【栄養学】消化と吸収
食ったモノが自分になるのよ。
生存の維持に栄養素は不可欠です。人間の場合、5大栄養素とされる『糖質・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル』をバランスよく摂取していれば、おおよそ健康状態を保つことができます。まあ、病気やらなにやら例外もあるけどね。
で、人は外部からの栄養を『消化器』にて消化吸収し、自らの糧にしています。今回はそんな消化器官について書いていく感じなので、興味ある方はどうぞ最後まで見てってください。
人間がもつ消化器官、より詳細に記すと以下の通りになります。
・口
・食道
・胃
・小腸
→ 十二指腸
→ 空腸
→ 回腸
・大腸
→ 盲腸
→ 結腸
→ 直腸
口だって立派な消化器官なのですよ。だからみなさん、きちんと歯を磨いて、健康的な消化器官を目指してください。腸内細菌と同じように、口腔内にも細菌叢があります。それらのバランスが乱れたり、お口のなかに食べ物のカスが残りまくってるととたんに口腔環境が悪くなり、歯の表面が溶け出ちゃったりするのでご注意ください。
じゃ、順を追って細かく書いていきましょう。
:口:
最初の消化器官です。歯で食べ物を細かくし、唾液に含まれるアミラーゼなどの酵素で食べ物を消化していきます。アミラーゼは理科の実験で習いましたよね? デンプンを消化する酵素で、胃に突入する前に消化しておくことでさらに消化効率がアップします。唾液自体が食べ物と混ざることでやわらかくなりますので、口は本当に大切な消化器官なのです。
数回噛んだだけでゴックンしてませんか? 歯を磨かない習慣になってませんか? ――それは『消化を1段階スキップした』と同じことです。しっかり口腔内のケアをして、食べ物から効率的に栄養を吸収できるようにしましょう。
:食道:
ゴックンした後、食べ物が通る道です。ここ、実はただの通り道ではなく、腸と同じように蠕動運動を行ったり、食道を動かすための括約筋があったりして、食べ物が逆流するのを防いでくれたりもします。だからこそ、人は寝転がったまま食べても「オエッ」ってならないわけですね。
消化吸収能力はありませんが、ここだって立派な消化器官です。括約筋が衰えると「オエッ」の頻度が上昇しちゃうので、毎日適度な運動をして食道の括約筋を鍛えま――そんなこと可能なのかなぁ。まあ、毎日ほどよく食べりゃいいんじゃないでしょうか?
:胃:
酸性のキツい胃液を分泌し、数の暴力で消化にかかるメイン会場です。消化が難しいたんぱく質も『ペプシン』などの酵素で強力に消化され、場合によりお医者さんから処方された薬剤、アルコールなどが吸収されます。
消化器官はとてもよく出来ていて、食べ物がその領域に入った時から活動をはじめるようになります。胃も食べ物が入ってきたら「いらっしゃいませー」と蠕動運動をし、食べ物と胃液がどんぶらこっと混ざり合わさります。さらに優秀なことに、胃は食べ物を溜め込む貯蔵庫としても働き、腸へ少しずつ食べ物を送り、効率的な吸収を実現してくれます。
ちなみに、食道から胃への入り口を噴門、胃から腸への入り口を幽門と呼びます。あと「胃液って超強力な酸性のはずだろ? なんで小腸に流れても平気なんだ?」という疑問がありますが、十二指腸ではそれらを中和するアルカリ性の物質が含まれています。なので、自らの消化液で苦しむなんてバカなことはありえないのです(なお胃潰瘍)。
:小腸:
長さが7メートルほどもある細長い管で、幽門を経て小腸へ至ると、まずお出迎えするのは『十二指腸』になります。ここでのメインイベントはたんぱく質の消化。たんぱく質は複雑な構造をしているので、消化にも時間がかかるのです。
十二指腸には肝臓から総胆管、膵臓から膵管がつながっており、それぞれ胆汁と膵液が分泌されます。胆汁は脂肪を乳化する機能、膵液は糖質、脂質、たんぱく質を消化するありとあらゆる酵素が含まれており、消化器官の本気度が伺えますね。
胃が消化のメイン会場であるのに対し、小腸は吸収のメイン会場としても良いでしょう。多くの栄養素が十二指腸で消化の最終段階に入り、蠕動運動や分節運動(-○-○-○-みたいな形になること)をして食べ物を混ぜ合わせながら大腸へもっていきます。途中の空腸、回腸の壁には多くの消化酵素が待ち構えており、5大栄養素をことごとく吸収していくのです。
ちなみに、消化酵素である胆汁などは大腸に入る前にちゃっかり吸収されます。で、胆汁は再利用されます。かしこい。
:大腸:
ほぼ絞り尽くした食べ物、腸内部のゴミなどをかき集め排出するのが大腸の役目です。小腸から送られた食べ物はまだまだお水がたっぷり。それを大腸が吸収してくれて、おおよそ5分の1レベルまで絞ってくれます。
大腸と聞いて思い浮かぶのは『腸内細菌叢』でしょう。大腸にはとんでもない数の細菌がウヨウヨおりまして、独自の生態系を構築しています。普通だったらヤベー環境と思いがちですが、賢いアナタはそんなことありませんよね?
腸内細菌には『善玉菌・悪玉菌・日和見菌』の三種類があります。善玉菌は未消化の糖質や短鎖脂肪酸、食物繊維などをを発酵させ人間にとって有益な物質(短鎖脂肪酸など)を生み出してくれるので、ぜひとも共存を目指したいところ。逆に悪玉菌はその逆に有害物質を作り出すので、できることなら排除したいところ。それらに良い食べ物などの話は後々取り上げていきたいですね。
大腸の入り口、底には盲腸(虫垂)があります。ほんとに虫が垂れ下がったような形をしてるのですが、虫垂炎になるとだいたい切除することになります。ただ、近年は善玉菌の住処で、ここを切除すると健康に悪いんじゃないか? という話も広がっているようです。今後、盲腸患者はどういう処置になるのでしょうかね。
で、小腸をぐるりと一周してる結腸ですが、これはウンt食べ物の進行方向により名称が分けられていたりします。
↑:上行結腸
→:横行結腸
↓:下行結腸
下行結腸まで進軍した食べ物は、すでに消化吸収の残りカス、腸のゴミ、腸内細菌のアレやコレにより見事な茶色い物体へと成り果てています。
で、S字状結腸を経て直腸に行き着いた例のアレは、最後の時に備えて息をひそめているんですね。肛門まで一直線に伸びる直腸は、消化吸収能力はほぼ無のかわりに筋肉が発達しています。なぜってそりゃあ……ふんばるためよ。
人が物を食べて、食べ物が身体の中に侵入すると、消化器官は蠕動運動を起こします。腸もそのルールに従い蠕動運動をするわけですが、人間は社会的な生き物ですし、所構わずプリュッ、してたらアレじゃん? ――なので、人間は良からぬ場面で便意を感じた時、直腸と肛門の筋肉を総動員して冷や汗を流すことになります。
まあ、ダメな時はダメなんだけどね(悟)
肛門に消化吸収能力は無いんで、はたしてこれを消化器官と呼んでいいのか迷うんですが、医術的には消化器官でいいのかなぁ……まあ、消化器内科で肛門も見られるけど、肛門科ってのもあるし……まあいいや。
えー以上が、消化器官の大まかな説明になります。本当は吸収に関してもっと細かく書こうと思ったんだけど、それだと文字数がアレなのでやめときました。もし、物足りないとかここ間違ってるとかイロイロな意見がある場合、ぜひコメントいただければありがたいです。
人間は食べてなんぼの生き物です。日々、わたしたちの命を繋いでくれる食べ物に感謝しつつ、これからも健康的に、楽しく生きていきたいですね。
命を奪わなければ自らの命を維持できない。諸行無常の世の中なのです。




