【栄養学】食物アレルギー
ふつーに命にかかわる問題です。
アレルギーが騒がれ始めたのって、実はほんの数十年前からだったりします。じゃあソレ以前アレルギーをもってた人は不遇の時代を過ごしていたのか? と聞かれるとまあそうなんですが、それ以前に『そもそもアレルギーをもつ人自体が少なかった』という事情があります。これは現代社会の問題とも言えるようで、欧米でも北米でも世界別け隔てなくアレルギーの健康問題があります。
原因として文明化や工業化によって使われる物質の数々、生活様式の変化などが挙げられるようですが、人それぞれ発祥するアレルギーに差があります。
アレルギーの中でも特に発症しやすい『食物アレルギー』。1歳未満の乳児による発症が最も多く、老若男女幅広い層で発症する可能性が高い特徴があります。なにがヤバイって、いったんアレルギー的ななにかにひっかかると『アレルギー・マーチ』がはじまっちゃう可能性があるんですよ。アトピー性皮膚炎の症状が出たかと思えばこんどは食物アレルギー、気管支喘息、鼻炎、次は――と、次々アレルギー症状が出てきてしまうのだからまさにマーチですね。楽しくもなんともねぇわ。
今回は栄養学的側面から書いてくということで、アレルギーのなかでも食物に関するアレルギーを取り扱ってまいりましょう。
アレルギーとは『免疫が適切に働くことができず、害のない物質を"雑菌野郎"とみなし排除しようとする症状』です。アレルギーの原因となる害の無い物質を『アレルゲン』と呼び、食物アレルギーとしては以下の食べ物が代表的ですね。
・鶏の卵
・牛乳
・小麦
・ナッツ類
・そば
筋トレマンにとっては悩ましい食材が揃います。とくにピーナッツとそばの食物アレルギーがヤバくて、アナフィラキシーから命に関わるのでゼッタイ食べるな! レベルで気をつけなければなりません。
食物アレルギーでは以下の器官に影響を与えます。
・皮膚
じんましん、かゆみ、赤みなど
・粘膜
口腔内や目が赤く腫れるなど
・呼吸器
咳、呼吸困難など
・消化器
腹痛、嘔吐、下痢など
・神経
頭痛、意識障害など
・循環器
血圧低下、不整脈など
これほどにデリケートな問題ですから、お国としては当然対策を立てなアカンのです。ってことで、令和4年現在は消費者庁が食品表示などを管轄し取り仕切っております。乳幼児にとって主なアレルゲンは『鶏卵、牛乳』ですね。消化器官が発達するにつれ症状はおさまっていくそうなので、乳児の状態を見ながら徐々に慣れさせていくしかなさそう。成人でも『甲殻類・果物・小麦・魚介類』などを食ってるときいきなり症状がではじめる場合もあります。もしかして、いつも魚食ってる時だけ肌が赤くなってたりしませんか? アナタのそれ、食物アレルギーかもしれませんよ?
食物アレルギーはヘタすりゃ命に関わる危うさを孕んでいます。ってことで、消費者庁は食べ物に対し『特定栄養源』として総勢7品目の表示を義務付けています。
特定栄養源
・エビ
・カニ
・小麦
・そば
・鶏卵
・ピーナッツ
・牛乳
で、その他表示推奨レベルではありますが、以下の食材も表示したほうがいいよとしています。長くなるので一例をご紹介。全部知りたい場合以下のサイトが参考になります。意外な食材があったりするんで読んでみてくださいね。
・いか
・オレンジ
・牛乳
・さば
・大豆
・ゼラチン
環境再生保全機構
ttps://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/46/topics/topics01.html
消費者庁、食品表示法等
ttps://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/#display_guideline
食物アレルギーの診断ってわりとメンドクサイのです。食事という身近な問題だからこそ、人は経験的に「おれ〇〇食えないんだよ。アレルギーだから」と早合点してしまいがちですが、自己診断はだいたい間違ってるので潔くお医者さんに通ってみましょう。思わぬ食材がダウトだったりします。ってことで、ここではカンタンな診断手順を書いていきましょう。
第一にすべきことは『生活環境の聞き取り調査』です。どんなペットと暮らしているか、接触は頻繁か、食生活はどうか、何を食ってどのくらいの時間でどんな症状が出たか、家族の既往症やアレルギー関連の病歴うんぬん……まあアレルギーってフクザツなのよ。
で、お医者さんが「これアレルギーじゃね?」と疑ったら次『スクリーニング』っていう検査を行います。抗体の反応を見たり皮膚に検体垂らしたりアレルゲンっぽい食物を食わない生活を送らせてみたり……まあなんていうのかな、とにかく『コロナでいうPCR検査みたいなもの』だと思ってください。液体をリトマス紙に浸して色の変化を見る的なアレコレをやるんだよ。
で、検査で抗体がヒャッハーしてるのを確認したらいよいよ治療にはいるわけだね。ってことでお次は治療に関するあれこれ。
治療つったって、根本的な対策は『食わない』に尽きるでしょう。っていうかそばとかピーナッツとか命に関わる症状をだすアレルゲンを「克服したいです! 食べたいです!」って宣言する人のほうが少ないと思う。まあ、先の長い人生だし、事故で食べちゃう可能性を考えたら治療というか克服するに越したことはないですけどね。
薬を処方できるお医者さんとしては、まず薬物療法として抗体の活性化を促すヒスタミンを抑制する『抗ヒスタミン剤』などを処方するでしょう。抗アレルギー薬なんてのもあるらしいッスよ。もちろんアナフィラキシーに陥った場合はすぐ治療しなければなりません。この場合『ボスミン』という薬剤が有効だそうで、アメリカじゃ『エピペン』ていう携帯型皮下注射セットを携帯させてくれるそうです。
さて、過去テレビで紹介されたアレルギー治療に『経口免疫療法』なるものがあります。これはアレルゲンをあえて身体に取り入れる諸刃の剣的な治療法ですが、はじめは摂取しても安全な量から始めます。で、継続して徐々に摂取量を増やすことで、免疫系に「これは安全な食べ物なんやで」と教育するわけですね。言うまでもなく自己流での実践はヤバいのでやめましょう。そんなしょーもない理由で死にたくないでしょ? ちなみに、食わなくても皮膚にポタリするだけでいい『経皮感作』という手法もあるようです。
アレルギーは遺伝要因が無きにしもあらずですが予防可能な疾患です。食品アレルギーの原因となるのは『タンパク質』です。この事実は筋肉マンを絶望させそうですが諦めないでください。たとえば『小魚』は食品アレルギー患者が不足しガチな『カルシウム・ビタミンD』の貴重な供給源になります。大豆アレルギーでなければ『豆腐』がおすすめですね。っていうか大豆食えるならソイプロテインがあるじゃろ。
野菜は農薬や添加物、鮮度などが影響すると言われています。なのでなるべく新鮮なもの、そして農薬添加物不使用な野菜を選び、きちんと加熱した上で食べていきたいですね。いずれにしてもアレルギーをもつ方はお医者さんと相談し、健康かつ安全な食生活を送るようにしましょう。
わたしは専門家でないわけでして、えーガチのマジで知りたい方は消費者庁や関連サイト、あと病院の先生を質問攻めすると良いでしょう。
アナタの食道に健全な食材が通っていきますように。
筋肉にもかかわる問題です。
おいしいものをたらふくたべられる身体に乾杯。




