【犬の熱中症】犬だって暑いんだよ【人間も】
本格的な夏、熱中症が怖いのは人間だけじゃないんです。
最近ね、うちのわんこが「さんぽ? ――いいです」って顔するんだよ。コッチがハイテンションで首輪とヒモを持ってもさ、どこ知らぬ顔で「ひとりで行って」みたいな顔するのよ。
おまえ犬だろ、犬ってのは「さんぽ」の一言でテンションMAXになるもんだろと(偏見)。
体調を崩した様子ではなく、触診してもしこりや違和感は無し。犬にも現在流行ってるコロナが感染るようだが、我が家族にそのような症状は無く、こうなると心当たりはひとつしかないわけだ。
犬「あちぃ~」
事実として、我が家の黒ラブが散歩を渋ったのは6月の終盤。梅雨明けてメチャクチャ熱くなった日と重なります。まあ、犬ってのは全身毛むくじゃらでわたしたちより余計にニ枚くらい着込んでるような感じですからね。しゃーない。
もともとラブラドールのくせに(猛烈な偏見)散歩行きたがらない性格だったんですよね。それに加えてこの暑さですもの、そりゃあ行かないってなりますわ。ぐーたらしてる時にさ、わたしが「さんぽいこうよ!」ってロープを見せたら「勘弁してください」ってな態度でお腹を見せるもんだから、いやあかわいいのなんのって。
本題に入りましょう。上記で書いたように、犬は全身毛皮ですので、全身ハゲのわたしたちと比較するとメッチャ熱がこもる身体になっております。で、犬という生き物は(水分メインの)汗をかかず、例外的に肉球周辺にある程度。熱交換の手段といえば、おくちで「ハァ、ハァ、ハッ」するパンティングだけ。そりゃあ熱い時でかけたくなるわけだよ。
そういった事情もあり、わんちゃんは人間以上に熱中症を警戒する必要があります。自然環境に関するアレコレをとりあつかう『環境省』では、人間のほかにも『ペットの熱中症』に関する警戒を呼びかけています。今回は以下の内容を主に取り上げていく予定ですので、わたしの要約やら個人的なエピソードはいいから環境省の情報だけよこせって方は以下のアドレスにアクセスしてってください。
獣医師・獣医学博士『井上快(井上動物病院)』によるシンポジウム
ttps://www.wbgt.env.go.jp/pdf/sympo/20190602_5.pdf
ちなみに『犬がかかるコロナウイルス』もあります。そもそもコロナウイルスっておおまかに7種類あるのですが、それは閑話ということで。知りたいって方いたらコメントしてくれればそれをテーマに書きますよ。いや、以前書いた気がするな、ちょっと探してみてね。
わんちゃんの平熱はだいたい『38度』くらいです。人間より高いね。ネコちゃんもそのくらいで、他にも豚や羊なんかは『39度』くらいまで行くそうです。そんだけ高温な動物なんだから、熱中症になったらどんくらい体温上昇しちゃうんだ? と思いませんか? ――実は、わんちゃんたちの熱中症危険ラインは『40度』。人間とそこまで変わらず、しかも普段体温が高い犬猫などは、ちょっと熱くなるとすぐ熱中症になる危険性があるのです。
動物ってのは『弱っているところを見せない』ものです。自然界の弱肉強食の世界では、弱っている姿を見られればどうなるかおわかりですよね? 犬猫は人間に馴れており、おおよそ野生味を感じられないトコロもありますがれっきとした自然界の動物なんです。見た目の変化も少ないので、人間が気づいた時にゃ重症化してた、というパターンもしばしば。そうならないために、動物と暮らしているアナタが普段の生活からよくペットを観察し、変化の徴候を発見できるようにしておきましょう。
動物の『体温調節』に関してもう少し深掘りしましょう。人間を含む動物たちは、以下の手段を講じて体温調節しております。
・対流
身体表面を伝う空気の流れが毛の隙間を通り過ぎることで体温低下に繋がります
・蒸発
呼吸、唾液、発汗により起こる熱の喪失です
・伝導
皮膚に温度が異なる別の物体が触れることで熱が逃げていきます
・放射
熱を産む生物は、少なからず自ら赤外線などを放射しています
人間の身体はすべての要素を利用することができます。風を感じ、肌からは汗が流れ、冷たいものへ直に触れられる。人間が42.195kmも走り続けることができるのは、こういった『熱放射のしくみ』がとても良くできているからなんですよね。が、毛に覆われた犬などの動物は、限られた手段でしか熱を逃がすことが出来ません。ちょっとでも熱くなると、犬はすぐパンティングをします。これは犬飼いさんにとっては常識ですよね。
汗腺には『水を放出するタイプ』と『皮脂ごと放出するタイプ』があります。体温調節に役立つのは前者で、人間は一部を除き全身で水をドピュっと吹き出していますね。対して、犬や猫は皮脂ごと放出するタイプがメインで、そのため毛むくじゃらの生き物は独自のニオイを発するのです。水を出す汗腺は足の裏などにしか無いんです。ウサギやネズミに至っては汗腺自体持ってません。あいつらどうやって熱中症予防しとるんや?
毛という余計な着物を被ってるせいで、わんちゃんたちは夏場地獄を味わっています。日本の犬やシベリアン・ハスキーなど、いわゆる『ダブルコート』なわんこたちは余計にヤバいですね。さらに、飼い主さんが甘々に育てたせいで脂肪たっぷりだったらもう手がつけられません。このように、犬はあらゆる角度から見ても『熱中症に弱い』ということが言えます。
犬飼いさんが気をつけるべきポイントはそこだけじゃありません。散歩中、犬は熱いアスファルトの上を歩くことになります。人間はクツを履いているし、背が高いので気づきにくいのですが、夏のアスファルトはもう煮物のような暑さで、日差しの照りっ返しも含めてガチの屋外サウナ状態。小型犬や足が短いダックスフンドなどの犬種は、その激アツ空間を歩かなければならず、楽しみだったハズの散歩で地獄を味わうハメになってしまいます。散歩中、なるべく日陰や草むらを歩かせるようにしましょう。もちろん、犬が「ワイはこっちを歩きたいんや!」と主張するのなら別でしょうが……。
ペットの熱中症の怖さを紹介したところで、次は『ペットの熱中症の症状』を書いていきましょう。
犬がよくやる『パンティング』、興奮した時などもやりますが、何もしてないのにパンティングするようでしたら、その環境はすこし暑く感じているのかもしれません。空調を調節してあげましょう。アラスカン・マラミュートやサモエドなど、一部のわんちゃんは極寒の北国出身ですので、日本の冬が『ちょうどいい』くらいの場合もあります。サモエドを飼いたい! でも冷房代も節約したい! という方は、とりあえず北海道の北側へ移住しときましょう。
パンティングでも体温調節できなくなった場合、パンティングの効率を上げようと『よだれ』を垂らすようになります。涼しいところを探すため落ち着かなくなり、やがて目や口の粘膜が赤く変化していきます。ここまできたら警戒レベルなので、すぐ涼しい環境を提供してあげてください。水桶を用意して入らせるのも良いですね。
熱中症の応急処置として『涼しい場所へ移動させる・全身に水をかける』などがあります。犬の場合、以下の場所へ水をかけてあげるのが良いですね。ペットの応急処置については以下のサイトを参照しておいてください。
・後頭部
・足先
・首
・脇
・後ろ足の付け根
環境省:ペットの健康管理と応急処置
ttps://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2909a/pdf/06.pdf
次は危険な領域へ突入します。人間もそうですが、熱中症は3つの段階があるんですよね。はじめは軽度なのですが、熱にさらされていると徐々に重度の熱中症へ移行していく……人間以外の動物だって同じことです。以降は危険度が一段回上がったとイメージしてください。
なかなか体温を下げられないでいると、やがて『筋肉の痙攣』が起こります。体温上昇を抑える身体の機能が追いつかなくなってきた証拠です。そうなると消化器官への影響が表れ、『吐き気や下痢』などの症状があらわれます。場合によっては吐血や血便もありえます。変化は呼吸器系にも表れ『呼吸困難』の症状も出てきます。ここまでくると身体の水分どころか、生理機能を調節している様々な物質も枯渇してしまうのでかなり危険なレベルに達しています。応急処置での回復は難しいので、アレコレ考える前にまず病院へ向かいましょう。
上記症状が続いてもなお暑い環境に置かれた場合、身体を動かすことが困難になり、やがて完全に動かなくなります。続けて意識が喪失、発作を起こすなどの症状が表れ、やがて命を落とすことになるでしょう。
熱中症はそれだけでも怖いのですが、さらに『合併症』もついてきます。熱中症は『恒常性維持ができなくなる』ので、循環不全による脳・各種組織の酸欠を引き起こします。だからこそ呼吸不全などを引き起こすわけですが、場合によっては急性腎障害や血管凝固障害、中枢神経障害など後遺症の可能性がある症状が表れることにも繋がります。応急処置で体温を冷やすことはできても、一度枯渇した栄養状態がもとに戻るのは時間がかかるため、上記の合併症は進行し続けてしまうのです。だからこそ、熱中症予防は絶対気をつけなければなりませんし、外が暑い時間帯を避けて散歩に行くなどの工夫が必要なのです。わたしも最近は夕方や夜を選んで犬と歩いてますが、夕方でも暑い日は暑いですよねぇ。
熱中症の対策は、とにかく『暑い環境を避ける・適切な水分補給』ですよね。熱中症を引き起こしやすい環境に関しては、環境省や気象庁が各種情報を公開していますのでそちらを参照してください。
気象庁トップページ
ttps://www.jma.go.jp
環境省:熱中症予防特設ページ
ttps://www.wbgt.env.go.jp/
人間は意図して水を飲んだりしますが、わんちゃんたちは「水を飲むと熱中症予防になるから飲んどこ」的な発想はありません(あるかもしれんけど)。水をあげても気分によって飲まないかもしれないし、自ら暑い環境に入ってくこともあります。だからこそ、わたしたち人間が、わんちゃんたちの様子を見守ってあげましょう。
わんちゃんたちを暑い場所に放置しないようにしましょう。車の中はすぐ熱くなります。ほんの5分くらいと思ってたら知り合いと出くわしおしゃべり。気づいたら30分経っていたとかシャレにならんですからね?
犬にとって最適な環境は、室温22~25度、湿度50~60%程度の部屋です。風通しを良くして、いつでも水が飲めるようにしておきましょう。窓からの日差しも気をつけなきゃいけません。ケージが日差しモロ浴びだった場合、その場所から移動しておくと良いですね。
ちなみに、熱中症疑いの動物がやってきた場合、動物病院では酸素吸入をさせたり、冷水浴をさせたり、点滴を打ったり、上記合併症に関する検査を行ったりします。
人間も含め、多くの恒温動物が熱中症になる可能性をもっています。日頃から熱中症対策を行い、予防を心がけておきましょう。犬猫はもちろん、アナタの身体だっていたわんなきゃダメだよ?
熱中症は『予防』が最も重要です。犬も猫も猿も鳥も人間も、涼しい部屋で水分補給してりゃ熱中症なんてなりようがないんです。ってことで、ムリせず安全な環境で過ごしましょう。大切な家族にもしものことがあったら泣いちゃうでしょ? アナタにもしものことがあったって、アナタのわんちゃんがとても悲しむことになります。そんな経験をしないように、アナタ自身も健康でいてくださいね。
アナタにもしものことがあったらわたしだって泣きます。
そりゃあもう琵琶湖の水位が増すくらいには泣くよ。




