表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つれづれグサッ  作者: 犬物語
174/407

【心理学】自分勝手な人間の性【認知バイアス】

システム1「本日の広告商品だって! 安い! これは買い!」

システム1「こっちは家事のほとんどをやってるんだよ!」

システム1「足広げたまま座るとか人間性を疑うわー」


システム2「……」

 人間にはふたつの思考がある。アメリカの心理学者『ダニエル・カーネマン』はそう提唱しました。行動経済学でよくでてくる『システム1、システム2』という考え方で、それぞれこういった意味をもちます。


システム1

 直感的思考。反射的な情報処理、脳の負担が少ない

システム2

 熟考的思考。意識的な情報処理、脳の負担が大きい


 人間はそれぞれのスイッチが『オン』になっています。で、脳みそちゃんは大きな負担を嫌うので、常々『システム1』を利用しています。衝動的かつ素早い実行に結びつく性格から、システム1で処理した結果(・・)をシステム2で評価しないと、人はとんでもない勘違いを起こしてしまったりします。


 その勘違い(・・・)こそが認知バイアスです。


 システム2は脳への負担が大きく、脳は怠け者(良い意味でも悪い意味でも)なので普段はシステム1がもっぱら判断し、システム2は事務の流れ作業のように「異常なし、次――異常なし、次――異常なし、次――」とシステム1で得られた『結果』をそのままスルーしてしまったりするのです。


 つい衝動買いをしてしまって「なんでこんなに買っちゃったんだろう?」的な経験をしたことはありませんか? やらなきゃいけない宿題、今も後回しにしていたりしませんか? ――もしそうなら、アナタのシステム2はスリープモードに入ってしまっているかもしれません。


 システム1は素早い情報処理を実現してくれる一方、とんでもない勘違いを方っておいちゃう残念な輩であります。ってことで、そんなシステム1の負の側面といえる『認知バイアス』について、その氷山の一角をご紹介しましょう。




:人間はジコチュー:


 どれほど他人を気遣っているようでも、人間は"ジコチュー"から逃れられない生き物です。これは人間というか生き物の性なのでもうしゃーない(・・・・・)よね。


 突然ですが、アナタは『家事』をどれくらいやっていますか?


 えーっと、洗濯してるし皿洗いにゴミ出し――ふつうに5割くらいやってるんじゃない? ――ある夫婦の片割れはそう言いました。で、もう一方はというと……。


 炊事洗濯食器洗いに風呂掃除、花の水交換に定期的な清掃。もう9割以上はやってるんじゃない? ――さて、ここで問題です。


 5割と9割、足して何割でしょう?


 人間ってば『自分がやったことはよく覚えていて、他人がやったことは忘れがち』という特徴があり、これは『自己奉仕バイアス』と呼ばれております。どんなに自信なさげに見える人でもこの傾向はあり、ある出来事をこう解釈するようになっているのです↓↓


自分がやった"成功"

 → 自分の努力や能力

自分がやった"失敗"

 → 周囲の環境や状況、他者の能力の低さ


 上記例の場合、自分の"成功"を過剰に評価した結果、余分な『4割』が誕生したと考えられます。ちなみに、上記のような実験は実際に行われており、37組の夫婦にアンケートをとって『自分の家事貢献度』を夫婦で足し合わせた結果おおよそ『140%』になったそうです。そのほか様々な対象者にも実験を行っていますので、もし原典が気になったという方は以下のアドレスをご参照ください。英語なので翻訳はがんばって、もしくはGoogleさんに翻訳してもらうかしてね。


ttps://psycnet.apa.org/record/1980-23237-001


 あ、まさか上記の例で『5割のほうが男性』とか思ってませんよね? ――それもバイアスですのでご注意ください。わたしは『片割れ』と書いただけで、決して『男女』を明記しておりません故。近頃は専業主夫の方も増えていると申します。男女平等の精神をもってすれば、上記のどちらが男でどちらが女なのか? なんて考えもしなかったはずです。


 このバイアスのメンドウなとこは「自分客観的に判断している」と思い込んでるところ。そうならないための対策法としては『自身の"貢献度"はマイナス2割で考えよう』ですかね。60%くらい貢献したぞ! という場合、40%が実際なんだという感じ。まあ、自分を客観的に見つめる目をもつかたなら良いのですがね。ちなみに、気にしすぎても『自己肯定感』がどん底になっちゃうので禁物です。ほどほど自己中心的に生きていきましょうや。




:偏見:


 電車内で『足を大股にして座る人』っているでしょ? ――その人は果たしてどんな性格(・・・・・)でしょうか?


 ろくな人間じゃない?

 他人に気を使えない?

 職場でもこういったことしてそう?


 これすべて認知バイアスです。それっぽい言葉で『帰属錯誤』とか『対応バイアス』なんて言ったりしますが……ちょっち深掘りしてみましょう。


 『電車内で大股にして座る』という情報だけでその人の人間性を語ることはできません。っていうか、足を大股にして座ってるからなんだというんですか? もしかしたら『股関節が痛い』のかもしれませんし、他に足を開かなくてはならない理由があるかもしれません。もちろん『自分勝手な人で、場所を広く使いたかった』という可能性だって無きにしもあらずですが……人間ってわりと数ある可能性のなかで真っ先にコレが浮かんじゃったりするんだからしゃーない(・・・・・)生き物よねぇ。


 人間はすぐ『因果関係』を求めてしまうの。なんらかのイベントに遭遇すると「なんで? 原因はどこにあるの?」という疑問をもっちゃうんです。電車が空いてる場合は置いといて、満員電車のなかで『足を大股にして座る人』は、たしかに態度は悪いかもしれませんが事実としては(・・・・・・)そこまで(・・・・)です。ろくな人間じゃないとか、他人に気を使えない性格だなとかは思う人の主観的感想であって事実ではありません。以下の考え方をしがちですが、正解かどうかは今回の例を読んだアナタならもうおわかりですよね?


・AだからB


 Aは事実です。しかし、Bは仮説でしかありません。が、だいたいの方はこのような考えのもと人生を過ごしているかと思います。っていうかわたしもぶっちゃけそうです。「AだからBだよね」なんて日常的に使うじゃん?


 だから(・・・)という『帰属』の錯誤に注意しましょう。AだからBの『B』はあくまで仮説(・・)だということに留意してください。可能性であり、実際に確かめなければわからない。勝手知ったる勢いで相手の人間性を評価するなんてもってのほかです。人間なんて、数十年と人生をともに過ごす家族の心理さえ把握できないんですよ? アナタは家族の性格や人間性を1から10まで列挙できますか? ――このバイアスにかからないためには、普段から『原因は複数存在する』という前提で過ごしたほうが良いでしょう。電車内で足を大股にして座ってるからといって、その原因が『性格』のひとつで片付けてはいけません。あるいは『状況』にも目を向けましょう。暑くて喉が乾いたらだれだって水を飲みますよね? ――そんな状況に陥って水を飲んでる人がいたとして、アナタは「仕事中に水を飲んでる! 許せない!」なんてこと言ったりしませんよね?


 バイアスに陥らないためには、いつも『自分』へ語りかけることが大事なのです。




 24時間365日、ずぅっっと認知バイアスから逃れられるなんてことはありません。人間は基本的にシステム1で行動しますので、どうしたって認知でバイアスな経験をしてしまいます。しかし、そこで「はっ!」と気づくように自分をコントロールすることはできます。できるはずです。


 ちょっとずつ、そんな自分の認知バイアスと向き合ってみてはいかがでしょう? 人によりどんな認知バイアス(思考のクセ)があるかわかりません。アナタはどんな自動処理をするでしょう? それに気づいた上で『どう対応するか?』もアナタ次第です。ムリに変えようとする必要はありません。人間が生きていく上で生まれた思考回路、それが認知バイアスなのですから。

今回の例で「電車の座席が狭い」という意見を聞いたことがない。個人の感想ですけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ