【心理学】恐怖を覚える本能と向き合う
生物には"生き残る使命"がある。
生き残るには"危険"を察知しなければならない。
危険を察知した時、生物はそれを恐れなければならない。
恐怖を覚える瞬間。これを想像してくださいと言われたら、アナタはどんなシーンをイメージするでしょう?
目の前にクマがいる?
銃を突きつけられた?
親にベッドの下を覗き込まれた?
最後はともかく、前者ふたつは多くの生物が覚える恐怖と同じものですね。思春期のみなさん、対策としてブックカバーを変えとくと良いですよ。
親「われわれも通った道故ムダな努力よ」
恐怖とはなにか? そう問われると「こうです」という答えが無いのですが、とりあえず『生命の驚異と判断された事象に対する不快感情』とでも書けば良いでしょうか。上記の例ふたつが該当しますし、今はやりの新型コロナウイルス感染症への恐怖などもありますよね。感染症はいつ自分の身に降りかかるかわからない生命への驚異です。人間心理として『不確定要素』はとっても不安を覚えてしまい、感染症というリスクの大きさは恐怖を覚えるのに充分な理由となります。
今回は恐怖に関するお話。恐怖を覚えた生き物の生理的反応、対応などを書いていきましょう。
恐怖は生命への驚異と書きましたが、人間の場合他にもイロイロなタイプの恐怖を覚えますよね? たとえば――
宿題終わりましたか?
上の問いかけに恐怖を覚えたアナタ、大人しく宿題をやりましょう。最近は宿題代行業なんてのがあるらしいですけど、まあ自分のためにもなるんだから自分でやっといたほうがいいんじゃない?
人間が普遍的にもつ機能なので、心理学分野では古くから恐怖にまつわる研究が行われてきました。有名なのはイギリスの心理学者『ジェフリー・アレん・グレイ(Jeffrey Alen Gray)』氏ですかね。彼の著書『The psychology of fear and stress(恐怖とストレスの心理学)』は現在でも多く引用されているようです。興味ある方は書店にて彼の――あ、英語版しかないんだ。ってことで、原著を英語版でご購入ください。
恐怖に関する生理的な話。一般的に恐怖を覚えた場合、人間は自律神経系がビンビンになり以下のような反応を起こす場合があります。
・血圧、心拍の上昇
・血流の変化
・呼吸数の増加、気管の拡張
・鳥肌
実は心臓のほかにも各種内蔵が収縮したり、お腹を下したりすることもあります。恐怖の対象をよく観察するため瞳孔が大きくなったりもします。ふつう見たくないんじゃないのか? と思いガチですが、自然界で『生命の驚異となる存在を見ない』という行動がどんな末路ににつながるのか、なんとなーくおわかりいただけると思います。
これらの反応、当然ながら脳が司っています。脳の中心近くにある『扁桃体』という器官が多くの生物に備わっております。右脳左脳ともに1つあり、恐怖だけでなく多くの感情的反応もこやつが担当していますね。ちなみに、扁桃体はある種のグループです。いち企業でなくグループ企業みたいなもので、扁桃体と呼ばれる領域には『基底核・外側核・内側核・皮質核』などけっこうな規模のグループ企業だったりしますね。さらに言えば、扁桃体は大脳辺縁系という超巨大グループ企業の一部でもあります。
脳の中心にある大脳辺縁系は、生命の本能的な部分を司っています。その中でも扁桃体は情動(感情や快、不快など)に関する情報を中心に扱っており、各所へ多くの信号を出しています。目や表情はこやつが直接操作してるといっても過言ではないでしょう。恐怖を覚える機能だけでなく、恐怖を覚えた出来事をしっかり記憶させる機能も備わっています。それに関する弊害もあるのでちょっぴり深掘りしてみましょう。
記憶の担当は皆さんご存知『海馬』ですね。こいつが1日分の経験や知識を蓄積し、睡眠やリラックス中に記憶すべき情報を取捨選択するわけですが……その際恐怖を覚えた瞬間の記憶はより覚えやすくなってしまいます。
なってしまいます――本来であれば『同じ恐怖への対策』になるため良い事のように思えますが、この機能ちょっちバグってるというか不完全なものでして、たとえば『交通事故を経験した時、現場は"雨"だった』としましょう。そうすると、交通事故を経験した人は、後々『雨を怖がる』可能性が出てきちゃうんです。パブログの犬の恐怖版的なイメージですね。
これ実は身近な存在でもあります。たとえば「やべ、チャイムが鳴ったぞ! はやく戻らないと先生に怒られちゃう!」とか電話に出たくない現象とか……ちょっと見覚えがあるんじゃないでしょうか?
恐怖後の行動について。有名なのは『闘争・逃走反応』です。ざっくり書けば『恐怖を前にした時"戦うか逃げるか"を選択する反応』です。その判断の間硬直することから『闘争・逃走・凍結反応』とも呼ばれたりします。他にもイロイロな言い方がありますがコレだけ覚えておけばおk。
この状態の時『ドーパミン・ノルアドレナリン・アドレナリン』のカテコールアミンがドピュドピュ放出されています。身体を興奮させる物質のため、闘争、逃走どちらの判断を下してもすぐ爆発させられるわけです。実際どのような行動を選択するかは、その選択を迫られた生物により様々ですが、たとえば身体にほとばしるテストステロンやコルチゾールの状態、感情的な状態が結果を左右する場合があります。
闘争・逃走反応はとてもよくできている反応です。恐怖に直面してるヤベー状態なので、消化器官の血流が減り、逆に筋肉など動くための器官に血流が優先されます。副腎皮質刺激ホルモンがコルチゾールの生産放出を催促し、血糖値を上昇させ身体のエネルギーを満タン状態にします。つまり、いつでも『全力を出す』準備ができてるってことですね。
闘争・逃走反応はとても良い機能ですが、日常的にこんなことしてたら人間の社会的生活はままなりません。上司から怒られて恐怖を覚えたからぶん殴った……これはまあ、あっぱれだけどヤバいことですよね?
ってことで、以下は恐怖に対応するいろんな知恵をご紹介。
アナタが社会生活の中でで覚える『恐怖』は、ほんとうに恐怖なのでしょうか?
人間はいろいろな感情を抱えて生きています。その生活のなかでなんとか『心』を維持しようと、脳は時として自分を偽ります。アナタが悲しみで潰れそうになった時、それを恐怖として認識しているのかもしれません。
これを『代理感情』と呼びます。
本当に恐怖を覚えていたとしても、それが別の感情に変化してしまっているかもしれません。
人間は『自分の本心』と向き合う時間が必要なのです。他者から指摘されたくない、そんな恥ずかしさを覚えるような感情としっかり向き合いましょう。自分の本心と向き合うには『自分を認める』ことが第一です。
相手から「嫌い」と言われカッとなった! ――それは本当に『怒り』でしょうか? もしかしたら、友人から突き放される『恐怖』を、怒りで隠そうとしたのではありませんか?
瞬間的に覚えた感情を一度受け止めましょう。その後で『本当の自分は何を感じたのだろう?』と問いかけてみてください。そして、最も大切な事は『ガマンしない』ということです。覚えた感情は発散しなければストレスとなります。アンガーマネジメントという言葉がありますが、あれは怒りをガマンする技術ではなく、怒りと向き合いうまく付き合っていくテクニックです。ガマンの果てにあるのは心身の崩壊。だからこそ、自分の本心と向き合い、受け止め、発散する術を考えていきましょう。
ってことで、ちょっとバッティングセンター行ってきます。
カラブリー
カラブリー
カラブリー
……わたしはいまかなしんでいる。




