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つれづれグサッ  作者: 犬物語
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【野球】ハーフスイング

学童野球あるある。きわどいコースに中途半端なスイングして怒られる。

 バッターが(ストライク? ――いやボールだ!)とハーフスイングでバットを止め、キャッチャーが「振った! 振った!」と審判にアピールするアレ。野球人であれば必ず見たことがあるシーンでしょう。ハーフスイングを見届けたあといかにすばやく、美しく、芸術的な動きでアピールできるかはキャッチャーとしてのひとつの指標だとか。


 そんなわけねーか。


 様式美的な光景ですが、これ逆にバッターが「振ってない!」と審判にアピールするシーンを見たことがある方、いらっしゃるでしょうか? そして、バッターのアピールが功を奏した場面を見たことがあるでしょうか?


 ないでしょう? だって『振った・振ってない』のチェックは守備側だけが要求できる権利をもっているので、バッターはなんも言えないのですよ。今回はそんなハーフスイングに関するアレコレを紹介しましょう。




 前提として『ストライク・ボール』などの各種判定は『審判のコールが最終的な結論』です。手元に野球の公式ルールブック『公認野球規則』をお持ちの方は【8.02 審判員の裁定】をご覧ください。年度ごとに細かい変更がなされていますが、審判員のルールに関する変更はここ数年なかったと思います。最新の公認野球規則は書店でも販売してるからぜひ買ってってね!


 で、そもそも野球には『抗議する権利』はだれも持ってないんです。それっぽいのは監督がもつ『審判がルールにそぐわない判定をした場合、ルールブックに沿うよう判定の変更を要求する権利』を持っています。つまりこんな感じ。


監督「ちょっとさぁ~、いまの判定ルールブック的におかしいから□□にしたほうがよくない?」

審判「あ、たしかにそうだわ。おっけ、じゃあ変更ね」


 テレビ中継の際、アナウンサーが「あー今の判定にはさすがに〇〇監督抗議に出ました」って言ったりするけど、あれあくまで『ルールの確認』を行ってるだけなのです。で、ルール確認を(・・・・・・)長時間粘ってたら(・・・・・・・・)それは(・・・)遅延行為だよね(・・・・・・・)? ってことで、数分以上"ルールの確認"をしてる監督さんは遅延行為で退場になっちゃいます。


 大事なことなので繰り返しますが、野球は『審判がルール』です。審判員のジャッジは最終的なものなのでだれも抗議できません。とはいえ、審判にとって見えにくい場所をジャッジしろってのも難しい話。球審は投球判定に集中する都合上、なかなかハーフスイングの判定まで気が回らないってのもあると思います。そこで、ハーフスイングだけは『要求があれば塁審に確認する』っていう特別処置が設けられています。




 ハーフスイングに関するルールは【8.02 審判員の裁定・原注2】の項目に記載されています。ザックリまとめましょう。


① ハーフスイングの際、球審が

   "ストライク"を宣告しなかった

② 監督またはキャッチャーが、振ったか否かについて

   塁審にアドバイスを受けるよう球審に要請できる

③ 要請を受けた球審は

   塁審に裁定を一任しなければならない


 いつもキャッチャーばかりアピールしてる印象ですが、ルールブックを見た限り監督も要請できるんですよね。ただし、監督はベンチエリアで要請しなければなりません。なぜならベンチ外へ飛び出すと『ストライク・ボールの判定に対する抗議』と受け止められるからです。アピールしたい監督は必ずベンチ内で「スイングした!!」と叫びましょう。


 球審は視認性の問題で、バッターと反対側の塁審にジャッジを委ねます。塁審はすかさずジャッジを下すのですが、ここで審判は以下のようなやりとりをします。


① 主審が要請を受けた場合、塁審を指差し

   「Did he Go?」

② 塁審は球審から判定を委ねられた場合――

  → スイングの場合、拳を上げ

    「Yes he went」

  → ノースイングの場合、両手を横に出し

    「No he didn’t go」


 まあ草野球とかね、そういうゆるーい試合だと厳密にやらないかもしれんですが、公式試合の場合はこういうやりとりが見られます。野球に興じる老若男女のみなさんはぜひ審判員のコミュニケーションもご注目ください。審判は遠い距離にいる審判員とコミュニケーションをとる都合上、けっこうな数のサインをもっています。今後それを紹介するのもアリですかね。




 これらは厳密にはアピールプレイではありませんが、球審にチェックスイングを要請できるタイミングはアピールプレイと同一です。


① 投手が打者に次の1球を投じる、もしくは

   次のプレイをした、もしくはプレイを企てた

② イニングの表もしくは裏が終了した後

   守備側チームのすべての内野手がフェア地域を離れた


 これらのタイミングの前に要請しないと、審判員としては『守備側は"チェックスイングを要請しない"という選択をした』と受け止められるでしょう。タイムがかからないプレーのため、たとえば攻撃側が盗塁を仕掛けたりする場合もあります。その場合はしっかり『チェックスイングの意思』を見せつけた上で対応しなければなりません。あ、キャッチャーが後逸に関してはランナーへの対応をした後でもアピールできたと思います。っていうかそれアピールできなかったら守備側に不利過ぎるよね。不安だという場合は監督がずっと「振った! 振った!」と叫び続けましょう。




 ハーフスイングに関する解説はこんな感じですかね。もしわからないコトがあればコメントに残してください。わかる範囲でお答えします。野球をやってりゃフツーに見られる光景、だけど細かいルールはわからない。今回はそんなマニアックなルール解説となりましたね。


 テレビ中継も良いですが、実際の試合を見るとたくさんの発見があったりします。審判員の動き、サイン交換、選手の細かい動きに隠された目的などなど――こればっかりは実際に見なきゃ実感できないものです。そんなマニアックな楽しみ方のため、ぜひルールブックを片手に野球観戦してみてはいかがでしょうか?


 アナタの野球ライフを応援しています。

学童野球あるある。ストライクは入らなくて泣く。

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