を刻む
・メロディ
様々な音の"高さ"を設定する
・ハーモニー
同時に複数の音を鳴らし"彩り"をつくる
音楽バンドで例えるなら、リズムを担当するのは『ドラム』。歌声で『メロディー』を刻み、ピアノやギターで『ハーモニー』を奏でるイメージでしょう。で、このなかで「これパクリじゃね?」って感覚を誘発しちゃう要素があるんですよね。
ハーモニー
音楽は12音で独自の世界観を生み出す必要があります。が、12音で形成できる音列は『479,001,600』通りあるので、まあわりと融通が効いたりします。演歌みたいに定着した流れがあるのも事実ですけどね。で、一定の間隔を刻むだけのリズムにパクリ云々なんて言い出したらキリがありません。人の耳に『パクリ感』を持たせる主要な原因はハーモニーが時間経過と共に奏でる流れ、つまり『コード進行』にあります。
今回は「あの音楽パクリじゃね?」のナゾに迫っていきましょう。
さきほど『12音で479,001,600通りあるからだいじょーぶ』的な話をしましたけど、じゃあ適当に音を並べていきゃ良いかと問われるとそうじゃないですよね? まあ『十二音技法』なる使い方もありますがああいうのは置いといて、聴く人に様々な感動を与えるにはそれ相応のメロディーじゃないとダメなのです。ってことで、むかしからわりとメロディーにも定型文があるというか、まあ『演歌』を聴いてみればわかると思いますが、だいたいおなーじような流れになっていますよね。
で、音楽心理学では『人に感動を起こさせるような音の使い方』がイロイロ研究されています。ほか様々な歴史的な研究により、世の中には『コード理論』なるものもあるんですよね。ドミソやレファラ、どういう使い方をすればより耳に気持ちよく聞こえるか。どういう使い方で人にどういう感動を与えることができるか。そんな音楽に関わる研究はとっても進んでいるのです。
コード理論で確立された組み合わせを学び、世の音楽家はたくさんの音楽を生み出しています。その結果、まったく別の音楽でもたまたま使ってるコードが同じだったり、感性がいっしょだったりでメチャクチャ似ている曲が出来上がっちゃったりすることもあるのです。コレだけが原因というわけではありませんが、ここでは日本音楽で使われている代表的なコードを紹介してみましょう。直接聴いたほうが早いってことで、たまに動画やらなにやらも紹介していきます。
:王道進行:
コード上での表記は『F-G-Em-Am』。音階にすると以下の流れです。
ド-ファ-ラ
レ-ソ-シ
(低)シ-ミ-ソ
ミ-ラ-(高)ド
わかりにくい? じゃあ以下の動画をご覧ください。いっぱつでわかります。
・YouTubeチャンネル、Nanaki Piano
ttps://youtu.be/lDXT2k_GFjo
日本には『侘び寂び』って文化がありますね。基本的に明るい響きなのですが[Em]に差し掛かったタイミングで一抹の寂しさを感じさせる響きが生まれ、最後に静けさのなかで着地する。日本人好みの展開ではないでしょうか? よく使われまくってるが故に『王道進行』と呼ばれております。
なんでこういう音の流れにするとそういう印象を受けるのかって? ――素人のわたしとしては『先人の知恵、そして音楽心理学をはじめとした様々な研究の結果』と書くのが精一杯です。
恋をテーマにした楽曲にぴったりだと思いますが、これ日本のあらゆる音楽に使われており、たぶん『J-POP』の半分以上にこのコード進行が組み込まれてるんじゃないでしょうか? 的な感じです。っていうかサビの部分だいたいそうだよね。日本人好みと書きましたが、これは洋楽界でも80年代に流行を見せていました。テンポを上げたり転調を絡めると明るい雰囲気が強調され、けっこう応用の幅が広いという特徴もあるようです。もうとにかく『あらゆる音楽に利用されているコード進行』なので、とくにサビの部分を意識して聴いてみてください。見つかるはずです。
で、コード進行ってのはただその組み合わせを使えばいいってもんじゃないんです。ハーモニーはそれにふさわしい音を組み合わせるから美しい響きが生まれるのであって、ドミソのハーモニーであれば『ド・ミ・ソ』の3音をメロディに使えば美しく聴こえやすくなります。逆に、それ以外の音を入れようとすると「ん?」的な雰囲気になっちゃったり……そこは作曲家のウデの見せ所なのですが、基本的にコード進行に合わせた音階を設置する必要があります。
で、日本じゃだいたい王道進行が使われている――つまり、必然的にメロディー部分が王道進行に合わせた音の組み合わせになっていきます。で、人に感動を呼び起こすメロディーパターンっていうのもある程度固まってるので作曲家たちはソレに合わせてオタマジャクシを置いていく。そうなると、かなりバリエーションが絞られていくのがわかると思います。
もちろん、作曲家たちはそれぞれの個性を出すために転回系を使ったり転調を利用したり、あるいは1オクターブ上げてみたりと様々な工夫をしますが、それをしてもやはり王道進行に沿った音の流れになってしまうもの。そして、その音楽を耳にした方は「あれ? この音楽あの人の曲と似てない?」的な感覚を味わってしまうことになるのです。
もちろん、これがすべての答えというわけではありません。ただ、音楽をシンプルに作れば作るほど、このコード進行によって他の曲と類似してしまう部分があるのは事実だと思います。王道進行はJ-POPはもちろん、アニソンやボカロ系な音楽まで幅広く活躍している超絶汎用性が高い進行でもあります。アナタが今現在聴いてるそれも、どこかに王道進行が仕込んであるかもしれませんよ?
ちなみに、王道進行のほかにも『カノン進行』やら『小室進行』やらオシャンティーな楽曲でよく使われる『Just The Two Of Us進行』やら多々ありますので、興味ある方はコード進行を調べてみるのも良いでしょう。なんなら作曲に挑戦してみてもいいのよ?
アナタのクリエイティブ精神に乾杯。
たとえ音楽をパクることはできても、その人の精神までパクることはできない。
いやとくにイイことは言ってない気がする。




