【筋肉】熱をつくろう【タンパク質】
これから寒くなってくからね。
体温が一定に保たれているのは、身体が常に熱を生み出し続けているからです。熱産生に関して、そのほとんどが『内臓』によって行われています。イロイロな反応で代謝しまくってるからね。とくに頑張ってるのが肝臓くん。あの子はほんともう苦労してるよ。食ったモノを解毒したり、血流からジャマな物質を排除したり、毎日てんやわんやな活躍だよね。内臓は55%ほど、筋肉が20%ほど、脳が15%ほど熱を生み出しています。残りはその他でくくれるので省略。
とはいえ、これは安静時での話。ひとたび身体を動かせば、熱産生のほとんどを筋肉に頼ることになります。その時、身体全体の60%の熱を筋肉がつくることになり、残りのほとんどを内臓や脳が占めます。
筋肉は正常時でも2割程度の熱を生み出し、活動時はとても多くの熱を生み出してくれます。これから寒くなっていく季節、できれば身体は常にぽかぽかしていたいもの。ってことで、今回は筋肉の熱産生について書いていこうかなと思います。
すげー熱を生み出してくれる言うてるけど、これって逆に言えば『筋肉はメッチャ燃費が悪いエンジン』だということです。エネルギーは動くために使いたいのですが、実際の筋肉ちゃんはほとんどを熱に変化させちゃうんですよ。
人間の筋肉を直に採取して実験した記録は(倫理的な問題などもあり)存在しませんが、マウスなど哺乳類をもとにした実験などから、だいたい『6割以上は熱になってしまう』という見解が成り立ちます。半分も活かしきれてない事実に驚愕だよね。とはいえ、筋肉は重要な熱産生の資源。このくらい高燃費のほうが都合よいのかもしれません。っていうか、わたしたちは筋肉による熱産生の重要な機能をすでに備えていますよね?
アナタは、寒さで身体をブルッとさせた経験はないですか? ――これは自分の意志に反して行われる不随意運動です。脳が「さむい! 熱生まなアカン!」と骨格筋に信号を出しブルブルと震える。この『ふるえ熱産生』により身体は熱をゲッチュできるのです。ちなみに、保温効果がある脂肪ちゃんがまわりにくっついてるおかげで太ってる方は暑がりが多いのですが、脂肪組織のなかでも『褐色脂肪細胞』と呼ばれるものはバリバリ熱産生してくれるのでありがたい存在でもあります。ダイエットに関する話じゃよく出される名前ですが、こいつはエネルギー(つまりは熱)を生み出すミトコンドリア量が多いので褐色に見えるのです。通常の脂肪はミトコンドリアが少ないので白っぽい色をしていますね。
あ、でもひとつ注意。人間の褐色脂肪細胞は40グラムほどしかないと言われてますし、こいつがダイエットに寄与するかどうかも未知数なのでネット上の情報を鵜呑みにしないようご注意ください。それなら筋肉をハッスルさせたほうがいいでしょ? ――ってことで、次は筋肉(褐色脂肪細胞含)が熱産生するために必要な要素の話をしましょう。
ダイエット関連の雑誌でも『UCP-1』って名前が記述されてるかもしれません。これは『ミトコンドリア脱共役タンパク質』と呼ばれるものです。なんのこっちゃ?
・ミトコンドリア
エネルギーを生み出すアレ
・脱共役
ATP合成反応を阻害すること
・タンパク質
プロテイン
生物のエネルギーってつまり『ATPをADPにした際の余力』なんですよ。物質はエネルギー保存の法則とか質量保存の法則とかあるでしょ? で、ATPってのはアデノシン3リン酸っていう物質なんだけど、3つくっついたリン酸の1つを加水分解すると、なんか計算が合わなくなっちゃうんです。その余剰分がすべてエネルギーになってるんです。
エネルギーを生み出すルートはいろいろあるんですが、たとえば『ATPをつくってADPにして、またADPをATPにする』的なループがあったり、脂肪細胞をエネルギーとして分解する反応があったりするんです。ミトコンドリア内に存在するUCP-1は『脂肪のエネルギーを分解する反応系 → ATPを合成する反応系』の繋がり、つまり『→』の部分を阻害、カットしちゃうんです。するとどうなる?
脂肪を分解して得たエネルギーがATP合成に使われず、熱エネルギーとして放出されちゃんです。これが人体の熱の作り方です。
ちなみに、日本人は5人に1人『UCP-1を遺伝的な問題で作り出すのが難しい』民族です。冷え性の方、もしかするかもしれませんね。単純に冷え性ってだけならいいんですが、熱産生がうまく行われないということは、身体のエネルギー産生がうまくいかない。つまり『エネルギーを消費できない太りやすい身体』と言えちゃうかもしれないので、ちょっとショッキングな事実かもしれません。
UCP-1があるってことはUCP-〇があるってことです。身体にはたくさんの『ATP合成を阻害しちゃうタンパク質』があります。たとえば速筋筋肉に多くある『UCP-3』は筋トレ界隈で注目されています。速筋自体にミトコンドリア量が少ないので、トレーニングによって遅筋化してった速筋『タイプⅡa型』が肝になるでしょう。
つまり『筋トレは熱産生を活性化させてくれるイイ習慣』なんですよ奥さま。UCP-3に関する注意点として『有酸素運動ばかりだと活性が低くなる』ということが挙げられます。長時間の運動に適応するため、身体は『省エネモード』に入ろうとするんですね。だからムダに熱だけを生み出すUCP-3を非活性化させるのでしょう。有酸素運動は脂肪燃焼にうってつけですが、ダイエットという目的があるのなら、有酸素運動と平行して筋トレも行うべきでしょう。
アナタの身体はたくさんの熱を生み出しています。じゃないと生命活動が停止しちゃうからね。人間はこれをダイエットや美容目的のため利用する術を模索しています。他の動物が羨むような飽食の文化、ダイエットはもはやゼイタクな悩みかもしれません。だからこそ、人類とダイエット問題は未来永劫継続するのかもしれませんね。
生物はエネルギーがあるからこそ生きることができます。冷え性などでお悩みの方、ぜひ人間の熱産生方法である『筋肉』を生かしてみてはいかがでしょう? 毎日10分ほど筋トレするだけで、1年後のアナタは劇的な変化を遂げているはずです。
アナタのファイヤーライフに乾杯。
毎日体温測ってみると、自身の体調の変化がわかったりするんだよ。




